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コラム

専ら再生業者、再生登録業者、古物商、金属くず商の違い(後編)BUNさんの「元・行政担当者が語る 廃棄物管理のイロハ」

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前編で解説した 「1.古物商」・「2.金属くず商」に続き、 専ら再生業者、再生登録業者についてご紹介します。


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3.専ら再生業者

このような状況の中で、廃棄物を取り扱うルールが大きく変わりました。昭和45年にそれまでの清掃法に替わり、廃棄物処理法が成立施行されることになりました。

この昭和45年の時点で、極めて「中途半端」な状況のものが、「鉄くず」を代表とする「金属くず」でした。その他には、古繊維(いわゆる「ぼろ切れ」)、ガラス瓶、紙くずです。 金属くずは前述のとおりですが、ぼろ切れ、紙くずは江戸の昔から再生が行われ、それを扱う人たち、商売にする人たちが大勢いました。

昭和40年代のガラス瓶は、主として「一升瓶」「四合瓶」「ビール瓶」など形や容量が一定の物が多く、いわゆる「リターナブル瓶」として使用される物が圧倒的に多かったようです。

と、言うことは、これら「鉄くず」、「古繊維」、「ガラス瓶」、「紙くず」の4物質については、再生の手段を持っていない人の手に渡ってしまえば廃棄物として処理されるルートに回る。一方、「それを扱う人の手に渡れば再生に廻る」。再生に廻るが、それほど利益が出るわけではなく、排出者から出る時点では、無料(0円)であったり、むしろ、処理料金を徴収されるケースもある。

ここで、廃棄物処理法の処理業許可との兼ね合いが出てきた訳です。 処理料金を徴収して、他者の「物」を扱う、というのは、まさに廃棄物処理業であり、許可が必要な行為だろう。 いやいや、そうはいっても、今までも商売としてやってきている人たちもいるわけだし、その人達(のほとんど)は、不法投棄などせずに、ちゃんと再生ルートに廻している。そりゃそうだろう、再生に廻さなくては金にならないのだから。じゃ、そういう人まで許可が必要というのはやりすぎなんじゃないの。と、いうような議論があったんでしょうね。

そこで登場したのが、次の条文と通知なんです。 (なお、現在の条文は一般廃棄物収集運搬、同処分、産業廃棄物収集運搬、同処分ごとに違う条項なので、代表して一般廃棄物収集運搬業を掲載します。)

(一般廃棄物収集運搬業)
第七条

一般廃棄物の収集又は運搬を業として行おうとする者は、当該業を行おうとする区域(運搬のみを業として行う場合にあつては、一般廃棄物の積卸しを行う区域に限る。)を管轄する市町村長の許可を受けなければならない。ただし、事業者(自らその一般廃棄物を運搬する場合に限る。)、専ら再生利用の目的となる一般廃棄物のみの収集又は運搬を業として行う者その他環境省令で定める者については、この限りでない。
昭和四六年一〇月一六日
環整第四三号各都道府県知事・各政令市市長宛 厚生省環境衛生局長通達
改正:昭和四九年三月二五日環整第三六号
第三 産業廃棄物に関する事項
 2 
産業廃棄物の処理業者であつても、もつぱら再生利用の目的となる産業廃棄物、すなわち、古紙、くず鉄(古銅等を含む)、あきびん類、古繊維を専門に取り扱つている既存の回収業者等は許可の対象とならないものであること。

条文は「4品目」と限定している訳ではなく単に「専ら再生利用の目的となる廃棄物のみを業として行う者」は許可が要らないと規定しているのですが、これでは歯止めが無くなると当時の厚生省は判断したのでしょう、廃棄物処理法施行後まもなく、前述通知のとおり「古紙、くず鉄(古銅等を含む)、あきびん類、古繊維」の4品目に限定する旨の通知を発出しています。 この通知から、既に40年が経過している訳で、途中、紆余曲折、何度となく裁判になった事案もあったのですが、今もって、許可が要らないのは「古紙、くず鉄(古銅等を含む)、あきびん類、古繊維」の4品目に限定として扱ってきています。 これを称して、「専ら4品目」などと呼んでいる訳です。 そして、この「専ら4品目」を「再生」している業者さんを、「専ら再生業者」と呼称しています。

