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コラム

第五回:これからの日本の企業報告は、未来を語り、積極的に対話を仕掛けること統合報告書を経営に活かすには?

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2014年4月2日にアミタの年次報告書が公開されました。この年次報告書は、国際統合報告評議会(IIRC)技術部会(TTF-Technical Task Force)メンバーである公認会計士の森洋一氏にアドバイスをいただき、統合報告の流れを意識して作成したものです。 そこで最終回の今回は、年次報告書のあり方をアミタホールディングス(株)の常務取締役の藤原と対談していただきました。

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藤原:最後にこの対談を読んでくださったCSR・環境担当者の方々、ならびにIR担当の皆様にアドバイス等をいただければと思います。

森氏:今、日本のCSRレポートをはじめ多くの企業報告は、現在実施した内容の結果報告にリソースを割きすぎていると感じています。しかし、多くのステークホルダーは未来に可能性を感じるから時間やお金という資本を提供しているのです。「未来を語ること」を企業報告においてより重視することが大事だと思います。その上で、課題認識、解決の方向性と手法を語っていくことが非常に重要です。

また、CSRを含む企業活動は、会社の一部門や一担当者でやっていてはいけないので、横断的な体制や経営層のコミットメントが重要です。経営層を巻き込んでいく工夫等をしていくことが重要です。私の実感だと、今後日本の経営層はより企業報告、統合報告に関心を示していくでしょう。そこをきっかけにうまく巻き込んでいくことです。

日本企業は実績報告について着実に積み上げてきた実務の蓄積があります。ですので、これからは、企業価値の方向性、未来を伝えていき、実績報告との連動性を高めていくことが重要だと考えます。

藤原:日本企業のCSRレポートや年次報告書の発行数は増加傾向にあると思いますが、社内浸透や社内の巻き込みは進んでいるのでしょうか?

森氏:変わっているところとそうでないところがありますが、変わっていない企業の特徴は、報告しっぱなしであることです。日本ではCSRレポートを作っても読まれない、という話をよく聞きます。しかし、作って何もしなければ読まれなくて当然です。企業は様々なチャネルを使って対話をしかけていく必要があります。日本企業にも、海外の機関投資家を訪問し、経営者がアニュアルレポートを使って自社の価値や戦略を説明する形での対話を仕掛ける企業が増えつつあります。

こういった様々な仕掛けを行う中で、反応があった投資家に対して、より密度の濃い長期的な関係性を築くための対話をしかけています。 今迄は、あまねくステークホルダーに対して均等に情報開示をしていくべきという認識がありました。もちろん、説明責任という視点からそのようなアプローチも重要なのですが、これからは、企業自身がステークホルダーとの関係性を積極的に築いていくための行動を取っていくことが求められていくと思います。

また、日々の事業活動の中ですべてのチャネルにおいて、いかに経営の意図を伝え、共通理解をはかり、課題懸念や共通価値を抽出するか。そのためには従業員全体の巻き込み、浸透が重要ですね。こうした数々の対話で集約された情報を、経営層中心に改善・行動していくことが大切であり、レポートはそのツールにすぎないですね。やはり日々の活動の中の対話が重要です。

藤原:報告書は年1回ですが、本当はそれをきかっけに対話を始め、日々の対話の進捗をまとめたものが、次年度の報告書になっていく。その対話がないと年1回の報告だけになって、ステークホルダー・エンゲージメントがまわっていかないということですね。

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森様:はい。しかし、日々の対話はオープンにならないし、できませんから、一般に公平に公開される年次報告書に意味があるのです。日々のステークホルダーとの対話があるという前提で、必ず年1回すべての人が公平に利用できる年次報告書はとても重要です。

藤原:今後のアミタの企業報告のイメージとしては2013年の年次報告書に2014年以降の年次報告書が連なって、1つの作品ができていくような報告書にしていきたいです。

森氏:良いアイデアなのでぜひ実現させてほしいですね。ちなみに多くの企業では、前年との内容の重なりを解決するために、特集、トピックを作ります。しかしそれは企業の全体像ではないので、統合報告にはならないのです。そこはほとんどの日本企業がもつ情報開示の課題ですね。

藤原:年次報告書へのアドバイス、本日の対談、ありがとうございます。来年の年次報告書を楽しみにしていてください。

関連情報
プロフィール
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森 洋一 (もり よういち)
公認会計士、IIRC TTF

一橋大学経済学部卒業後、監査法人にて会計監査、内部統制、サステナビリティ関連の調査研究・アドバイザリー業務を経験。2007年に独立後、政策支援、個別プロジェクト開発への参加、企業情報開示に関する助言業務に従事。日本公認会計士協会非常勤研究員として、非財務情報開示を中心とした調査研究を行うとともに、国際枠組み議論に参加。現在、国際統合報告評議会(IIRC)技術部会(TTF-Technical Task Force)メンバー。

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藤原 仁志 (ふじわら ひとし)
アミタホールディングス株式会社 常務取締役

大手都市銀行、教育出版事業会社を経て2002年にアミタグループに合流。 現在はグループの事業開発、営業戦略、コミュニケーション戦略等を担当。

※2015年3月24日を持ってアミタホールディングスの役員を退任

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