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廃棄物処理法の改正動向を考える-IT技術による変化とは?佐藤泉先生の「廃棄物処理法・環境法はこう読む!」

Some_rights_reserved_by_Markus_Spiske.jpgIT技術の目覚ましい進歩に合わせ、廃棄物管理の手法は大きく変わろうとしています。今後廃棄物処理業界にはどのような変化が起きると予想されるでしょうか。また、廃棄物管理に関する法律はどう変わっていくでしょうか。

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IT技術の進歩と廃棄物管理業務の変化

IT技術の進歩は、今後ますます加速していくと思います。また、IT技術の変化によって、産業構造やインフラ、働き方、さらに市民のライフスタイルも変化してくるでしょう。

具体的に、いつ、どう変化するかは未知数ですが、下記のような変化が起きる可能性が高いと思います。

① 排出事業者の変化

製造業では自動化工場が増えると思います。生産工程が大幅に見直されれば、廃棄物の質及び量は変わってくるでしょう。方向性としては、廃棄物の発生量は大幅に減ると思われます。
物流・小売りにおいても、需要予測の正確性が高まり、在庫管理の効率化により、ロス品の発生量は減るでしょう。さらに、廃棄物の排出量の予測が容易になってくると思います。
以上により、排出事業者は、廃棄物量の削減及び排出の計画性を高めることによって、廃棄物処理費用の削減を行うことが可能になると思います。
また、ロボット化などによって、最小限の人員で事業活動を行う会社が増えるため、廃棄物の排出管理をアウトソーシングする会社も増えるでしょう。

② 輸送の効率化

温暖化対策、また労働力の減少のために、輸送の効率化は急務であり、この分野では急激にIT化が進む可能性が高いと思います。しかし、一般貨物の物流における自動配車、自動運転に比べて、廃棄物の運搬における自動化は遅くなると予想されます。廃棄物の運搬については、規制の手法が違うだけでなく、イレギュラーな事態に対応する必要が高いため、最後まで人が扱う必要が高い分野かもしれません。特に一般廃棄物については、変化が遅いだろうと思います。
しかし、大量に発生し、性状が変化しにくい廃棄物、たとえば工場廃棄物や焼却灰、下水道汚泥などは、排出量予測を自動化し、自動配車、自動運転に移行することは、技術的には比較的早く移行可能だと思います。密閉された容器を使用すれば、保管・積替え・輸送手段の変更による、生活環境への支障が発生する可能性がない状態を継続することも、可能になるでしょう。

③ 処理工程の変化

IT技術の向上、自動化の促進などにより、資源回収の効率化が達成できると思います。焼却についてもエネルギー回収が必須になると思います。再生資源の活用についても、需要と供給の最適化を進めることにより、リサイクル率は向上すると予想されます。
最終処分場においても、自動トラックが指定された場所に埋立を行い、無人トラックが計画的な覆土を行うなどの変化が生じる可能性が高いと思います。

④ 処理料金の支払い業務

現在、排出事業者は、処理業者から請求書を受領し、この内容を確認して料金を支払っています。この過程で、実態として収集運搬業者が処分業者の処理料金を取りまとめて請求する、管理会社が複数の処理業者の料金を取りまとめて請求するなどの、事務の簡素化が行われるケースが多くあります。
今後は、会計処理のアウトソーシングがさらに進み、自動決済システムが導入される可能性があります。

法制度や行政の体制の変化

① 法律の改正

廃棄物処理法は、一般廃棄物については市町村の処理責任、産業廃棄物については排出事業者の処理責任を基本としており、この形は変化しないと思います。また、現在の業の許可制度、施設の許可制度も、歴史があり、社会に定着しているため、大きな変化はないでしょう。
さらに、排出事業者の処理委託契約義務、マニフェストの交付義務がなくなる、ということも考えにくいところです。排出事業者責任の強化及び廃棄物のトレーサビリティの向上という制度の趣旨は、不法投棄の防止や処理責任の追及に、一定の効果を上げていると思われるからです。
廃棄物処理法の平成22年改正では、欠格要件の緩和、収集運搬業の許可の県単位変更、優良産業廃棄物処理業者制度など、規制緩和や業許可について大きな変化がありました。しかし、今回の平成29年改正では、雑品スクラップ等の保管場所規制強化、親子会社の共同処理などの新たな規定が導入されましたが、改正による変化は限定的だと思います。

② 運用の変化

廃棄物処理法の実際の運用は、環境省の通知や自治体の独自条例、行政指導に委ねられている部分が多くあります。そこで、今後新しい通知がどのような方向で発出されていくのか、また自治体の条例や要綱がどう変わっていくのかが注目されるところです。廃棄物該当性については、規制改革通知(平成17年3月15日 環廃産発第050325002号)が、判断において考慮する重要な要素の解釈方法について、考え方を示しています。このように、環境省が全体的な方向性や個別事案の考え方を示すということは、法律運用の安定性を高めることにおいて、有効だと思います。

③ ITの活用

我が国は、全体としてIT技術の導入を促進して、産業の活性化を図っていくこととなっています。すでに、処理委託契約の電子化、電子マニフェストの導入は行われていますが、その実施率はまだまだ低い状態にあります。今後は、廃棄物処理法に基づく許可申請、報告書提出等において、電子申請・電子報告などが認められる可能性はあると思います。
不法投棄対策についても、監視体制のIT化、不法投棄実行者の特定及び摘発にIT技術を適用するということも可能でしょう。

まとめ

IT化によって、廃棄物管理業務においては、以下が発生すると考えられる。

  • 生産工程の見直しによる廃棄物の大幅な減少や再資源化率の向上
  • 自動配車など輸送等の自動化
  • 処理料金支払いの自動決済や業務アウトソーシング

また、法制度や行政の体制においては、以下が考えられる。

  • 長い歴史があるため、体制には大きな変化が無いと考えられる。
    処理責任の観点からも、現在、実施されている処理委託契約の締結やマニフェストの交付義務が無くなるとは考えにくい。
  • ただし、電子マニフェスト制度のように、今後、許可申請や報告書提出などの業務において、電子申請や電子報告が認められる可能性はある。
  • 不法投棄対策についても、不法投棄実行者の特定及び摘発にIT技術が適用される可能性がある。
執筆者プロフィール

佐藤 泉(さとう いずみ)氏
佐藤泉法律事務所 弁護士

環境関連法を主な専門とする。特に、企業の廃棄物処理法、土壌汚染対策法、大気汚染防止法、水質汚濁防止法等に関連したコンプライアンス体制の構築、紛争の予防及び解決、契約書作成の支援等を実施。著書は『廃棄物処理法完全ガイド』(監修、日経PB社)など

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