第11回:アジアに展開する日本企業を取巻く環境管理リスク【前編】 | 企業の環境・CSR・サステナビリティ戦略に役立つ情報が満載!

環境戦略・お役立ちサイト おしえて!アミタさん
「おしえて!アミタさん」は、企業のCSR・環境戦略をご支援する情報ポータルサイトです。
CSR・環境戦略の情報を情報をお届け!
  • トップページ
  • CSR・環境戦略 Q&A
  • セミナー
  • コラム
  • 担当者の声

コラム

第11回:アジアに展開する日本企業を取巻く環境管理リスク【前編】商品価値から企業価値へ~2030年の環境戦略の姿~

Some_rights_reserved_by_danielcox.jpg2030年の社会状況や環境制約を見据えたときに、企業はどのような環境戦略・価値創出を行っていくべきかをお伝えする、本コラム。

前回は、企業から排出される廃棄物をコストとしてとらえるのではなく、企業価値向上のための材料として積極的に環境戦略に取り組むことの重要性についてご説明しました。第11回は、海外における廃棄物リスクについて解説します。

【後編】はこちら
連載記事の一覧はこちら

Some rights reserved by danielcox

変化するアジア市場~中国からASEANへのシフト~


近年特に経済成長が著しいアジア地域。世界人口約73億人のうち約44億人を占め、2015年の世界経済におけるGDP規模で見たアジアのシェアは29.4%と試算されています。

図1 2015年における主要国・地域のGDPシェア
引用:経済産業省HP http://www.meti.go.jp/report/tsuhaku2006/2006honbun/html/i2111000.html

graph_3s.png

東南アジア地域では2015年末にASEAN経済共同体(AEC)が発足し、域内の「モノ」「ヒト」「サービス」の自由化が進みます。(既に発足しています)。「モノ」の自由化では市場統合による関税撤廃、「ヒト」の自由化では熟練労働者の移動解禁、「サービス」の自由化では出資の規制緩和などが進む見通しで、今後更なる経済成長が予想されます。このように、東南アジア地域で地域環境協力の枠組みが強化され、今後はEUのようにASEAN加盟国内で共通した環境基準の制定も検討されます。

中国経済の減速が鮮明になる現在、人件費高騰やカントリーリスクを避けて、中国からベトナムやインドネシアに製造拠点を移す動きも見られ、今後ASEANへの投資が中国からより一層シフトすることが予想されます。

図2 ASEAN加盟国/ASEAN+3と東アジア首脳会議(EAS)の構成国 
引用:外務省HP
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/pr/wakaru/topics/vol64/

graph_4.png

gazou3.pngそのような状況下で、ASEAN域内に進出する日本企業の現地法人数および売上高は2003年から10年間で2倍以上になりました。日本企業、特に製造業の海外進出が増加し、順調に売り上げを伸ばしています。しかし、その裏側には多くの廃棄物・副産物が発生しているという現状があり、現地の自然環境にも進出している企業にも、大きなリスクを抱えていると言えるでしょう。

graph_2.png

各国の環境法令および罰則について

海外進出を検討中、もしくは既に進出中の企業にとっても、海外における廃棄物管理、とりわけ環境リスクの把握と、それに対応するための現地環境関連法の理解が重要となります。ここでは多くの日本企業が進出しているタイ、インドネシア、ベトナム、マレーシア、中国、台湾の6つの国(地域)に関する法令と罰則の事例を紹介します。国によって日本よりも厳しい規制や罰則が定められていますが、自国企業と外資企業への対応に差があり、適切な取り締まりができておらず、結果的にルールが守られない問題も多々あります。海外の環境法令を理解するには、まず大きく3つの傾向を把握する必要があります。

  1. 各国の環境関連法が改正されています。2015年には、中国・ベトナムで新環境保護法が施行され、それに伴い廃棄物を含めた関連法も改正されました。タイ、インドネシアでも2014年に廃棄物に関する法令、政府規則が改正され、規制強化に向けた動きが広がっています。
  2. 関係省庁にも違いがあります。廃棄物の主管行政組織は多くの国で環境関連の省庁が行いますが、タイは工業省が管理しています。この他にもタイ、ベトナム、マレーシアは産業系廃棄物と家庭ごみの主管行政が異なります。
  3. 各国で産業廃棄物の概念・基準・定義・名称が異なります(表1参照)。

表1 各国の比較 海外事業活動基本調査 (環境省)をもとにアミタにて作成

図表.png

各国で廃棄物の関連法律や取り扱い方法が異なりますが、全ての国で排出者責任が求められており、違反すれば厳しい罰則が科せられ、地域・国際社会での自社ブランド低下につながる懸念もあります。また、生産者が製品の生産・使用段階だけでなく、廃棄・リサイクル段階まで責任を負うという「拡大生産者責任」を求める動きもあり、進出企業は国内施策と同様に海外でも環境戦略が重要になっています。

次回は環境事案に巻き込まれないための対策についてお伝えします。

※本コラムは(株)ポスティコーポレーションの専門誌「ラバーインダストリー 2016年1月号掲載」記事を一部改編して掲載しています。

関連情報
執筆者プロフィール

main_img.png銘苅 洋 (めかる ひろし)
アミタ株式会社 海外事業グループ 海外事業チーム
チームリーダー
1998年に現アミタ株式会社に合流。国内の民間排出事業者への産業廃棄物再資源化の提案営業、ゼロエミッション支援、環境コンサルティングに従事後、(公財)地球環境戦略研究機関(IGES)へ出向、客員研究員。国際協力機構(JICA)技術協力プロジェクトにてケニアに専門家派遣(廃棄物管理能力向上PJ)。現在はアジア地区における国際資源循環事業や公官庁の環境関連調査、台湾とマレーシアにおける循環資源製造所の立ち上げに携わっている他、JICA研修講師や大学非常勤講師、環境リスクセミナー講演、各種雑誌への寄稿も行う。

商品価値から企業価値へ~2030年の環境戦略の姿~ の記事をすべて見る

無料メールマガジン登録はこちら

ご依頼・ご相談はこちら

このページの上部へ