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コラム

不法投棄・不適正処理に巻き込まれないために、排出事業者ができる対策とは?BUNさんの「元・行政担当者が語る 廃棄物管理のイロハ」

Some_rights_reserved_by_Gilles_San_Martin.jpgおしえて!アミタさん事務局からとても難しいテーマをいただきました。「不法投棄に巻き込まれないためには、どうすればよいのか?」。最近、ご質問も多い本テーマについて、特効薬はありませんが、こういった事案に巻き込まれないための対策を復習してみましょう。

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Some rights reserved by Gilles San Martin

ここは外せない!排出事業者の心構え

▼不適正処理に巻き込まれないための対策

  1. 委託先の産業廃棄物処理会社が、実際に自社が排出する産業廃棄物を適正に処理できる会社かどうか確認する。
    (単に許可を有している、ということだけでなく、具体的な産業廃棄物の特性等も理解して、物理的にも、知識・技能的にも適正に処理できるか、という視点で選択しましょう。)
  2. 自動更新契約は定期的に見直す。
    (必ずしも別の委託先に切り替える、ということではありません。契約の内容や実務が、現在の状況に相応しいか、馴れ合いになっていないか等を確認しましょう。)
  3. 現地確認を実施する。
    (なんといっても自分の目で、自社の産業廃棄物がどのように処理されているのかを確認するのが一番です。)

まずは、「排出事業者の心構え」についてです。排出事業者と処理会社は契約で結ばれているので、ついつい、「対等な関係」と思いがちです。通常の契約なら当然のことですが、廃棄物処理法の委託契約に限っては、そうではないとBUNさんは考えています。つまり、「排出事業者責任有っての委託契約」なのです。

例えるなら、産業廃棄物の委託契約は、会社の上司と部下、親と子供の関係に似ているなぁと思っています。部下がミスをした時、上司は部下を叱責します。しかし対外的には、「部下が失敗したので...」という言い訳は通用しません。「あの会社が失敗した」と思われます。
委託先が不祥事を起こした時も、これと同じように、「あの産業廃棄物処理会社が不祥事を起こした」と同時に、世間は「あの製造会社の産業廃棄物が不法投棄されている」「あの商品を出している会社の産業廃棄物が大量に積み上げられている」と捉えます。

つまり、産業廃棄物処理契約は決して対等ではなく、対外的、廃棄物処理法的には、全面的に排出事業者に責任があるのです。

廃棄物処理法をもう一度見てください。産業廃棄物の処理契約義務は、排出事業者側にはありますが、受け手側の処理会社には「契約締結の義務」は規定されていません。すなわち、産業廃棄物を適正に処理<させる>責任は排出事業者側にあるのです。法的な建て前からすると、「本来は排出事業者自らが適正に処理する」ことが大原則です。ほとんどの排出事業者は、物理的にそれができないから委託しているのです。

ですから、たとえ料金を支払って委託していたとしても、「適正処理の責任」は排出事業者に最後までついて回るのです。この「理念」を持っていれば、委託するべき会社の選定や処理状況の確認の姿勢も自ずと定まってくると思います。

また、時々、銀行や商社などでも背任・横領事件が起きます。そういった事件の報道では、「長年、任せっきりにしていた」というコメントを聞くことがあります。このコメントを聞いた時、多分、世間はこう言うでしょう。「横領した担当者も悪いが、上司は気がつかなかったのか。会社は何をしていたのか。」と。

初めて委託する時は、自社が排出する産業廃棄物を本当に適正に処理できる能力を持っているのか、十分に調査すると思いますが、何年も自動更新を続けていると「任せっきり」「馴れ合い」になりやすいものです。定期的に調査する必要があるでしょう。時には、実際に自社から排出される産業廃棄物現物がどのように運ばれ、どのように処理されているかを、自分の目で見ることも必要だということが理解していただけると思います。

万が一、不適正処理に巻き込まれてしまったら?

