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現場で体感してこそわかる森林の多様な価値(その1)リレーコラム

ISO26000の中核主題の一つ「環境」の項目の中で、「組織は、人間の活動が生態系を急速に変化させつつあることを踏まえ、環境、生物多様性、自然生息地の回復に向けて行動すべきである」という記述があります。(『ISO26000英和対訳版』 財団法人日本規格協会、2010年)
いわゆる生物多様性に関する組織の社会的責任について記載された部分です。

しかし、具体的にどう取り組むのか迷っている企業ご担当者様も多いのではないかと思われます。そこで今回は、生物多様性保全サービスのコンサルティングをはじめ様々な分野でご活躍のValue Frontier 株式会社取締役 梅原 由美子様に、森林の価値とその体験の重要性について語っていただきました。

現場に行くことで、その素晴らしさを体験することが重要

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「生物多様性」は分かりづらい、というご意見を企業の方から良くお聞きします。しかし、地球誕生以来、複雑な進化の過程を経て数十億年かけて作り上げられた「生態系」のしくみについて、簡単に理解できないのは、当然とも言えます。

また「森林」はあまり身近ではない、あるいは企業であっても「直接利用していない」と感じる方もいるかもしれません。しかし、森林は、以下のように人間の生活や経済活動に不可欠なサービスを提供しています。

  • たくさんの動植物や菌類等の生物種の保全や遺伝子の保全
  • 河川の保全
  • 地球温暖化の緩和
  • 土砂災害の防止
  • 水質浄化や水源貯留等の水源涵養機能
  • 大気の浄化
  • 森林浴やレクリエーション
  • 景観や地域の風土形成
  • 木材や食糧、薬品等の物質生産機能 等々

国内にも未発見・未分類のいきものや遺伝資源等がまだ多く眠っています。「生物多様性」に着目することで、新たなビジネスチャンスを発掘できる可能性も秘めています。例えば、季節ごとにその地域に訪れるいきものを「見える化」し、ストーリーをつけて、地域の木材を「生物多様性豊かな森林で育った木」というように付加価値をさらに付けて販売することも可能です。

しかし、生物多様性は様々な関係性から成り立っていて、専門家にとっても難しいその評価を、一般の方が理解するのはなかなか難しいのです。そのため、まず現場に行くことで、その素晴らしさを体験することが重要となります。

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そこで、今回は林野庁の補助事業として、2011年秋に全国5か所で森林の生物多様性を学ぶシンポジウム&森林見学ツアーを開催します。日本各地の森林を「歩き」、森林が私たちの生活や経済活動に果たす様々な価値について理解を深めていただくことを目指し、北海道から福岡まで各地の森林を見学できるツアーを行います。

ツアー前日には、実際にツアーで見学する森林の整備や保全を行っている自治体や団体から、活動状況や普段感じている課題等を発表していただくシンポジウムがあります。加えて、林野庁による森林の生物多様性に関する取り組みの解説や、研究者による基調講演がありますので、森林の生物多様性に関する基礎的な知識も学んでいただくことができる内容となっています。

第2回に続く

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執筆者プロフィール
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梅原 由美子
Value Frontier 株式会社 
取締役 


企業における持続的な環境経営のための環境マネジメントや環境マーケティング支援、環境人材育成サービス開発を行っている。また国際協力や国内地域振興のための排出権事業形成コンサルティングや、企業・市民・NGO等による参加型環境プロジェクト開発を手がける。

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