創資源対談最終回:排出事業者から中間処理会社、セメント会社まで創資源のサプライチェーンを作るためには? | 企業の環境・CSR・サステナビリティ戦略に役立つ情報が満載!

環境戦略・お役立ちサイト おしえて!アミタさん
「おしえて!アミタさん」は、企業のCSR・環境戦略をご支援する情報ポータルサイトです。
CSR・環境戦略の情報を情報をお届け!
  • トップページ
  • CSR・環境戦略 Q&A
  • セミナー
  • コラム
  • 担当者の声

コラム

創資源対談最終回:排出事業者から中間処理会社、セメント会社まで創資源のサプライチェーンを作るためには?セメント新聞社共催特別企画:創資源対談

この度、アミタグループは、セメント新聞社と共同で、排出事業者、セメント業界、自治体、中間処理会社のそれぞれの立場から、セメントリサイクルの可能性と課題等を対話する、「創資源対談」を実施いたしました。業種や立場を超え、「創資源ネットワーク」を形成する一員として、セメントリサイクルのあり方とリサイクルに関する法律のあるべき姿を考えます。今回が最終回です。

創資源対談の事前アンケートについてはこちら

本コラム一覧はこちら

業界全体で「サービス業」という考え方に変える

駒形氏:ある廃棄物から金属回収を行うことになり、処理・回収業者に相談したところ、そのままでは受け入れが難しいと言われたことがあります。乾燥設備が必要で、そのための設備投資は回収した金属の引取料で相殺するということで実行しています。セメント資源化に関しても、新規に設備を設ける場合の費用負担と処理費用を協議することはあり得ると思います。

藤原:当社のアンケート調査でも、セメント工場の設備メンテナンス費用の一部を廃棄物搬入企業が搬入量等に基づいて負担し、廃棄物そのものは原燃料代替であり有価で引き取ってもらうことができればとの意見がありました。法律上の問題もあるでしょうが、今までにない発想だと感じました。

松岡氏:セメント工場の廃棄物受け入れは成分でシャットアウトしているのが現状です。しかしこのままではこの分野での新たな顧客をつかむことは難しく、折角つかんだ顧客が離れていってしまうかもしれません。下水汚泥燃料化の取り組みは進展しており、北九州市も実行に移しています。下水汚泥等バイオマスからの水素製造も実用化が図られており、技術革新によって廃棄物活用も今後競争の時代に向かうと思います。セメント工場は中間処理業者と組んだり、排出元と協力したり、新しいしくみを構築すべきです。顧客ニーズにいかに対応すべきか、業界全体で「サービス業」という考え方に変える必要があります。そうしないと社会状況の変化によっては、現在の社会基盤の位置を失ってしまいかねません。

soushigentaidan_img4-2.jpg

中尾氏:廃タイヤといえばかつてはほとんどセメント産業で処理していました。しかし今やほとんど入ってきていません。カッティングマシーンの精度が向上して低コスト化が実現し、製紙会社や鉄鋼メーカーが有価で引き取るようになったこともありますが、セメント業界が胡坐をかいていた面もあるかもしれません。松岡さんが言われたように排出元と緊密な関係を構築するように努めていれば良かったのでしょうが「顧客」という認識が薄かった様に思います。

いままでは下水汚泥をそのままキルンに投入していたのですが、工場設備の余熱を利用して乾燥させる前処理を行い、燃料として活用する取り組みも始まっています。しかし確かにこのままでは下水汚泥も廃タイヤのようになるかもしれませんね。

藤原:わたしたちが排出元からうかがった意見では「セメント工場での処理費が上昇していくと、焼却・埋め立て処理に回さざるを得ない、セメント資源化を前提としたリサイクルも考え直す必要があるのではないか」というものもあります。

soushigentaidan_img4-1.jpg

松岡氏:セメント業界は今のうちに顧客を囲い込んでおかねばいけないはずです。行政は本当に廃棄物問題で困っています。一方でセメントあるいはほかの産業であっても廃棄物を活用できるところがあります。そこにギャップがあるわけで、行政と産業界や個々の企業とが分断され、その間に垣根を築いてしまっているからだと思います。

エネルギーでいえばスマートグリッドという考え方があります。電力不足・料金の高騰で困っているところがある一方で電気が余っている地域もある。電力会社を通さねばならないと思い込んでいるから、このような状況になっているのでしょう。

社会的な課題を解消するために既存の産業界の設備を社会資本、社会基盤ととらえ直すべきです。折角そのような設備があるのに新たな処理設備を設ける必要はないはずで、やはりフレキシブルな考え方が重要です。

藤原:当社の代表の熊野はかねてより「静脈のコンビナート構想」を説いています。製品の原料から加工まで行うのと同様に、廃棄物に関しても出てくるところから再利用するところまで、いくつかの階層を設けながら一体となって運営できればとの発想です。しかし現状では、個々の廃棄物の成分によって再利用可能かどうかを判断しているにすぎず、組み合わせによって価値を見出すというところまでできていません。新たな価値を創造していくための情報の収集・整理・提供といったしくみづくりが必要だと痛感しています。

松岡氏:必要であれば情報を入手するために努力するはずです。情報が少ないといった意見はおかしいと思います。同時に、廃棄物をセメント資源化のサプライチェーンに載せたいということであれば、そのノウハウを持っているアミタさんはじめとする再資源化の技術をより一層活用すべきです。

