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雑品スクラップとは?廃棄物と有価物のグレーゾーンを正す!|平成29年改正廃棄物処理法の3大テーマ解説第2弾!BUNさんの「元・行政担当者が語る 廃棄物管理のイロハ」

Some_rights_ reserved_by_ baselactionnetwork.jpg改正廃棄物処理法が6月9日に成立しました。環境省は「改正概要」にて、大きな改正事項は、

1.不適正事案対応
2.雑品スクラップ対策
3.親子会社の特例

の3つであると述べています。前回は、「親子会社」について取り上げましたので、今回は、「2.雑品スクラップ対策」について考えてみましょう。まずは、簡単な概要をご紹介します。

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▼参考:平成29年3月10日 環境省報道発表資料より

<法改正の背景>
鉛等の有害物質を含む、電気電子機器等のスクラップ(雑品スクラップ)等が、環境保全措置が十分に講じられないまま、破砕や保管されることにより、火災の発生や有害物質等の漏出等の生活環境保全上の支障が生じており、対応の強化が必要となっています。

<法律案の概要>
(2)有害使用済機器の適正な保管等の義務付け
人の健康や生活環境に係る被害を防止するため、雑品スクラップ等の有害な特性を有する使用済みの機器(有害使用済機器)について、

  • これらの物品の保管又は処分を業として行う者に対する、都道府県知事への届出、処理基準の遵守等の義務付け
  • 処理基準違反があった場合等における命令等の措置の追加


等の措置を講ずる。

そもそも雑品スクラップとは?改正の背景とは?

雑品スクラップとは、家電やOA機器、工業機器等のスクラップのことですが、これらには、銅、真鍮、アルミニウム、ステンレス、鉄、プラスチックなど、様々な物質が含まれています。銅、真鍮は貴重な金属資源ですので、雑品スクラップは廃棄物としてではなく、経済的価値のある「有価物」として取り扱われることがあります。しかし、貴重な金属の中には、有害であるものも少なくありません。たとえば、カドミウムやクロムなどは過去に、公害事案の原因物質となったものでもあります。

ところが、今までの廃棄物処理法では、『価値の無い廃棄物なら廃棄物処理法で規制できるが、有害であっても価値のある「有価物」は規制できない』という概念、慣習のようなものがありました。そのため、「有害、リスク等はあるが価値のある物」については、廃棄物処理法では取り扱ってきませんでした。この、「有害、リスク等はあるが価値のある物」の一つが、「雑品スクラップ」という訳です。

しかし、本来、通称「廃棄物処理法」の正式名称は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」であり、「清掃」という文言も含まれています。第1条の目的では「この法律は、廃棄物の排出を抑制し、及び廃棄物の適正な分別、保管、収集、運搬、再生、処分等の処理をし、並びに生活環境を清潔にすることにより、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的とする。」とあります。
廃棄物の処理だけではなく、「生活環境を清潔にすること」も「生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図る」手段の一つとして明示されていますので、これらの是正は必要であると考えられます。

近年、このような廃棄物なのか有価物なのか、一目では判断しかねる「物」が社会的に問題となっています。正当に扱っている業者も数多くいるのですが、一部の不心得者が、廃棄物処理法やバーゼル法(有害な物品の輸出入に関する法律、国際的なバーゼル条約に対応するために作られた国内法)を逃れるために、雑品スクラップを「有価物」と主張する事案が頻発しています。それらの中には、「有価物」でなく廃棄物として扱った方が良いものがあったでしょうし、「有価物」であっても有害で取り扱いに注意しなければならないものもあったでしょう。実際に、雑品スクラップが、輸出する港で火災の原因となったり、輸入国の審査を通らずに帰されてしまう(「シップバック」)事案が発生したりしています。

環境省のこれまでの対応は?今回の改正内容とは?

これらの問題に対し、環境省は、家電リサイクル法の対象であるテレビ、冷蔵庫、エアコン、洗濯機に関しては、平成24年3月19日に「買い取られている場合でも、それ以降の処理が野放図に扱われているような場合は、廃棄物とみなす」旨の通知を発出し対応してきました。

しかし、家電リサイクル法対象物以外の「雑品」については、その判断(有価物か廃棄物か、法令の適用を受ける物体なのか等)が不明確で、現場を預かる自治体や輸出入に携わる担当者も困惑していたところです。

このようなグレーゾーンを明確にするために規定されたのが、第17条の2という新たな条文です。
ちょっと長いですが、注目すべき点がいくつかありますから、第1項を原文で紹介します。

(有害使用済機器の保管等) (新設)

第十七条の二
使用を終了し、収集された機器(廃棄物を除く。)のうち、その一部が原材料として相当程度の価値を有し、かつ、適正でない保管又は処分が行われた場合に人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがあるものとして政令で定めるもの(以下この条及び第三十条第六号において「有害使用済機器」という。)の保管又は処分を業として行おうとする者(適正な有害使用済機器の保管を行うことができるものとして環境省令で定める者を除く。次項において「有害使用済機器保管等業者」という。)は、あらかじめ、環境省令で定めるところにより、その旨を当該業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事に届け出なければならない。その届け出た事項を変更しようとするときも、同様とする。

気を付けたいのは、今回の条文で対象となるのは、「雑品スクラップ」全体ではなく、以下の要件を満たすものであるという点です。法律においては、これを「有害使用済機器」と定義しています。

「有害使用済機器」の定義に関するポイント

  1. 「使用を終了」とありますから、使用中の物は対象になりません。
  2. 「収集された機器」とありますから、収集されていない状態、たとえば、使用していた事業所内でそのまま保管の物は対象になりません。
  3. 「廃棄物を除く」
  4. 「一部が原材料として相当程度の価値を有し」とありますから、「廃棄物」は対象外であり「有価物」が対象ということになります。この規定は、そもそも物が廃棄物であるなら、既に存在している条項、たとえば第12条処理基準や第14条処理業許可といった規制を受けることになりますので、二重規制を避けるために設定したものでしょう。
  5. 「適正でない保管又は処分が行われた場合に人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある」ものとありますから、全く「無害」なものは対象となりません。

そして、第2項以降の規定において、これらを保管する者は知事へ届出することが必要になります。今後、政省令により詳細が規定されることになりますが、おそらく、廃棄物にかけられているような「保管基準」や「命令」と同様の規制が行われていくことになるでしょう。

この改正によって「有価物である雑品スクラップ」が廃棄物処理法の規制の対象となり、より適切に取り締まられていくことになります。グレーゾーンの解消によって、廃棄物処理法の本来の役目を果たすことができそうですね。

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執筆者プロフィール

長岡 文明 (ながおか ふみあき)
アミタ株式会社
特別顧問

山形県にて廃棄物処理法、廃棄物行政、処理業者への指導に長年携わり、行政内での研修講師も務める。2009年3月末で山形県を早期退職し、廃棄物処理法の啓蒙活動を行う。廃棄物行政の世界ではBUNさんの愛称で親しまれ、著書多数。元・文化環境部循環型社会推進課課長補佐(廃棄物対策担当)。

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