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サーキュラーエコノミーとは? 3Rとの違い、3原則や5つのビジネスモデル、取り組み事例まで解説!

Image by Arek Socha from Pixabay

本記事ではサーキュラーエコノミーについて解説いたします。サーキュラーエコノミーが注目される理由から、リニアエコノミーや3Rとの違い、考え方の根幹となるサーキュラーエコノミーの3原則や5つのビジネスモデル、取り組み事例などをご紹介します。

目次

2021年にプラ新法が施行されて以降、企業のサーキュラーエコノミーへの対応はますます注目されています。2023年3月に行った"プラ新法の概要とプラ新法を「対応」から「機会」に転じるための戦略について"のセミナー動画を公開しています。

ボタン_動画と資料はこちら.png

サーキュラーエコノミーとは?注目されている背景を復習!

サーキュラーエコノミー( Circular Economy )は、2015年にWaste to Wealth(無駄を富へ)という考えのもとで生まれ、欧州の経済政策として発表され広まった概念です。日本語では、循環経済または循環型経済と訳されます。環境省は「従来の3Rの取組に加え、資源投入量・消費量を抑えつつ、ストックを有効活用しながら、付加価値を生み出す経済活動であり、資源・製品の価値の最大化、資源消費の最小化、廃棄物の発生抑止等を目指すもの」と定義しています。

世界的に注目されている理由として、サーキュラーエコノミーは気候変動や資源枯渇をはじめとした深刻化する環境問題への解決手段であることが挙げられます。また、企業にとっては不確実性が高く未来が予測しにくいVUCAの時代といわれる今、サーキュラーエコノミーの考えを事業に取り込むことにより、事業リスクの低減、機会の獲得のための施策につながるなど事業の存続と成長のために必要な考えとして注目されています。

リニアエコノミーとの違いは?

では、従来の一般的な経済モデルであるリニアエコノミー(直線型経済)とサーキュラーエコノミーとの違いは何でしょうか。下記の図、左側がリニアエコノミー、右側がサーキュラーエコノミーを表しています。リニアエコノミーでは、原材料・製品・利用・廃棄物といったバリューチェーンの流れが一方向の直線となっている点が特徴です。一方で、サーキュラーエコノミーの考え方では、資源の回収や再利用が前提とされているため、一度消費された製品も再資源化され循環します。そのため、廃棄物という概念が図に描かれていません。
つまりリニアエコノミーとサーキュラーエコノミーとの違いは、バリューチェーンにおいて廃棄物の発生を前提としているかという点にあります。

CE2.png
出典:環境省 「令和3年版 環境・循環型社会・生物多様性白書

3Rとの違いは?

では、これまで日本で広く取り組まれてきた3R:Reduce(リデュース)、Reuse(リユース)、Recycle(リサイクル)とサーキュラーエコノミーでは何が違うのでしょうか。3Rでは廃棄物ができるだけ出ないよう設計することや、廃棄物の一部を再資源化・再利用することなどが目指されますが、少なからず廃棄物が出ることが前提になっています。サーキュラーエコノミーは上述のように、廃棄を前提としない考え方のため、製品・サービスの設計段階から廃棄物を出さないようにデザインし、従来は廃棄されていたものも原料として再活用することで、できるだけバージン原料を投入せずに循環可能なルートを構築していくモデルです。

サーキュラーエコノミーの3原則とバタフライダイアグラム

続いて、サーキュラーエコノミーの根幹の概念である「サーキュラーエコノミーの3原則」と「バタフライダイアグラム」をご紹介します。企業が自社のビジネスモデルを見直す際に知っておきたいポイントです。
世界のサーキュラーエコノミーを推進する団体であるエレン・マッカーサー財団は「サーキュラーエコノミーの3原則」として、以下を挙げています。

  1. Eliminate waste and pollution  廃棄物・汚染などを出さない設計
  2. Circulate products and materials (at their highest value)  製品や資源を使い続ける
  3. Regenerate nature  自然のシステムを再生する

この3原則に基づくサーキュラーエコノミーの概念を図で示したものがバタフライダイアグラムです。

CE1.png出典:経済産業省・環境省 「循環型の事業活動の類型について

バタフライダイアグラムは、生物学的サイクル(図左側)と技術サイクル(図右側)の2つのサイクルを示しています。
生物学的サイクルは自然界において生分解・再生することができる再生可能資源サイクルであり、技術サイクルは、そのまま自然界に戻すと環境に悪影響を及ぼす枯渇性資源のサイクルです。
バタフライダイアグラムは、サーキュラー化における自社のビジネスモデルの現状理解や、改善点を見つけるためのツールとしても活用できます。バタフライダイアグラムへの理解が深まったところで、次にサーキュラーエコノミーの5つのビジネスモデルについて話を進めていきます。

▼関連記事|企業が事業をサーキュラー化するには?

