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日東電工|MFCAを経営ツールとして使う!おしえて!きかせて!環境戦略

nitto_000.jpg日東電工株式会社(以下 Nitto)は粘着や塗工といった基礎技術を応用し、包装材料・半導体関連材料・光学フィルムなどを製造する総合材料メーカーです。一方で、マテリアルフローコスト会計(以下 MFCA)導入の日本初のモデル企業としても知られています。今回は、品質・環境・安全統括部門グループ環境戦略部課長の高比良様と、同部サステナブル推進グループ課長の村手様に、環境経営を推進する中でMFCAをどのように活用しているのかお聞きしました。

写真:左から高比良氏、村手氏(Nitto)、田岡(アミタ)

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簡略化させた「まてふろ」をグループ内に展開

田岡:御社は経済産業省のMFCA導入モデル企業の第1号ですね。実際どのような効果があったんでしょうか。

村手氏: 2000年にモデル企業の第1号として指名され、同年エレクトロニクス用粘着テープを対象製品として製造ラインにMFCAを導入しました。具体的には、工程ごとに原料の使用量や廃棄物発生量を測定し、それらをベースに製品原価の中に含まれる廃棄物原価を算出しました。算出した金額をもとに工程改善などを推進した結果、2004年度までに工程から出る廃棄物が10%削減されるなど一定の効果を得ました。

田岡:なるほど、製造工程のインプットとアウトプットを徹底的に測定し、管理することで合理化を図るわけですね。これは今も行われているんでしょうか。

村手氏:実は一時期下火になったのですが、今はやり方を少し変えて再始動しています。というのも、当初は廃棄物発生量を工程ごとに厳密に測定したため、製造現場にとっては負担になり、継続的な運用が難しくなっていた時期もあったのです。しかし、環境面から見た廃棄物削減の気運の高まりもあり、再びMFCAへの取組みを始動しました。

田岡:そうだったんですね。それで今の簡略化させた「まてふろ」の展開を再スタートしたと。

村手氏:そうなんです。まず、2014年にMFCAの導入を再検討するチームが発足しました。NittoではMFCAのことを「まてふろ」と呼んでいますが、チーム発足の同年に拠点横断型の「まてふろ専門委員会」を設立、MFCAで用いる計算式を簡略化させるなど、Nitto内でMFCAの導入を進めやすくしました。MFCAに取り組む担当者の交流会を定期的に行ったり、依頼に応じて各拠点で勉強会を行うなど、少しずつですが各拠点で取り組みの輪が広がっています。

MFCAを使って着眼大局、着手小局の工程改善

田岡:各拠点に浸透しつつあるとのことですが、Nittoで取り組まれているMFCAについて、もう少し詳しく教えてください。

村手氏:まず、製造ラインごとにマクロ面から分析します。これにはPLなどの財務データや歩留まりを用います。分析を進める中で、原材料ロスが大きい、エネルギーロスが大きいなどといった様々な事実が明らかになり、改善の切り口が見えてきます。製品ロスが原材料に起因すると分かれば、MFCAを使って、原材料のうち廃棄に回っている金額を算定します。

田岡:なるほど、廃棄となってしまう原材料費などを可視化させる事が特徴なんですね。

高比良氏:「○○tの原材料が廃棄に回っている」という情報よりも、「○○円分の原材料が廃棄に回っている」という情報の方が伝わりやすく、設備投資を行う際にも有益な判断材料となります。

nitto_002.jpg村手氏:また、一連の製造工程を通して分析する事もポイントです。いわゆる一般的な改善活動は手元のライン最適や、建屋最適の発想から始まると思います。これに対してMFCAは工程全体から考える、つまり全体最適から考えるので改善の効果も大きくなりやすいといえます。Nittoでは、国内のみならず東アジアエリアにおいてもMFCAを導入していますが、今後はこれをグループ全体、さらにはサプライチェーン全体にも広げて行きたいと思います。

