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実務に活かせる交渉術~「交渉の心理戦を制するポイントは?」今日から使える! 環境部・CSR部に必要な交渉術

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環境部・CSR部門は、社内はもちろん処理委託先、行政、地域住民等、様々な関係者と交渉を行なう機会があります。今後対象業務の幅が広がるにつれ、ますます交渉・コミュニケーション能力が重要となります。 前回は交渉につきものである「"譲歩"の仕方」についてお伝えしました。最終回は交渉の心理戦を制するポイントを握る「フレーミング」についてです。

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交渉は心理戦

交渉には大いに心理戦の側面があります。この心理戦を制するためには、相手の仕掛けてくる認知バイアス(直感や先入観・思い込み、恐怖心や願望が論理的な思考を妨げている状態)に陥らずに、逆に相手に認知バイアスを仕掛けていくことが必要です。 最後となるこの第4回では、認知バイアスのなかでも特に重要な「フレーミング」について解説します。「フレーミング」とは、情報の与え方によって聞き手の考え方やイメージが方向づけられてしまうことを言います。

「フレーミング」の事例

ある社内会議での交渉場面を考えてみましょう。

営業部長:「この新商品には真新しさがないので売上貢献は見込めません。今期の商品ラインナップからは外して頂きたい。」

企画部長:「確かに真新しさはありませんが、環境に配慮している点を前面に押し出して営業活動をして頂きたいのです。」

営業部長:「顧客は環境にやさしい商品を欲しいのではないのです。自らのニーズにあった商品が欲しいのです。環境に配慮しても、商品力がなければ売れません。」

典型的な社内交渉のワンシーンです。営業部長は「売上」というフレーム(枠)で新商品をラインナップから取り下げるよう交渉を進めています。企画部長がこの「売上」の枠から逃れることができずに営業部長にやり込まれてしまったとしたら、営業部長の「フレーミング」の餌食になったということです。

「フレーミング」への対応

では、このとき企画部長はどうするべきなのでしょうか?フレームを自らに有利なものに変えてしまうべきなのです。

例えば、「環境に配慮した商品を販売することは、当社の理念である「社会との共存」に向けた活動です。つまり、この商品を世に出すことが当社の存在意義なのです。問題は"売れるか売れないか"ではなく、"どうやって売るか"、なのです。」

この発言により、売上があがるかどうか、というフレームから、どうやって売るか、というフレームでの議論に向かう可能性が生まれます。 さて、3回にわたって交渉学のいくつかの武器について解説をしてきました。交渉学の理論や考え方は、それ自体が万能なものではありませんが、より良い交渉をし、より良い合意を得るためのヒントがあふれています。これを機会に交渉学に興味を持って頂けることを願っています。

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執筆者プロフィール
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望月 明彦
日本交渉協会代表幹事
早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。監査法人トーマツを経て、慶応義塾大学大学院経営管理研究所(MBA)修了。その後、上場企業にて経営企画責任者として資本政策の立案・実施、合弁会社の設立、各種M&A等を手掛ける。さらに、アーンストアンドヤングの日本法人にて上場企業同士の経営統合のアドバイザー等を務める。2010年より、望月公認会計士事務所 代表。

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