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アジアでCSR活動の評価を高めたい企業は、ソーシャルメディアの影響力に注意するべきでしょうか。

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ソーシャルメディアは、アジアでももちろん注目されています。富める者も貧しき者も、誰もが「メディア」として発信力を持つことができるため、無視できない影響力を発揮しています。

中国には若い工員たちがたくさん働いている工場が多くあります。彼らは皆ケータイを持ち、休憩時間になるとまず最初にケータイを確認したり、今の状況をメールやSNSに書き込んだりしています。書き込む内容の筆頭は「恋愛問題」という調査もありますが、職場の労働条件や上司への不満もやり取りされます。

注意したいのは、このような不満が同じ境遇にある同年代の共感を特に集めた場合、引火するように次々に若者の間で広まっていく現象が、しばしば起こることです。最悪の場合、ここ数年中国各地で散発している工員たちの自殺の連鎖という、取り返しのつかない結果に至ってしまう場合もあります。

このような事件が職場で起きてしまうと、企業にとってもレピュテーション(評判)に大きなダメージを受けることになり、従業員を雇いたくても雇えない状況に陥ったり、ボイコット(不買運動)に広がったりするリスクもあります。

小手先だけの使い方では逆効果に

アジアにも環境問題・人権問題について、オピニオンリーダーと評されるような人物や組織が出現してきています。例えば、「ある製品をつくる過程で水をたくさん汚している」だとか、「サプライヤーの工場では人権を侵害するような人員管理が行われている」といったネガティブな情報が、ソーシャルメディアを通じてそのオピニオンリーダーにたどり着き、そこから大々的な不買運動が引き起こされ、アジアだけでなく世界中にあっという間に広がってしまう・・・そんな事象も頻発しています。

」アジアではCSR(企業の社会的責任)がブランド構築の一環として行われていることも多く、企業にはCSRをそのツールとして利用している面があります。そして同時に、CSRに関連する不手際や不祥事が、ソーシャルメディアを通じて明るみに出され、アジアから各国へ飛び越えて、世界中で糾弾されることも起きています。

間違ったアプローチがかえって逆効果になるという意味で、ソーシャルメディアがCSRマネジメントに対する脅威となる場合があるのです。

ところで、良い評判は悪い評判に比べると、スピード感をもって広まらないものなのでしょうか? ある調査によればインドでは、個人が企業に対して「環境や社会に良い取り組みを行っている」と評価した場合、その企業について、自分の家族や友人に話す割合が世界平均を上回っているそうです。

また中国においては、「企業が社会的課題の解決を支援してくれるよう期待している」という回答の割合が世界平均を大きく上回っています。 企業がソーシャルメディアを通じて良い評判を語られるためには、社会的課題解決の実践そのものと、コミュニケーションを重ねていくことが重要です。

執筆者プロフィール
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赤羽 真紀子
CSR Asia 日本代表

通算10年以上に渡り多国籍企業のCSR担当業務を経験し、スターバックスコーヒージャパン、セールスフォースドットコム、日興アセットマネジメントの各社で関連部署の立ち上げを手がけた。 シンガポール支社でのCSR部署の立ち上げや、タイ、韓国、中国でのCSRプロジェクト実施の実績もある。 早稲田大学で政治学と生物学を修め、カリフォルニア大学リバーサイド校、タフツ大学、慶應義塾の各大学院で学ぶ。環境省、ICU、慶応義塾大学、清泉女子学院大学、立教大学、APABIS、プリティッシュ・カウンシルをはじめ、講演多数。

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