▼不適正事案に巻き込まれてしまった場合の対策

  1. 管轄行政庁と協議する(撤去する意思を伝えることが望ましい。)
  2. 自社の産業廃棄物が特定できる場合は、即、撤去する。
  3. 他者のものと思われる産業廃棄物でも、量が少ないようなら、全量撤去する。
    (現物が存在しなければ、措置命令は起こり得ない。)
  4. 処理会社(不適正処理の張本人)は、絶対にあてにしない。
    (対応できるなら、このような事態には陥らない。)
  5. このような事態に備えて、委託契約書の「契約解除時の未処理産業廃棄物の取り扱い(省令第8条の4の2第9号)」という項目を精査する。

万が一、委託先が倒産したり、改善命令や措置命令を受けた場合、「こちらは委託料金を支払っているのだから、受け手の処理会社が対応するべきだ」という理屈は世間的には通用しません。このことは前述の話で納得いただけると思います。事後処理として、処理会社に損害賠償を請求できる可能性はありますが、それは二の次、三の次の話です。

そもそも、前述のような状況に陥った処理会社が、自力で原状回復ができるでしょうか?そのようなお金があるなら、倒産したり、命令を受けたりする前に解決しているはずです。このような状況になってしまっているのは、お金が無いからなのです。

そのため、このままでは投棄され積み上げられたた産業廃棄物は、いつまで経っても片付きません。世間は、「そんな処理会社に頼んだ、あなたの会社も問題だよね」という見方をします。ですから、このような状況になってしまった場合は、委託先の処理会社をあてにしてはいけません。直ちに、自助努力で解決しなければなりません。とはいえ、一旦処理委託した産業廃棄物を自力で持ち帰ることは、現実的には相当困難でしょう。と言うのも、このような場合は、複数の排出者の産業廃棄物が、誰の物かわからない状態で積み上げられているからです。

不幸中の幸いで、自社の産業廃棄物が特定できるようなら、すぐにでも撤去しましょう。現実的には、地元の管轄行政に相談に行くしかないでしょう。そこで「当社が委託した産業廃棄物については、直ちに撤去する意志がある。」旨を伝えて、指示を待つしかないと思われます。

今回の廃棄物処理法改正(平成29年6月改正) では、ギブアップ通知(処理困難通知)の対象が拡大されています。ギブアップ通知を受けてしまった時も同様の対処になるでしょう。

時折、「措置命令を受けないためには、どうしたら良いでしょうか?」と質問なさる方がいらっしゃいます。答えは簡単で、こうです。「生活環境保全上の支障を除去すれば、措置命令をかけられることはありません。」

例えば、委託先の処理会社が産業廃棄物を1万トン積み上げたために、措置命令を受けそうになっている、としましょう。我が社が委託したのは、このうち100トンとします。それでも、我が社が1万トン分、全てを撤去したなら、絶対に措置命令を受けることはない、ということです。
「理不尽だ」と感じる方もいるでしょう。しかし、廃棄物処理法第19条の5に規定する措置命令は、法令違反をしていた排出事業者も対象になるのです。

そして、措置命令とは「生活環境保全上の支障を除去せよ」というものですから、廃棄物を積み上げた張本人でなくとも、命令の対象になってしまいます。同時に、誰が片付けたとしても「生活環境保全上の支障」が存在しなくなれば、措置命令が発せられることはないのです。

いずれにせよ「巻き込まれないための対策」としては、まずは予防措置が一番ですね。

関連情報

e-weast001.pngアミタのe-廃棄物管理ではマニフェストや契約書の記載内容を、アミタスタッフが1件ずつ丁寧に確認。法律上の不備を報告いたします。コンプライアンスの向上は、不法投棄や不適正処理に巻き込まれないための予防策につながります。

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執筆者プロフィール(執筆時点)

長岡 文明 (ながおか ふみあき)
アミタ株式会社 特別顧問

山形県にて廃棄物処理法、廃棄物行政、処理業者への指導に長年携わり、行政内での研修講師も務める。2009年3月末で山形県を早期退職し、廃棄物処理法の啓蒙活動を行う。廃棄物行政の世界ではBUNさんの愛称で親しまれ、著書多数。元・文化環境部循環型社会推進課課長補佐(廃棄物対策担当)。

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