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食品リサイクル法を分かりやすく解説! その対象範囲と定期報告の概要まで

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本来食べられるのに捨てられる「食品ロス」の量は年間570万tのうち、食品産業から発生する事業系食品ロスは309万t(54%)、一般家庭から発生する家庭系食品ロスは261万t(46%)です。今回は、事業系食品ロスの減量化、再生利用を促進する「食品リサイクル法」について、その対象範囲から定期報告までお伝えします。

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食品リサイクル法とは
  • 趣旨と方針について

食品リサイクル法(以下、食リ法)とは、食品産業に対して食品循環資源の再生利用等を促進するための法律です。食品関連事業者(製造、卸売、外食等)は、食品の売れ残りや製造過程で発生する食品廃棄物を減少させるとともに、飼料や肥料等の原材料として再生利用することが求められています。
食リ法が定める再生利用等の優先順位は、まず食品廃棄物そのものの「発生を抑制」することが推奨されており、次に再資源化できるものは飼料や肥料、メタン化などへの「再生利用」を行うことです。再生利用が難しい場合は「熱回収」を行い、さらに、これらの方法でも難しい場合は脱水、乾燥などで「減量」したうえで、適正に処理がしやすいように加工することとされています。

  • これまでの改正の流れ

2001年に施行された食リ法は一定の効果をあげたものの、食品産業の「川下」に位置する小売業などの食品関連事業者の取り組みに関しては効果が薄かったということから、食品関連事業者に対する指導監督の強化と再生利用等の取り組みの円滑化措置を講ずるとし、2007年に改正されました。さらに2016年1月に発生した食品廃棄物の横流し事件を受け、環境省は対策の強化を検討した結果、2017年1月26日に判断基準省令等の改正と食品関連事業者向けガイドラインを公表しました。

食品リサイクル法の対象とは
  • 対象となる事業者は?

それでは食リ法に規定される事業者とは誰を指すのでしょうか。
食リ法において事業者の定義は次に掲げる者をいいます。

食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律 第2条 4項

一 食品の製造、加工、卸売又は小売を業として行う者
二 飲食店業その他食事の提供を伴う事業として政令で定めるものを行う者

つまり、食品を扱う事業者全般がその対象となります。
では、食品関連事業者は具体的には何に取り組めばよいのでしょうか。

  • 食品関連事業者が取り組むべきこと

食品関連事業者が取り組むべきこととしてガイドラインが発表されていますので以下、ご紹介します。

▼食品関連事業者向けガイドラインの具体例・対策

食品廃棄物等の処理委託時・契約時における対策例
  • 処理委託先を選定する際の基準を社内で作成し、基準に従った委託先の選定を行う。
  • 適切な料金で委託ができるよう、地域における廃棄物処理料金をより幅広く比較する。
  • 処理委託先について、収集または運搬に必要な処理能力や収集運搬ルートがあるかを確認する。
  • マニフェスト等、食品廃棄物の積載量や搬入量を明らかにする書類の管理状況を確認する。

食品廃棄物等の引渡し時における対策例

  • 店頭に並べられない状態にするために、商品の外装の除去、廃棄物専用コンテナでの排出、廃棄物である旨の印の付与などを行う。
  • 輸送中の抜き取りを防ぐために、車両への積み込み後車両に封印を行う。(処理施設等へ到着した際に封印が開封されていないことを確認する。)
  • 廃棄物の保管場所や処理施設等に監視カメラを設置する。
食品廃棄物等の処理終了時における対策例
  • マニフェストまたは自社の伝票等による処理終了の確認を行う。
  • 自ら再生利用施設を訪問し、定期的な確認を行う。
    ・特定肥飼料等の在庫が過剰に保管されていないか
    ・特定肥飼料等の利用(販売、自家利用等)が継続的に行われており、記録が残されているか
    ・特定肥飼料等を利用している農家等にも確認可能か など
  • 義務と罰則

次に、食リ法の義務や罰則についてご紹介します。 食リ法をみると、2009年から食品廃棄物等多量発生事業者(食品廃棄物等の前年度の発生量が100t以上の食品関連事業者)は、毎年6月末までに、主務大臣に対し食品廃棄物等の発生量や食品循環資源の再生利用等の状況を報告することが義務付けられています。

罰則については、食品廃棄物等多量発生事業者の再生利用等が不十分な場合、主務大臣により勧告、公表、命令されます。また、命令に違反した場合は、50万円以下の罰金が科せられます。