田岡:具体的にMFCAが活かされた事例を教えてください。

村手氏:偏光板や光学フィルムを製造している海外拠点の例をお伝えします。ジャンボロール状の原反から、検査用にサンプルを打ち抜く工程があるのですが、MFCAを導入した結果、このサンプリング工程でロスが大きいことが分かりました。偏光板や光学フィルムは単価が高いので、サンプルを数点とるのでも打ち抜き方で工程全体のロスに大きく影響していたのです。対策としては、打ち抜きのパターンやパスラインの変更などを実施しました。一見地道な改善策のように思えますが、このような小さな改善の積み重ねが重要なのです。

MFCAで本業と環境取り組みとをつなげる

田岡:MFCAの考え方が社内で広がる事はどんな効果があるのでしょうか。

高比良氏:MFCAを使うことで、製造ラインの課題が発見しやすくなるという効果があると思います。先ほどもお伝えしたように、マテリアルフローのなかで無駄なもの、負の製品にかけているコストがはっきり「見える化」されるので、改善効果も見えやすくなります。

nitto_003.jpg村手氏:MFCAという共通言語が社内にできたことは大きいですね。「まてふろ専門委員会」を通じてMFCAという土台の上で共通認識をもって議論することができますので、PDCAもスムーズに進むと思います。現場単独で合理化がすすめられるもの、仕様変更が必要となり拠点の判断となってくるもの、活動自体はさまざまなものがありますが、そういった一連の取り組みや、そこから得たナレッジの蓄積がNittoの財産になってくるのだと思います。

田岡:環境基本方針の中で「豊かな地球を次世代に」というスローガンを掲げていらっしゃいますね。MFCAはどのようにリンクするのでしょうか。

高比良氏:次世代の子供たちへの責任として、グローバルに活動する企業は、環境、資源を維持、確保していく義務があると考えています。利益だけの追求ではいけません。具体的には、廃棄物、消費エネルギーを最小限化し資源を残す。またCO2削減による温暖化防止等環境負荷低減も重要な課題です。さらには環境配慮型製品を提供していくことにも積極的に取り組み環境貢献を目指しています。

MFCAは環境負荷低減を実現するためのツールの一つですが、「環境負荷」という分かりにくい形ではなく、「ロス」や「コスト」といった、企業収益につながることが現場レベルでも腹落ちしやすい形で見える化されるので、低減取り組みを浸透させやすくなっていると思います。

田岡:MFCAは、本業の収益性を高めることと、環境に配慮することとを分かりやすくつなげる役割を担っているということですね。

今日はありがとうございました。

日東電工の取り組みから学ぶポイント
  • マテリアルフローに着目することで、ライン最適や建屋最適の発想から視座が上がる
  • 「まてふろ専門委員会」という横断型の組織があることで、MFCAによる合理化が会社のナレッジになる
  • 改善効果が金額算出できるため、共通認識を持ちやすい

日東電工株式会社【グループレポート 2015】はこちら。

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話し手プロフィール

mr.takahira.jpg高比良 等 (たかひら ひとし) 氏
日東電工株式会社
品質・環境・安全統括部門グループ環境戦略部 課長

長崎県出身。長崎大学工学部卒業。Nitto入社から約30年間熱硬化樹脂や粘着テープの研究開発に従事。現在は、環境KPI達成のための戦略や、今後の環境活動の企画を行っている。

mr.murate.jpg村手 健朗 (むらて けんろう) 氏
日東電工株式会社
品質・環境・安全統括部門グループ環境戦略部 サステナブル推進グループ 課長

愛知県出身。名古屋工業大学大学院物質工学科修了。Nitto入社後は生産技術開発部門にて、材料やプロセスの開発及び生産技術系人材の育成などに従事。2015年からは現部署でMFCAの普及・促進を行っている。

執筆者プロフィール

taoka.jpg田岡 拓未 (たおか たくみ)
アミタホールディングス株式会社
経営戦略グループ マーケティングチーム

神奈川県出身。北海道大学農学部卒業。林業や地域振興に興味があり、アミタが環境認証審査、未利用資源を活用した地域循環型モデルの構築を行っていることを知り、入社を決意。現在は、マーケティングチームにて、非対面の営業・セミナー企画・ウェブサイトの運営などを担当。

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