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コラム

東大院生レポート第7回:日本の森には資本あり長濱さん@東大院生レポート

私は森に関わる活動が好きで、森林の調査研究をしています。現在はインドの森林をフィールドとしていますが、森林のファンとしては日本や地域の森林・林業にも心をくだいています。今回は地域から発信している活動を通じて、私たちの身近にある森について、関心持っていただくことができればと思います。

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「里山ボランティア」~地域の森林における共同利用と管理

nagahama7-002.jpg私が住む千葉県松戸市では、毎年紅葉の時期が近づくころ、広報に「身近な緑を知る・守る5つの体験-里やまボランティア入門講座」(通称:里やま講座)のお知らせが掲載されます。5回の講座を終えると修了証書が授与され、同期のメンバーで樹林地保全活動団体が結成されます。現在12の組織(つまり12年目を迎えた)がネットワーク化を図りながら市民活動組織(NPO等)と行政担当課との共同(協働)で交流、連携して市内255ha(市域面積の約4%)の樹林地の保全活動を行っています。行政と市民による林地の共同管理と利用の動きは、松戸市だけでなく全国的に草の根的組織が結成され、広がりを見せています。

写真1:松戸里やまボランティア「樹人の会」

林業女子会 森づくりの活動

nagahama7-001.jpg私が所属している林業女子会@東京では「次世代に豊かな緑と暮らしをつなぐ」を活動理念として、木材利用や森林活用、林業振興に向けて活動しています。

今までメンバーが企画した活動には、下記のようなものがあります。
①千葉県市原市の森での森づくり活動(ほぼ毎月)
②都内での定例会(女子会)・林業地・森林林業にまつわる現場の訪問見学
③森めぐり活動
④森林・林業にかかわるイベントの実施

先日は「木とあそぼう 森を考えよう with more trees」が、赤坂のアークヒルズで開催され、私たちもイベントをサポートしました。「東京の地」をベースとして、より多くの人に「木を使う、森に行く、木を加工する」ことを身近に感じてもらえる機会を創出しています。

写真2:提供 more trees

日本の森林の概要と課題

nagahama7-004.jpg日本の2500万ha(森林率は約7割)は森林におおわれていて、そのうち1300万ha(約5割)が天然林、1000万ha(約4割)が人工林(国土のおよそ4分の1)です。戦後、輸入木材との競争などによって国産材の利用が衰退し、立木の価格がピーク時の3分の1以下まで低下し、数十年かけて育林し伐倒しても利益の見込みがあるとは言い難い状況になりました。林業従事者は40万人から5万人以下にまで減少しました。戦後の薪炭材の需要減少により森へ入る機会が減ったことや、間伐などの手入れの不足から人工林の質が低下、そのため災害が起こりやすくなり国土保全の観点でも危ない状況です。林業再生と市場の再構築が、日本の森林の課題の一つといえます。

写真3:北海道富良野の天然林

日本の森林の価値は75兆円以上

nagahama7-005.jpg森林は、水源を涵養する機能、土砂流出の防止、二酸化炭素の吸収などの公益的機能をもっていて、日本のその評価額は約75兆円(林野庁 2000年)と算出されています。また森林は海へ養分を供給し、土壌をも豊かにします。さらに生物種の3分の2は森林のある場所に住んでいるといわれています。森林の持つ価値は地球規模でみればもっと高いといえるでしょう。こうした自然を資本ととらえる考え方を「自然資本(natural capital)」と言います。資本とは、経済学の用語で「生産の原資・手段」を指し、その意味では、森林は生態系サービスを供給する自然資本であるといえます。

写真4:吉野の人工林

森のあるところに資本あり

森林の価値は豊かな生態系の営みがあるばかりでなく、森林ボランティアや林業女子会の拠点として人をつなげる人的資本の創出の場でもあり、共同管理としての社会資本や、木材という物的資本があり、かつ立木の値段が上がれば金融資本としても価値が高まるという様々な可能性を秘めているといえます。また生態学や経済学にとどまらず、医学の分野では林内散策による健康維持や森林による癒しの効果や、教育学では自然体験学習や森林教育などの蓄積が報告されており、森林とのかかわりを意識的に持つことで得られる利益は、価格による算出を超える大きな価値があると考えます。

森林にはこうした宝物であふれています。森の中に入れば、さまざまレベルでの発見があります。まずは地域の森を訪れてみませんか。

プロフィール

nagahama_pro.jpg長濱 和代(ながはま かずよ)氏

東京都の小学校教員をしていた2006年に、(株)花王のCSRを通じて、国際環境NGOアースウォッチによる途上国の森林プロジェクトに参加して、地球環境の劣化を目の当たりにして以来、環境教育の可能性を模索中。2013年3月に筑波大学大学院生命環境科学研究科で環境科学修士。同年4月から東京大学大学院・新領域創成科学研究科博士課程に在籍中。

<研究テーマ>
海外の研究調査地は北インド・ヒマラヤ山麓に位置するウッタラーカンド州で、住民参加による森林管理の事例として森林パンチャーヤトを研究している。インドは今後世界中で最も多い人口を抱え、経済的かつ地球環境的変化を遂げる国の一つとして注目している。
そもそも算数・数学の教師で、理数系の好きな人たちを増やそうと、算数教材研究を行ってきた。ハンズオン・マス研究会幹事 http://handson.exblog.jp/
(株)パナソニックのCSRとしての施設であるリス―ピアや、算数・数学で町おこしを試みている和歌山県橋本市などの市町村で,算数の出前授業を、また算数教科書の執筆にも関わっている。

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