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コラム

鈴廣|"生命をうつしかえる"老舗かまぼこ店が取り組む地域の循環おしえて!きかせて!環境戦略

suzuhiro_001.jpg神奈川県小田原市で150年以上続く かまぼこの老舗 鈴廣。
自然の恵みを活かしたかまぼこ作りの理念は、資源の循環や自然エネルギーの活用にも広がっています。
今回は、鈴廣かまぼこ株式会社 鈴木 悌介 副社長にお話しをおききしました。

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2015年8月にZEB認定を受けた新社屋

成田:今日は鈴廣かまぼこ本社におうかがいしていますが、とても明るくて快適な事務所ですね。

suzuhiro_002.jpg鈴木氏:ありがとうございます。こちらの建物は2015年8月に完成しました。経済産業省が推奨しているZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)に認定されています。ここ小田原には丹沢・箱根水系の豊富な地下水があります。この建物の空調システムはその地下水を利用しています。太陽光や地下水を利用することにより、同規模の建物と比較すると、エネルギーを約54%削減することが可能になっています。

写真:ZEBに認定されている鈴廣本社

成田:そんなに削減できるのですね。床材や天井には、地元小田原産のヒノキを使われていたり、よく見ると引き出しの取っ手に寄木細工があしらわれていたりと本当に素敵です。

鈴木氏:ありがとうございます。この新社屋はレストランや店舗で導入している自然エネルギーの集大成です。

いのちを移し替える立場として変えていく事、変えない事

成田:鈴廣の企業理念に「食するとは、生命をいただき、生命をうつしかえること。」という一文があります。分かりやすく教えていただけますでしょうか。

鈴木氏:はい。 鈴廣ではかまぼこの製造・販売をしていますが、一本のかまぼこを作るために6尾から10尾の魚を使用します。すなわち、かまぼこ一本に6尾から10尾の魚のいのちが詰まっていると言い換えることができます。鈴廣ではかまぼこをお客様に召し上がっていただくことは、魚のいのちをお客様のいのちに移し替えるお手伝いをしているのだと考えています。

成田: 日本人は食事の前に「いただきます」と手をあわせますね。

suzuhiro_003.jpg鈴木氏:そういうことです。我々は魚のいのちに余計なことはしないで新鮮なままお客様に伝えたい。ですから、保存料や品質改良剤のような添加物は使いません。

ただし、保存料を使わなくても日持ちする工夫は徹底的に行います。努力して改善できることは徹底的に行う一方で、お客様に正面を向いて正直に誠実に商売をする姿勢や、150年もの間、受け継がれお客様に愛されてきた伝統技術などは変えてはいけないと考えています。

画像提供:鈴廣かまぼこ株式会社

成田:なるほど。時代にあわせて、変えるべきところ、変えてはいけないところ、それぞれひたむきに取り組まれていく、ということですね。

鈴木氏:そうです。鈴廣には「老舗にあって 老舗にあらず」という社是があります。伝統を守り、新しいことに挑戦する我々の指針になっています。

農業と漁業、いのちをつなげる"うみからだいち"

成田:かまぼこづくりの改良を進められる一方で、"うみからだいち"という資源循環型モデルに取り組まれています。こちらについても教えていただけますか。

鈴木氏:"うみからだいち"は、かまぼこを作る際にでる魚の骨やアラ、同じく鈴廣で作っている「箱根ビール」の絞りかすを利用した肥料(魚肥)のことです。鈴廣では、それらも大切ないのちの一部だと考えています。この大切ないのちをゴミと扱うのではなく、次のいのちにつなげられないかという想いから生まれたのが、"うみからだいち"でした。

成田:食材加工から出る廃棄物も自然の恵みと捉え、肥料にして有効活用させたのですね。

鈴木氏:この魚肥は地元の農家さんに使ってもらい、そこでできた野菜や果物は鈴廣のレストランで提供されています。魚肥は、安心安全な農作物を育てると同時に、土壌の活力を回復させます。雨が降る事で土壌の養分が川に流れ込み、再び海に帰っていきます。この"うみからだいち"を通じて漁業と農業がつながり、地産地消が進むことで、循環型モデルが作られ、自然の再生にもつながればと思います。

