株式会社富士メガネ|代表取締役会長・社長兼任 金井 昭雄 氏 シリーズ「経営者が語る創業イノベーション」インタビュー(第二回) | 企業の環境・CSR・サステナビリティ戦略に役立つ情報が満載!

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コラム

株式会社富士メガネ|代表取締役会長・社長兼任 金井 昭雄 氏 シリーズ「経営者が語る創業イノベーション」インタビュー(第二回)経営者が語る創業イノベーション

fujimegane_header.jpg創業者は、社会の課題解決のため、また、人々のより豊かな幸せを願って起業しました。
その後、今日までその企業が存続・発展しているとすれば、それは、不易流行を考え抜きながら、今日よく言われるイノベーションの実践の積み重ねがあったからこそ、と考えます。
昨今、社会構造は複雑化し、人々の価値観が変化するなか、20世紀型資本主義の在りようでは、今後、社会が持続的に発展することは困難であると多くの人が思い始めています。
企業が、今後の人々の幸せや豊かさのために何ができるか、を考える時、いまいちど創業の精神に立ち返ることで、進むべき指針が見えてくるのでは、と考えました。
社会課題にチャレンジしておられる企業経営者の方々に、創業の精神に立ち返りつつ、経営者としての生きざまと思想に触れながらお話を伺い、これからの社会における企業の使命と可能性について考える場にしていただければ幸いです。

(公益社団法人日本フィランソロピー協会理事長 高橋陽子)

株式会社富士メガネ「経営者が語る創業イノベーション」インタビュー
第1回 第2回 第3回 第4回

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アメリカでオプトメトリストを目指す

fujimegane02_001.jpg高橋:金井さんがアメリカで「オプトメトリー(※1)」を勉強されたのは、視力検査の技法や知識を自主的に学んで、松下幸之助さんが「世界一のメガネ屋さんだ」とおっしゃったお父様の影響なんですね 。

金井氏:父はそれなりに極めたけれど、いろんな複雑な事例があって、わからないことはたくさんありました。それで、1966年に、わたしが大学を出ると「アメリカで勉強して来い」といったんです。大学が商学部で、理系の単位が足らなかったので、プレ・オプトメトリーという2年の課程を経て、専門を4年やりました。

画像説明:メガネの役割は視力の回復と補正。見えることで自立でき、サービスに社会性があります。

高橋:大学を出てさらに6年。文化系だったのに、理科は得意でしたか?

金井氏:これが最悪。ダメな化学は入門コースから始めて、生物学、細菌学はもっと大変。講義を録音していいかと聞くと、わからないならやめなさいと教授に言われて、奮起しました。最後は17、8人中で2番でしたね。

高橋:頑張りましたね。ところで、アメリカはベトナム戦争のころ、どんな生活でしたか?

金井氏:イングリッシュさんという、娘ふたりと息子のいる白人家庭の家で、世話になりました。ファーイースト(極東)といわれた国の、見知らぬ人間を受け入れてくれた家族のおかげで、外国での生活に耐えられました。アメリカ人は懐が深いなと思いますね。

高橋:自分のしたかった勉強を、息子さんが極めたんですから、お父様はさぞ嬉しかったでしょう。

金井氏:残念ながら、両親は、卒業式に来られなかったけれど、イングリッシュさんは、学校の事務長でしたから卒業証書を渡す役割で、泣いてました。

高橋:アメリカでは、ボランティア体験もなさったとか。

金井氏:卒業して1年間アメリカで働いたんですが、同僚から誘われ、アリゾナ州フラッグスタッフのネイティブアメリカンの居留地に行きました。視力検査をしてメガネをあげるんですが、大変感謝され感動しました。それがボランティアの原点です。
オプトメトリストは、最後にはメガネをあげますが、それだけではないんです。メガネの役割は視力の回復と補正。それによって生活の質が変わります。見えることで自立できるようになるんです。サービスに社会性があって役に立つ。地味ですけど仕事の意味を感じました。