4.再生登録業者

廃棄物再生事業者について、廃棄物処理法では次のように規定しています。

(趣旨)
第20条の2第1項 
廃棄物の再生を業として営んでいる者は、知事の登録を受けることができる。
第3項 登録を受けた者でなければ、登録廃棄物再生事業者という名称を用いてはならない。
第4項 市町村は、第一項の登録を受けた者に対し、当該市町村における一般廃棄物の再生に関して必要な協力を求めることができる。

この条項は平成3年の改正で追加された制度です。

「登録を受けることができる。」という規定ですから、必ずしも登録を受けなくても「廃棄物再生事業者」はできます。一方で登録した限りは「市町村における一般廃棄物の再生に関して必要な協力を求めることができる。」と規定していますから、市町村から協力を求められたら協力することが前提となってきます。この条文だけから判断すれば、登録のメリットは第3項規定の「名称独占」しかありません。 それでは、廃棄物のリサイクルを促進しようとして制定したこの制度が進まないことから、種々の税制優遇措置をしてきています。

ただ、この「廃棄物再生事業者」登録制度はとても難しい問題を内蔵しています。 まず最初に、この登録を取っても、許可が不要になる訳ではありません。 ですから、一般廃棄物を扱うなら当該市町村の一般廃棄物処理業の許可、産業廃棄物を扱うなら都道府県知事の許可が原則通り必要になる、ということです。

さらに、「扱うものが廃棄物でなければ登録の対象とならない」ということがあります。実は、世の中で「廃棄物」と呼ぶ物の中には廃棄物処理法でいう廃棄物でない物が結構存在します。「廃品回収屋さん」がティッシュペーパーと交換してくれるような「紙くず」「ぼろきれ」は廃棄物処理法でいう廃棄物ではありません。だから、「原料を買って」きている人達はこの「廃棄物再生事業者」登録の対象とはなれません。

「廃棄物再生事業者」の取扱う主な物は前述の「紙くず」「ぼろきれ」「鉄くず」「ガラス瓶」という、いわゆる「専ら再生4品目」が多いようですが、これらは、処理業の許可が不要であっても、あくまでも廃棄物です。 したがって、一般廃棄物である「専ら再生4品目」を扱う「処理施設」が、1日5トン以上の能力があれば、一般廃棄物処理施設設置許可が必要となってきます。(8条設置許可) (なお、扱う物が、産業廃棄物である「専ら再生4品目」であれば、現時点では、産業廃棄物処理施設設置許可の必要な処理施設には該当するものはないと思われます。)

と、いうことで、似たような商売になるわけですが、取り扱う「物」によって、必要な許可や登録、届出等が異なってきます。 一応最後に「まとめ」を書いておきます。

  1. 古物商は盗品売買を防止するための法律。価値のある中古品等が対象。したがって、廃棄物は古物商の対象にはならない。
  2. 金属くず商は、金属くずの売買をするための許可。ただし、法律ではなく道府県の条例のため、条例のない都府県では許可は不要。目的は古物商と類似。したがって、廃棄物は金属くず商の対象にはならない。
  3. 専ら再生業者は廃棄物処理法許可条文の「ただし書き」を根拠としているが、通知により「古紙、くず鉄(古銅等を含む)、あきびん類、古繊維」の4品目に限定として扱ってきている。再生ルートに廻すときは、処理業許可(7条、14条許可)は不要。
  4. 廃棄物再生事業者は廃棄物処理法第20条の2に規定する登録制度。「できる」規定なので、登録を取らなくてもよいが、登録しても、廃棄物を扱うときは許可を取得しなければならない。
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執筆者プロフィール

長岡 文明 (ながおか ふみあき)
アミタ株式会社 特別顧問

山形県にて廃棄物処理法、廃棄物行政、処理業者への指導に長年携わり、行政内での研修講師も務める。2009年3月末で山形県を早期退職し、廃棄物処理法の啓蒙活動を行う。廃棄物行政の世界ではBUNさんの愛称で親しまれ、著書多数。元・文化環境部循環型社会推進課課長補佐(廃棄物対策担当)。

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