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出典:小田原 鈴廣かまぼこHP

成田:昔は当たり前のようにつながっていたいのちを、今、改めてつなげ直すことは本当に大事ですね。

食からエネルギーへ。地産地消の取り組み

成田:改めて新社屋の話に戻りますが、自然エネルギーをたくさん活用されていますね。

鈴木氏:はい。自然エネルギーとは太陽光発電だけではありません。この新社屋では自然光利用や地中熱、地下水を利用した空調システムを導入しています。小田原の地下水は年間を通して16-17℃と安定しており、この地下水を空調の熱源として利用しています。レストランの厨房では太陽熱を利用した温水をつくっています。

成田:そうなんですか。太陽光発電以外にも使えるエネルギーは本当にたくさんあるんですね。

鈴木氏:そのとおりです。鈴廣では小田原の豊富できれいな地下水を使用して、150年間かまぼこを作ってきましたが、水そのものが自然のエネルギーであることに気が付いたのです。東日本大震災を機に、いろんな自然エネルギーを取り入れることを考えました。小規模分散・独立型の施設にすることで、災害時の受入拠点にもなります。

成田:エネルギーにおいても、自然の恵みを余すところなく使う、ということですね。

鈴木氏:そういうことです。この取り組みは鈴廣だけでなく、小田原全体にも広がっています。2012年には地元の中小企業24社とともに「ほうとくエネルギー株式会社」を立ち上げました。こちらでは公共施設の屋上を借りての太陽光発電と、市民ファンドを募り山間部でメガソーラーでの発電を始めました。今は「ほうとくエネルギー」で作った電気を地元の家庭でも使えるような構想を考えています。

いまの環境は未来からの借り物。未来へタスキをつなぐ。

成田:食品でもエネルギーでも循環の仕組みをつくる事で、より地域に根差した企業になる、ということでしょうか。

鈴木氏:答えになるか分かりませんが、いつもこんな話をしています。鈴廣のお店の前は、箱根駅伝の中継所となっています。企業も箱根駅伝と同じように、先代から受け取ったタスキを次の世代に少しでもいい形で渡すためにはどうしたらよいのか、を考えてはどうでしょうか。現代に生きていると「ここは私の土地」「ここはわが社の工場」と、つい考えてしまいがちです。しかし、自分たちの未来から借りているもの、と考えるとどうでしょう。自分たちの未来からの借り物と考えると、借りたものはきれいにして返しますよね。このような考えをもって、継続して取り組んでいく事が結果的に地域に根付くことになるのではと思います。

まとめ
  • 時代に合わせた経営を行いながら、伝統技術・お客様に対する姿勢は守る。
  • 自然の恵みを存分に生かした経営を行うことで、循環型モデルを構築する。
  • 自然エネルギーを最適な形で有効利用することで、電気に依存しない経営を行う。
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話し手プロフィール

suzuhiro_mr.suzuki.jpg鈴木 悌介 (すずき ていすけ) 氏
鈴廣かまぼこ株式会社
代表取締役 副社長

現在、鈴廣かまぼこグループの代表取締役副社長。慶応元年(1865年)創業の歴史を尊重しつつ、変化し続ける日本人の食生活の中で、かまぼこの存在価値を高めるべく挑戦の日々をおくっている。商工会議所活動にも関わり、日本の元気は地域からという考え方で、地元のみならず全国のネットワークを活かし、地域の資産を活かした活性化を目指し活動。
「エネルギーから経済を考える経営者ネットワーク会議」を立ち上げ、2013年11月に一般社団法人化。現在、その代表理事を務める。著書『エネルギーから経済を考える』を出版。

聞き手プロフィール

Narita.jpg成田 晴香 (なりた はるか)
アミタホールディングス株式会社
経営戦略グループマーケティングチーム

神奈川出身。事業を通じ、あらゆる社会課題の解決を目指すアミタに魅力を感じ、入社。現在は、非対面の営業チームであるカスタマーリレーションチームにて、電話やウェブ、メールマガジンを通じて廃棄物および環境管理担当者に業務支援や教育ツールの案内業務を行っている。

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