※1 「オプトメトリー」とは眼科学と光学の総合的な学問で、この分野の学位を得た者を「オプトメトリスト(検眼医)」という。欧米では医師に匹敵する国家資格。

アメリカでの経験を活かした総合的サービス

fujimegane02_002.jpg高橋:アメリカから日本に戻られて、お父様の会社に入られたんですね。

金井氏:店では、オプトメトリーの理念の入り口みたいなことをやってましたが、繁盛していて、土曜・日曜には、お客様が100人、150人と押し寄せて来ていました。

高橋:札幌では、有名になっていたんですね。

画像説明:スクリーニング的サービスも一部可能、毎年多くの人を眼科に紹介しています。

金井氏:検査の点ではそうだと思います。度数の検出に関して、父は、わたしの10倍くらいのスキルを持っていました。今やっているサービスの深み・幅とは違いますが、当時としては、精いっぱいだったと思います。そこでわたしは、だんだんと、総合的なサービス、パッケージ化のための勉強会を始めました。日本語のテキストがないので、自分で作りましたよ。もちろん法律がありますから、眼科専門医の指導を仰いでいます。

高橋:お医者さまとの連携があるのですね。
 
金井氏:高齢化のヘルスケアの面でありますね。糖尿病や高血圧、動脈硬化がありますが、これらの生活習慣病は、血液や血管の病気になります。脳や眼底には超密な血管のネットワークがあるので、詰まったり破れたりして出血する。日本でも、この傾向は変わりありません。毎年スクリーニングで、3,000人前後の人を眼科に紹介しています。

高橋:まさにプライマリーケア(※2)。

金井氏:そうなんです。次男は、カリフォルニア大学バークレー校オプトメトリスクールのプライマリーケア専門の臨床助教授です。
アメリカでは、4万人以上いるオプトメトリストが、スクリーニングで予防医学的な早期発見、早期対応的な役割を担っています。

高橋:日本ではないですね。

金井氏:いまの健康保険制度ではできませんし、誰にも義務はありませんが、我々のところに来られた場合には、スクリーニング的なサービスも一部可能です。脳腫瘍みたいな事例が、年に1、2回ですが、舞い込んでくることもあります。

高橋:目は健康の入り口ですね。認識を新たにしました!

※2 プライマリーケア(英: Primary care):最初に施される治療。患者が最初に利用する医療は,地域の医師による総合的な診断処置および指導であるべきとする考え方に基づく。(出典:三省堂 大辞林)

(2016年12月6日札幌市内、株式会社富士メガネ グランドホテル前店にて)


つづく


話し手プロフィール

mr.kanai.jpg金井 昭雄(かない あきお)氏
株式会社富士メガネ
代表取締役会長・社長兼任

1942年樺太豊原市生まれ。1966年早稲田大学商学部卒業。1972年サザン・カリフォルニア・カレッジ・オブ・オプトメトリー卒業。カリフォルニア州オプトメトリー営業ライセンス取得。
1973年日本に帰国、富士メガネ入社。1996年富士メガネ社長就任。2006年富士メガネ会長に就任、国連難民高等弁務官事務所 「ナンセン難民賞」で日本人初の受賞。2007年富士メガネ会長・社長を兼任。
2009年緑綬褒章を受章。2012年渋沢栄一賞を受賞。
日本眼鏡技術者協会会長代行、WCO(世界オプトメトリー会議)理事、WOF(世界オプトメトリー財団)理事、APCO(アジア太平洋オプトメトリー会議)会長などを務めた。
現在、富士メガネ「海外難民・国内避難民視力支援ミッション」代表、グローバルコンパクト・ジャパン・ネットワーク理事、国連UNHCR協会理事、マーシャル B.ケッチャム大学(米国カリフォルニア州)理事

※「2017年1月、2017年ナンセン難民賞候補者ノミネートのプロモーションとして、視力支援活動を紹介した映像が、UNHCR本部のFacebook上で公開される。」
https://www.facebook.com/UNHCR/videos/10155926635978438/

聞き手プロフィール

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高橋 陽子 (たかはし ようこ)
公益社団法人日本フィランソロピー協会
理事長

岡山県生まれ。1973年津田塾大学学芸学部国際関係学科卒業。高等学校英語講師を経て、上智大学カウンセリング研究所専門カウンセラー養成課程修了、専門カウンセラーの認定を受ける。その後、心理カウンセラーとして生徒・教師・父母のカウンセリングに従事する。1991年より社団法人日本フィランソロピー協会に入職。事務局長・常務理事を経て、2001年6月より理事長。主に、企業の社会貢献を中心としたCSRの推進に従事。NPOや行政との協働事業の提案や、各セクター間の橋渡しをおこない、「民間の果たす公益」の促進に寄与することを目指している。

主な編・著書

  • 『フィランソロピー入門』(海南書房)(1997年)
  • 『60歳からのいきいきボランティア入門』(日本加除出版)(1999年)
  • 『社会貢献へようこそ』(求龍堂)(2005年)
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