排出元はアミタさんのような中間処理会社を自分たちの組織の一部のようなパートナーとすれば、中間処理会社は自律的に動いてくれます。セメント会社も中間処理会社を活用して、場合によっては工場内に中間処理会社の設備を設けることも検討していいはずです。

排出元とセメント会社との間でギャップがあり、容易には埋まらないとするならば仲介者が必要です。そしてこの業界にはアミタさんのような中間処理会社がいるわけです。もっと中間処理会社を活用するという発想を持つべきです。

資源循環のサプライチェーンを作るために行政、排出事業者、処理会社共に連携、変革を

藤原:サプライチェーン構築のためにはいかに利害関係者間での情報交換を実現していくかが重要だと思います。同時に廃掃法をはじめとする法令等の矛盾点を指摘する声も、当社のアンケート等に寄せられています。改めて法律に関することも含めて、サプライチェーン構築のためにクリアすべき課題について議論したいと思います。

駒形氏:先日、千葉県が事前協議を廃止したように、改善は進んでいると感じています。一方で事業所内に中間処理のための設備を設ける場合、脱水機は中間処理施設の法定外となりましたが、まだ中間処理施設の枠内に位置づけられる設備も多い。あくまでも事業所として設備を運用するもので、一般の中間処理業者の設備と同様に扱うのは見直していただきたい。

藤原:製造設備の一部にすぎないということですね。排出元で新たな設備を設ける必要がある場合、その辺の見直しは必要かもしれません。

松岡氏:駒形さんの意見に大賛成です。廃棄物処理設備ととらえるか、生産プロセスの一環と見るかによると思います。行政が納得するには構造改革、つまりサプライチェーンの姿を示す必要があります。ケース・バイ・ケースではなく、セメント資源化に関してはきちっとしたサプライチェーンを構築していることを明確にすることで、行政も安心して規制緩和できると思います。同時に自治体側も頭を切り替える必要があります。両方からのアプローチによって実現できるはずです。

中尾氏:セメントの資源化にあたっては自治体によって濃淡があるようです。リサイクルに積極的なところと慎重なところがあり、統一していただけるとありがたいのですが。環境省の指導によって可能なのでしょうか。

松岡氏:廃棄物は一つひとつの性状が異なり、したがって廃掃法の運用にはあいまいな部分、各自治体の裁量権が大きくならざるを得ない面があります。そのためにケース・バイ・ケースとなるわけですが、社会全体のしくみという大きな構えを示すことで、そうした問題もクリアできるのではないでしょうか。

北九州市の処理業許可取得は恐らく全国で一番難しいと思います。しかし許可を取得した業者からはそのことを誇りに思うと言っていただいています。それだけ立派な事業を行っていることの証明だということです。行政も社会創造の一員であり、産業界が一定のハードルを越える努力をしているのであれば、一緒になって動きます。みんなが共通認識の下で議論していくことが重要です。

藤原:最後に本日の議論を通じてサプライチェーンを構築していくためにすべきこと等、感想をお聞かせください。

soushigentaidan_img4-3.jpg

駒形氏:これまでは個々の廃棄物をどうして処理していくかという視点で考えていたのですが、大きな括りで見ていくことが重要だと感じました。アミタさんのところから開示されている情報も入手し、最善の処理方法をセメント工場も含めて考えていければと思います。その意味では中間処理業者に期待するところは大きいと言えます。

松岡氏:行政、排出者、最終的な生産者、そして中間処理業者それぞれが個々に努力してきたと思います。しかしそれぞれの島が分断されていることによって根本的には20年前と変わっていない状況にあります。

これをブレークスルーするには壁を取り払い、一つの土俵で議論するしくみ作りが必要です。関係者がイコールパートナーとしてサプライチェーンを構築するしかありません。本日のような議論する場をもっと作っていくことによって新たな社会を創造できればと思います。

中尾氏:本日の議論に参加し、サプライチェーンとして廃棄物の利用の観点で、皆様のおっしゃるとおり、排出者、中間処理業者、受け入れ者の事業者同士のソフト的なチェーンも重要であると、受け入れ者として考えます。

藤原:資源作りのために関係者同士がイコールパートナーとしてサプライチェーンを構築していくことが重要であることをわたし自身、再認識いたしました。本日の議論をスタートにサプライチェーン構築のための方策をさらに深めていかねばならないと感じており、当社からも積極的に提案していきたいと思います。それに対する批判等もいただければありがたく存じます。本日はありがとうございました。

関連情報
プロフィール
soushigentaidan_profile.jpg

写真 左より
松岡 俊和 氏 : 北九州市 環境局長
駒形 勝  氏 : JX日鉱日石エネルギー株式会社 根岸製油所環境安全グループアシスタントマネージャー
中尾 正文 氏 : 一般社団法人セメント協会生産・環境委員長代行 住友大阪セメント株式会社取締役専務執行役員
<ファシリテーター>藤原 仁志 : アミタホールディングス株式会社 常務取締役

セメント新聞社共催特別企画:創資源対談 の記事をすべて見る

無料メールマガジン登録はこちら

ご依頼・ご相談はこちら

このページの上部へ