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コラム

拡大するサケ養殖と企業が気を付けるべきポイントとは?WWFジャパンが語る!企業に求められる水産サステナビリティ

170627_wwf-001.jpg前回のコラムでは、サステナブルな水産業を推進するための一つのソリューションとしてMSC・ASC認証をご紹介しました。3年後の東京オリンピック・パラリンピック大会でも、水産物の持続可能性と認証制度については熱く議論されており、食料品に関する環境配慮すなわち「サステナビリティ」が注目されています。今回は、チリでの事例を中心にサケ類養殖の現状についてお伝えします。

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サケ類養殖の現状と問題

日本の食卓に欠かせないサケ。近年世界のサケ類*の生産量、特に養殖生産量が急増しています(図1)。その中でも、ノルウェーとチリが世界のサケの二大養殖生産地となっており、この二か国で養殖全体の約7割を占めています(図2)。日本は、チリから多くの養殖サケを輸入しており、天然と養殖を合わせた日本のサケ類供給量のうち、実に約36%がチリ産です(図3)。

このようにサケの養殖が拡大する一方、養殖がもたらす環境への影響が問題視されています。例えば、餌の食べ残しや排泄物、死骸の堆積による水質汚染をはじめ、病気の蔓延を防ぐために抗生物質などの化学薬品が大量に使用されることによる、自然環境や野生生物への影響が危惧されています。そのため、昨年チリで大規模な赤潮が発生した際には、サケ養殖が非難の的となりました。赤潮によって漁業の対象となっている魚などが大量に死亡したことで経済的に大きな損失を被った漁業者により、サケ養殖が赤潮の発生ないしは規模が拡大した原因であるとの抗議活動が行われたのです。これは、チリ国内のみならず国外でも深刻な問題として取り上げられました。サケ養殖と赤潮との関連性については調査・研究が行われており、明確にはなっていません。しかしこうした問題は、チリのサケ養殖や加工・流通に携わる企業にとって、経済的損失につながる可能性があるだけでなく、企業自身の社会的な評判やブランド価値の低下を招くリスクにもなります。(図はクリックすると大きくなります。)

*サケ類=ここではサケ属とタイセイヨウサケ属に分類されるものを指す。

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図1. 世界のサケ類生産量の推移 (FAO Fishstat)

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図2. サケ類の国別養殖生産量(2014年)
(FAO Fishstat)
図3. 日本のサケ類供給量(2015年)
(水産物パワーブック2016年版)

持続可能性がビジネス継続のカギに

サケ養殖や加工・流通に携わる企業にとって、上記のような問題はビジネスの継続にも関わります。そのため、生産に携わる企業は自然環境や地域社会に配慮した責任ある養殖を、加工・流通に携わる企業は持続可能な水産資源調達を実践、推進していくことが欠かせません。そのためにまず出来ることとして、自然環境や地域社会に配慮した責任ある養殖であることを担保するツールであるASC(水産養殖管理協議会)認証制度(以下、ASC認証)のサケ類の基準に照らして養殖操業の現状を確認することや、ASC認証を取得している製品かどうかを確認することが考えられます。

また、ASC認証はいま欧米を中心に世界で広がりを見せており、チリでも、認証を取得するサケ養殖場の数が2016年の1年間で約20件増加するなど、大きな動きが見られます 。さらに、ASC認証取得を目指し、サケ類の基準に基づいて、自然環境への配慮や地域社会との調和を図りながら、養殖操業の改善に取り組む企業も増えています。サケ養殖や水産食品の製造加工・流通に携わる企業にとって、ASC認証の取得や養殖操業の改善を推進していくこと、およびASC認証を取得した水産物を積極的に利用することは、企業リスクの低減、ひいては長期的なビジネスの継続に直結します。サケの一大消費国である日本の企業がこれらのことに積極的に取り組み、自然や地域社会と共存しながらサケ養殖に携わっていくことが期待されています。

次回は、サケ養殖と同様に、問題を抱えるマグロ漁業管理の現状について解説いたします。

参考

ASC認証ウェブサイト

執筆者プロフィール

wwf_mryoshida.jpg吉田 誠(よしだ まこと)氏
公益財団法人世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)
自然保護室海洋水産グループ 

2013年にWWFジャパンに入局。黄海エコリージョンでの保全プロジェクトを中心に、海洋保全活動に従事。2016年より、チリ、インドネシア、中国での漁業・養殖業改善プロジェクトの支援、および日本での持続可能な水産物の促進に携わる。

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