サーキュラーエコノミーの5つのビジネスモデルと取り組み事例

サーキュラーエコノミーのビジネスモデルは下記の5つに分類されます。これらの分類は、戦略コンサルティングファームのアクセンチュア社によって著書「Waste to Wealth(無駄を富に変える)」の中で提唱されたものです。それぞれ一つずつ具体的な事例と合わせてご紹介します。

▼5つのビジネスモデル

  1. サーキュラー型のサプライチェーン(循環型サプライ)
    再生可能な原材料利用による調達コスト削減や安定調達の実現
  2. 回収とリサイクル
    廃棄予定の設備や製品の再利用による生産・廃棄コストの削減
  3. 製品寿命の延長
    修理やアップグレード、再販売による使用可能な製品を活用
  4. シェアリング・プラットフォーム
    不稼働資産となっている所有物の共有による需要への対応
  5. サービスとしての製品
    製品を所有せず利用に応じて料金を支払うビジネスモデル

1.サーキュラー型のサプライチェーン(循環型サプライ)
原材料や資源の調達の場面で、回収・再利用しやすいものを採用するモデルを指します。再生可能エネルギーや生分解性の素材の採用といった形で既存ビジネスに取り入れていくことが可能です。

Kotkamills(フィンランド)
Kotkamillsが開発した生分解性食品包装用素材は、食品包装に求められる耐油性と耐湿性の機能性を保ちながらも、既存のリサイクルプロセスにてリサイクルすることが可能です。そのため、これまでの石油由来の食品包装素材の利用を減らし、持続可能なプラスチック代替品の需要を満たすことに成功しました。

2.回収とリサイクル
寿命を迎えた製品を回収し、再度質の高い原材料として製造サイクルに戻し、より高い付加価値を生み出すモデルです。広域認定制度やプラスチック新法を活用した回収の取り組みもこちらのモデルに該当します。

ジャパン・サーキュラーエコノミー・パートナーシップ
参画企業である日用品メーカーが連携してボトル、パウチなどの使用済み容器・包装プラスチックを回収し、水平リサイクル※の実現を目指しています。
※水平リサイクル:使用済みの製品が同じ用途の製品に生まれ変わるリサイクル方法のこと

▼関連記事
企業のサーキュラーエコノミー推進に向けた取り組みとは?自社使用済み製品や空き容器回収の意義とポイントを解説
プラスチック資源循環に向けて:日本国内の取り組み事例

3.製品寿命の延長
メンテナンス、修理、改修などの手段を通じて、製品を(本来の目的に沿って)可能な限り長く使用できるようにデザインするビジネスモデルです。部品単位での長期的な利用を目的とした二次使用での再販などがこのモデルに含まれます。

小田急電鉄株式会社
古くなった社宅を賃貸住宅へとリノベーションしたことにより、新築、解体するよりも廃棄物の発生量、資源利用量の抑制を実現させました。また、既存施設を活かして施設間に広場や貸農園などを配置することにより、居住者同士のコミュニティを創出するなど地域コミュニティの活性化にも寄与しています。

4. シェアリング・プラットフォーム
これまでの「所有」の概念を超え、モノや資産の共同利用によって、需要を持っている人が、需要があるタイミングで製品やサービスを利用するモデルです。

Second Harvest(カナダ)
売れ残りの余剰食品を抱える地元企業と、その地域の非営利団体や社会福祉団体をモバイルアプリでつなぐことにより、売れ残った食品の廃棄を防ぐプラットフォームを提供しています。

5. サービスとしての製品
利用者が製品やサービスを利用した分にのみ料金を払います。レンタル、リース、サブスクリプションといった形態がこのモデルに該当します。このモデルでは製品の所有権を提供側が保持したままのことも多く、回収やリサイクルなどにもつながりやすいことが特徴です。

トヨタ自動車株式会社と株式会社KINTO
消費者の消費スタイルが「所有」から「利活用」へシフトする時代に「手軽にクルマを利用したい」というニーズに応えるため、クルマのサブスクリプションサービスを提供しています。

▼関連記事
2020年9月、世界循環経済フォーラムオンラインで発表された39事例を解説

まとめ|脱炭素経営には事業のサーキュラー化が必要

本記事を通して、サーキュラーエコノミーの概念、企業がサーキュラーエコノミーの考えを事業に取り込むにあたっての基本的な考え方について理解を深めていただけたでしょうか。
従来の大量生産・大量消費・大量廃棄を前提とした一方通行の経済システムでは、経済成長すればするほど環境負荷が加速し、資源不足が深刻化していくため持続可能ではありません。一方、サーキュラーエコノミーは環境負荷が低く、地球環境の再生能力に収まるエネルギーと資源を使って経済成長できる経済システムなため、持続可能な社会を実現させるためには重要な考えとなります。

また、近年、CO2排出量の削減など企業の脱炭素対策の要請が高まっていますが、CO2排出量の削減においてもサーキュラーエコノミーの必要性が訴えられています。2021年の世界経済循環フォーラムでは、チリの環境大臣がCO2を減らすには半分はエネルギーをクリーンなものに変え、もう半分はサーキュラーエコノミーで製品の売り方や作り方を変える必要があることを明言していました。そのため、サーキュラーエコノミーは、企業の脱炭素対策にも貢献する考えになります。今後ますます企業は、サーキュラーエコノミーの考えを事業に取り込み、サーキュラー化させていく、つまり循環型ビジネスへのシフトに取り組むことが重要になると言えるでしょう。

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執筆者プロフィール(執筆時点)

木村 智洋(きむら ちひろ)
アミタホールディングス株式会社
カンパニーデザイングループ ヒューマンリソースチーム

杉田 紬季(すぎた つむぎ)
アミタホールディングス株式会社
カンパニーデザイングループ ヒューマンリソースチーム

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