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コラム

創資源対談初回:廃棄物ではなく、あくまで原料としての利用を実施セメント新聞社共催特別企画:創資源対談

この度、アミタグループは、セメント新聞社と共同で、排出事業者、セメント業界、自治体、中間処理会社のそれぞれの立場から、セメントリサイクルの可能性と課題等を対話する、「創資源対談」を実施いたしました。業種や立場を超え、「創資源ネットワーク」を形成する一員として、セメントリサイクルのあり方とリサイクルに関する法律のあるべき姿を考えます。

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正確にご理解いただくためにも、セメント業界は、よりPRを強化していかねばならない

藤原:本日は実例的な課題から政策的な課題まで、いろいろとご意見いただきながら進めていきたいと思います。また本座談会前に、当社で実施しましたセメントリサイクルに関する調査のご意見についても、随時皆様の立場からご回答いただきつつ、話を進めていきたいと思います。 まずセメント産業におけるリサイクルの重要性について、中尾様からご説明いただきたいと思います。なぜこれだけの量をリサイクルできるのか、技術革新を振り返りつつ、現状をお話ください。

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(写真: 右手から中尾氏、藤原)

中尾氏:セメントというものはどういうものかからご説明したいと思います。セメントは後ほどお話するクリンカに石膏を混ぜ、粉砕して製造されます。そのクリンカの主成分はカルシウムとシリカ、アルミニウム、鉄のいずれも酸化物です。クラーク数(元素ごとの地表付近での存在割合)でいえば上位5番目までに入る元素の酸化物ということになります。

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これら化合物が1,450℃以上の高温で焼成されると化学反応を起こし、人工鉱物であるクリンカができます。クリンカの構成化合物はエーライト、ビーライト、アルミネート相、フェライト相といわれるものです。焼成直後の高温のクリンカを常温まで急冷し、その後石膏等を混ぜながら粉砕してセメントになります。これら化合物が水と接触することによって水和反応を起こし、セメントは硬化します。

一般的に素材を作り出す工程は、原料から不純物を取り除いて純度の高い物質を取り出すのですが、セメントの場合は事情が異なります。天然であれ、人工物であれ、セメントの主成分が存在していれば活用できます。したがっていろいろな廃棄物・副産物を原燃料として使用できるわけです。

ただし、構造物の耐久性に影響を与えそうな塩素やアルカリについては日本工業規格(JIS)でその含有量に規定が設けられています。したがって、こうした少量成分についてはその含有量を制御することが必要となります。製造工程で抜き出すことが難しいものは川上で規制をかけざるを得ず、廃棄物・副産物の受け入れにあたっては事細かく要求を出しているのが実情です。

藤原:セメントの製造技術の発展によってさまざまな廃棄物を取り込めるようになったとも思うのですが。

中尾氏:現在、国内のセメント工場にあるキルンはSPあるいはNSPといわれるものになっています。竪窯といわれるものからロータリーキルンに移行し、さらにプレヒーターという予熱装置を設けたSPキルンの誕生によって焼成効率が向上しました。NSPキルンはプレヒーターに仮焼炉をつけてさらに燃焼効率を向上させたものですが、こうした設備機器の発展も確かに廃棄物の原燃料化の実現に寄与しています。

同時に蛍光X線等分析機器の発展による効果も大きく寄与しています。リアルタイムでの分析結果を製造工程に組み込めるようになり、小ロットでの品質変動あるいは微量成分にも対応可能となっています。

藤原:座談会開催にあたり、当社では環境・CSR業務に関するメールマガジン読者等を対象にアンケート調査を実施しました。率直なご意見も多数寄せられました中でも、セメント業界に対しては一方的な処理費値上げ交渉への改善要望が多かったのですが。

中尾氏:我々は廃棄物を処理しているというわけではなく、廃棄物を原燃料に利用して製品をつくっているということをご理解いただきたい。したがって先ほど申し上げたような少量成分への対応が必要となります。また設備上の制約もあって受け入れる物によっては前処理が必要なケースも多く、それだけ経費が膨らんでしまいます。もちろん、そのまま燃料として活用できるような、性状が良質な廃プラ等は有価で引き取るケースもあります。

廃棄物・副産物の活用方法等についてセメント協会を中心に様々な機会を活用して説明しているつもりですが、PRが不足しているのかもしれません。処理費に関しても、決して一方的ということはないと思いますが、そうしたご意見も参考にPRを強化していかねばならないと思っています。

(つづく)

関連情報
プロフィール
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写真 左より
松岡 俊和 氏 : 北九州市 環境局長
駒形 勝  氏 : JX日鉱日石エネルギー株式会社 根岸製油所環境安全グループアシスタントマネージャー
中尾 正文 氏 : 一般社団法人セメント協会生産・環境委員長代行 住友大阪セメント株式会社取締役専務執行役員
<ファシリテーター>藤原 仁志 : アミタホールディングス株式会社 常務取締役

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