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コラム

「両罰規定」の適用例は?誰がどんな場合に罰則を受けるのか?BUNさんの「元・行政担当者が語る 廃棄物管理のイロハ」

Some_rights_reserved_by_StressedTechnician.jpg万が一、業務中に従業員が「廃棄物処理法」に違反してしまったら...?会社の責任、従業員の責任、どちらになるのでしょうか?「廃棄物処理法」に規定された罰則のほとんどは「両罰規定」に適用します。今回はこの「両罰規定」について、BUNさん流の適用予防策もあわせて、お伝えします。

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「両罰規定」とは何か?

「廃棄物処理法」に違反した際の罰則については、同法第32条に規定されています。

第三十二条

法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する

一  第二十五条第一項第一号から第四号まで、第十二号、第十四号若しくは第十五号又は第二項 三億円以下の罰金刑
二  第二十五条第一項(前号の場合を除く。)、第二十六条、第二十七条、第二十八条第二号、第二十九条又は第三十条 各本条の罰金刑

この条文には、法人経営の場合と個人経営の場合が併せて記載されているので、わかりやすくするために、"個人経営"に関する部分をカットしてみましょう。「従業者が、その法人の業務に関し、違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を科する。 」(上記条文の下線部分)つまり、"会社の業務として社員が違反をしたら、その社員だけでなく会社にも罰金を科しますよ"ということですね。行為者本人と共に会社も罰則の適用があることから、「両罰規定」と呼ぶんですね。

最近、両罰規定が適用された事件のうち有名なものとしては、2016年ビーフカツ転売事件があげられます。この事件については、下記の判決が出ています。

被告人に対して...懲役3年(執行猶予4年)及び罰金100万円

被告会社に対して...罰金50万円

この事件は、社会的な反響は大きかったのですが、廃棄物処理法の違反としては比較的罰則の軽い「電子マニフェストの虚偽記載」となります。旧廃棄物処理法第12条の5第2項違反となり、罰則としては旧第29条で最高刑懲役6ヶ月、罰金50万円となります。つまり、両罰規定としては最高額を言い渡したことになります。(個人の懲役刑が重いのは、廃棄物処理法違反以外に、詐欺、食品衛生法違反にも該当したためです。)

もし、これが不法投棄、無許可営業、措置命令違反等であったなら、法人に両罰規定が適用された場合の罰金の最高額は3億円となっています。

従業員が違反をしてしまったら、会社も罰を受けるの?

違反行為の行為者(個人)の罰則は、前述の32条ではなく、直接該当する違反として罰則が適用されます。(具体的には第25条から30条まで規定してある罰則)

法人についての罰則はというと32条の最後の文言、「その法人に対して当該各号に定める罰金刑を科する。」が適用されます。「罰金刑を科する。」とありますが、会社は「法人」であり「自然人」ではないため、捕まえて牢屋に入れることができませんね。ですから、「懲役・禁錮刑」は存在せず、「罰金刑」が科せられるわけです。

ただし、全てのケースにおいて、実際に法人も罰則を受けるのかどうかというと、実はそうではありません。正直なところ、これは程度問題です。

たとえば...「ある製造会社の従業員が、役員の命令で自社の廃棄物を不法投棄した」というケース

役員の命令は、会社の命令と考えられますので、「会社ぐるみ」の違反とみなされ、行為者に加え、法人も罰則を受ける可能性があります。

たとえば...「ある製造会社の従業員が、自身の判断で自社の廃棄物を不法投棄した」というケース

判断が難しいケースですが、会社が適正に処理をするように通達・指導していたにも関わらず、従業員がこれらの違反を犯した場合は、多分に従業員個々人の意識の問題であり「会社ぐるみ」と捉えられるかは微妙なところです。よって、法人への罰則が科されない可能性があります。

