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Q&A

国を超えてCSRを展開する際のポイントはなんですか?

CSR活動の明確な方針を本社が作った上で、その運用は世界各国の現地に任せる。これが国を超えてCSRを展開する際、不可欠なポイントです。
前回の記事では、アジア諸国では、国によってCSRで重視されるポイントが異なる場合があることを紹介しました。その上で、どうやったら日本企業がアジアをはじめ、海外でCSRを展開したらよいか具体的にご紹介します。

○○はやるけど、○○はやらない

これまでたくさんの企業を見てきましたが、方針が明確な形として示されている日本企業は少ないと感じます。「このような形式で進めていきます」や、「こうなりたい」というようなものは理念であり、方針とは、何をして、何をしないか、を簡潔にわかりやすく言うことで、企業であれば、それを文章にしてあるもののことです。

理念と方針が混然一体となっているステートメントもよく見受けられますし、理念しか存在していないこともよくあります。日本の中でのみCSR活動を行うのであれば、文化的背景や地域ニーズを想像できるため、意識して理念や方針を明確に区別して考える必要はないかもしれません。しかし、言葉も文化も背景も違う国でCSRを展開するならば、だれが読んでも誤解のないような「何をして、何をしないか」が書かれている方針が必要です。

CSRというのは分野が広く、環境からダイバシティ、ガバナンスと多岐に及びます。理想はその分野ごとの方針があることが望ましいのですが、それは最終形として、まずは優先度の高い分野からでも明確な方針を作って文章にする、ということが必要です。

例えば、「当社は差別などを排し、人権を尊重します」というステートメントがよくあります。社内の人間も「人権尊重が理念にあるのでこれが方針です。」とおっしゃっることがありますが、方針とはそういうものではなく「宗教、年齢、国籍、性別、身体的特徴など、あらゆることを差別しません」というような、より詳細な定義が方針なのです。

現地への権限移譲

明確な方針があることは国を超えてCSRを展開する大前提ですが、その方針に沿ったCSR活動が、現地のニーズに合致していることも大切です。そのためには、明確な方針を本社で作り、各国の現地担当者がその方針に沿って様々なCSR活動を作り上げていく、という現地への権限移譲が必須です。

多くの日本企業をみていると、かなり細かい部分までも日本の本社の了解がないと海外の活動も進まないというケースが多いように感じます。私は日本企業と外資企業の両方でCSR部署を立ち上げた経験がありますが、最大の違いは、現地に権限を移譲できる体制とマインドがその会社にあるか、という点でした。外資企業では、明確な方針は本社がつくり、それを世界各国の担当に伝えたうえで、多くの権限が本社から現地に移譲されています。

国の違いを超えてCSR活動を展開するには、企業としての方針が明確であることと、CSR活動を展開する国のニーズに合った活動を行うための現地への権限移譲、この2点が不可欠です。

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講師
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赤羽 真紀子
CSR Asia 日本代表

早稲田大学で政治学と生物学を修め、カリフォルニア大学リバーサイド校、タフツ大学、慶應義塾の各大学院で学ぶ。環境省、国際基督教大学、慶応義塾大学、清泉女子学院大学、立教大学、APABIS、ブリティッシュ・カウンシル、世界銀行をはじめ、講演多数。企業が発行するCSR報告書の第三者意見の執筆多数。東洋経済オンラインでの連載の経験もあり、NPO法人国際協力NGOセンター(JANIC)CSR推進NGOネットワークのアドバイザー、AIDS孤児支援NGO・PLASのアドバイザー、SportForSmileの顧問、ウォーターエイド・ジャパンの理事なども務める。通算10年以上のさまざまな業種の多国籍企業のCSR担当としての経験がある。特に企業の環境対応と社会貢献事業に関しては、スターバックスコーヒージャパン、セールスフォースドットコム、日興アセットマネジメントの各社で関連部署の立ち上げを手がけた。

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