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コラム

第2回:行動の背景、意図、課題認識等をより知りたかったレポートって毎年作成する意味ありますか?

141015-2-001.jpg毎年作成するCSRレポートですが、「作ったけど、なかなか本音で読者の声が聞けない」「次回作のために、専門家のアドバイスが欲しい」ということってありませんか?

本企画は、特定のレポートを有識者がレビューし、各社にも活用できる視点をコラムにする第二回。今回は、ソーシャルウェブマガジンgreenz.jpの編集長である兼松佳宏氏、京都大学iPS細胞研究所国際広報室の渡邉文隆氏の2名の若手有識者、及び、レビュー対象になったカスタネット代表取締役社長の植木氏に京都の風伝館に集まって頂き、有識者が本音で切り込むCSRレポートについての対談が実現しました。CSRレポートを読む際の視点として、有識者がどのように考えているのか。当日のファシリテーターはCSRJAPAN(※1)の編集長である猪又が担当しました。

■本コラム一覧

(※1)CSRJAPAN・・・2010年11月4日~2017年6月29日までアミタ(株)が運営していたWebサイト。2017年6月29日以降は「おしえて!アミタさん」サイトに統合

行動の背景、意図、課題認識等をより知りたかった

141015-2-002.jpg渡邉氏:今回より伝えるための課題検討をする際に、内容と伝え方に要素を分け、まず内容が本当に「いいこと」なのかを改めて考えてみました。貴社の特長的な活動の1つに、寄付がありますね。私はこれまで様々なNPOの企業から寄附について、事例として触れてきましたが、それらの経験から照らし合わせても、小さな企業が寄付をするというスタイルは、良いことだと思います。1つは、「大きな企業だから寄付をする」という「常識」を覆すもので、寄付は「余裕があるからすること」ではないという主張になっていると思います。2つ目は、10年以上継続しているということ。継続というのは寄付を受ける側にとって非常にありがたいことである一方、寄付する側(ドナー)にとっては大変なことです。あらためてその価値の素晴らしさを感じました。

画像:
京都大学iPS細胞研究所国際広報室の渡邉 文隆 氏

141015-2-003.jpg渡邉氏:次に「伝え方」の部分についてです。このレポートで私がわからなかったことは、寄付先をどう選び、なぜ続けているのかという点です。私が現在非常に仕事をしやすいのは、当研究所の目的が「iPS細胞技術を患者さんへ届けたい」という1点にしぼられているからです。おそらく貴社も最終的には1つのゴールがあり、その手段として様々な活動をされていると思いますが、そのゴールが何かというのが見えませんでした。寄付を始めたきっかけは松下幸之助さんとレポートにありますが詳しくお聞かせいただけますか?

画像:カスタネットの寄附ページ

累積損が6,000万円。個人資産もどん底だったが、寄付活動はやめなかった。

植木氏:高校時代から松下幸之助さんの書籍ばかり読んでいました。起業した当時、累積損が6,000万円あって、個人資産も含めてどん底でした。日々の生活にも困窮する状態でしたが、寄付活動はやめませんでした。粘り強く続けた結果、不思議なことに「どうせ買うならカスタネットで」という市民活動が京都で起りました。不買運動が多くを占める市民活動で、購買運動が起こりました。そのおかげで3年目にようやく黒字転換し負債返済もできました。

141015-2-004.jpg兼松氏:greenz.jpでも「キャロットモブ 」という購買運動を取り上げたことがありますが、カスタネットさんでも起こっていたんですね。
レポートって毎年作成する意味ありますか? 第2回
植木氏:その他にも学校設立の寄付は、実は誤訳から始まっています。「学校をなんとかしましょう」という意味で書いた文章を、翻訳違いで「学校を建てましょう」と誤訳されていました。その際も、300万円借金して学校を建てました。これらの寄付活動を継続している意図としては、寄付文化を育てたいという想いがあります。

渡邉氏:翻訳を間違えたならそのように説明することも可能だったと思われます。でもそのまま継続実行されたのは、それを1つの「ご縁」と捉えられた。そして貴社は「ご縁」というものを相当に重要視されているのではないかと思いました。次回作では、そういった個々の行動の背景にある意図や、貴社の精神のようなものがより伝わることを願います。

レビューするレポート:株式会社カスタネット「小さな企業のCSR報告書」

140903-005.png発行年:2012年 ページ数:18 
想定読者:従業員とその家族、既存顧客
業種:オフィス用品卸売業
同レポートはCSR JAPANアクセス数2012年第2位、2013年第3位。

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