このように、法人への罰則は「会社ぐるみ」かどうか、が大きなポイントになります。とはいえ、行為者が会社の役員、特に代表権をもつ社長や会長による違反となると、状況は異なります。代表取締役をはじめとする法人役員は、法人を代表する存在です。法人役員の行為は、まさに言葉通り"法人を代表しての行為"と捉えられます。即時、法人の責任が問われると考えられますし、この人達が法令違反をするようでは話になりません。万一、役員の中に廃棄物処理法を違反するような人物が居るようなら、一刻も早く解任するべきでしょう。

また、下記のようなケースはあまり無いとは思いますが、「その法人の業務に関し、」と条文にありますから、会社の業務とは全く無関係な場所で違反が起こっても、法人が罰せられることはありません。

たとえば...「ある製造会社の従業員が、業務とは関係なく、廃棄物の不法投棄を行っていた」というケース
どうしたら両罰規定の適用を防ぐことができるの?BUNさん流予防策を伝授!

さて、取り置きしていた重要なポイント、両罰規定の適用を防ぐための予防策です。

ただし、これは私が考える「予防措置」であり、法令で規定しているものでも、定説になっているものでもありませんので、ご承知置き下さい。

万が一、社員による違反があった場合、「会社ぐるみの行為」と捉えられないためには、徹底した社員教育と、その実績記録が有効です。違反が起きてから、警察や行政に対して「以前から社員に違反はするなと話していた」と説明するだけでは、説得力に欠けると思います。やはり以下のような取り組みが必要です。

  • 定期的に(できれば年に数回は)廃棄物処理法の専門の講師を招いて、廃棄物処理法についての教育を実施すること
  • 従業員に対して、遵法の大切さを教える機会や仕組みを設けること
  • 上記の実施について、必ず記録をしておくこと

ここまでやれば万が一の場合でも、警察や行政も「会社ぐるみ」とは捉えないものと思われます。皆さん、万一の場合に両罰規定が適用されないように、日頃から社員教育を徹底しましょうね。

会社の命令であっても、「行為者」は罪に問われる? 派遣社員やアルバイト社員は?

さて、条文中に「従業者が、」とあります。これは、どのような雇用形態の従業員が当てはまるのでしょうか?実は、この「従業者」は正社員に限定されません。派遣社員であろうと、パート社員であろうと、アルバイト社員であろうと対象になります。いくら「会社ぐるみ」「社長からの命令」であったとしても、違反業務を実行した行為者は罪に問われます

ここは、実はとても重要な点です。以前、私が行政として不法投棄のパトロールをしている時に、山間の谷から解体木くずを投棄している数人を見つけました。行為を注意し、彼らに「不法投棄は犯罪であることを知らないのか?」と聞くと「知っている」との返答が。「じゃあなんで、こんなことをやっているんだ」と聞くと、平然と「社長に捨ててこいと言われたからだ」と答えたんですね。

また、人から聞いた話なのですが、担当者が「部長、水処理施設の調子が良くありません。これでは排水基準を守れません。」と話すと、その上司は「今夜雨が降るらしいから、排水コックを開けておけ」と言った。だから指示に従った、というんです。これでは、水質汚濁防止法違反です。

上司の指示や命令があれば、違法行為でも部下は罪に問われないと思いますか?そんなことはないですよね。詐欺や盗みなどの犯罪はどうでしょうか?実行犯は必ず罪に問われます。また、行為者だけでなく、指示を行った上司も罰則が科される可能性は十分にあります。

環境犯罪って不思議ですよね。上司に指示されると、あまり抵抗なく違反行為を実行してしまう。そのため、「行為者を罰する」ということも明示している訳です。

執筆者プロフィール(執筆時点)

長岡 文明 (ながおか ふみあき)
アミタ株式会社 特別顧問

山形県にて廃棄物処理法、廃棄物行政、処理業者への指導に長年携わり、行政内での研修講師も務める。2009年3月末で山形県を早期退職し、廃棄物処理法の啓蒙活動を行う。廃棄物行政の世界ではBUNさんの愛称で親しまれ、著書多数。元・文化環境部循環型社会推進課課長補佐(廃棄物対策担当)。

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