  • 定期報告について

では、食品廃棄物等多量発生事業者の義務となっている定期報告はどのように行えばいいのでしょう。以下、基礎的な情報をまとめました。

・報告する事項
主に廃棄物等の発生量、発生抑制の実施量、再生利用の実施量と実施率など、17の報告事項があります。

・報告書の様式
農林水産省が毎年定期報告書をホームページで掲載しています。作成にあたっての参考資料等も同ページに掲載されているので、ご参照ください。
農林水産省ホームページ:食品廃棄物等多量発生事業者の定期報告における報告方法等_令和2年度実績報告書

・報告書の提出方法
2020年度より、定期報告は、

  1. 「農林水産省共通申請サービス」のファイルアップロード機能による報告
  2. 電子メールへのファイル添付による報告
    のいずれかを基本とすることとなりました。

なお、これらの電子申請が難しい場合、主たる事務所(本社等)の所在地を管轄する地方農政局に紙の報告書を提出するという方法もあります。詳しくは、農林水産省の「食品廃棄物等多量発生事業者の定期報告における報告方法等」を参照ください。
農林水産省ホームページ:食品廃棄物等多量発生事業者の定期報告における報告方法等

・その他
定期報告についてより詳しく知りたい場合は、関東農政局が主催している食品関連事業向けの定期報告説明会の資料や動画がありますのでご参照ください。
関東農政局ホームページ:令和3年度定期報告に係るWeb説明会の資料について

▼関連記事
震災によって発生した食品廃棄物も、食リ法の定期報告に含める必要はありますか?

  • 対象となる食品とは

次に食リ法において「食品廃棄物等」とは、何を指すのでしょうか。
食リ法においての定義は、次に掲げるものを指します。

食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律 第2条 2項

一 食品が食用に供された後に、又は食用に供されずに廃棄されたもの
二 食品の製造、加工又は調理の過程において副次的に得られた物品のうち食用に供することができないもの

食リ法の食品廃棄物とは、飲食店で発生した食べ残しだけでなく、食品メーカーやスーパー等各サプライチェーンで発生した食品廃棄物も含んでいます。

  • 再生利用方法

食品廃棄物はどのように再生利用されるのでしょうか。
食リ法で定められた再生利用方法には、以下のようなリサイクル方法が挙げられています。

▼食リ法で定められている再生利用方法

飼料化

脱水や乾燥によって製造する乾燥方式、乳酸発酵させて製造し牛用飼料となるサイレージ方式、液状に加工し製造し豚用飼料となるリキッド方式があります。飼料化は、飼料自給率の向上にも寄与するため、優先的に行うことが推奨されています。食品廃棄物等多量発生事業者における再生利用の実施量内訳では、飼料化が約9,000tと最も多いです。

肥料化

肥料化は、他のリサイクル手法と比べて、初期投資が少なく技術的なハードルが低いことから比較的始めやすい再生利用方法です。

メタン化 メタン化とは、食品廃棄物などの動植物に由来する有機物をメタン発酵し、メタンガス(バイオガス)を生成することです。生成されたメタンガスは、電気や熱などのエネルギー源として利用されます。食品卸売業や外食産業が扱う食品残さは異物の分別が困難なものもありますが、メタン化は比較的分別が粗くても対応が可能な場合もあります。
エタノール、炭化 食リ法で認められている再生利用方法ですが、日本での再生利用実施量は小量です。
熱回収 食リ法では、まず飼料化や肥料化など他の再生利用方法を検討すべきとし、これらが困難な場合、熱回収を行うという位置づけになっています。また食リ法および、熱回収省令で定められた一定の要件を満たした事業者のみが、再生利用方法として熱回収を行ったと認められます。詳細を知りたい方は、環境省ホームページ:食品リサイクル関連 熱回収施設をご参照ください。

その他再生利用方法別の特徴については、環境省ホームページ:政策分野・行政活動 審議会・委員会等資料よりをご参照ください。

食品ロスの現状と環境
  • 食品リサイクル法の目標と達成状況

2019年7月12日に公表された新たな基本方針では、食品製造業、食品卸売業、食品小売業、外食産業に対して2024年度までに、下記の目標値を達成するよう定めました。

業種 令和元年 (参考)平成30年度 目標値
食品産業計 85% 83% -
食品製造業 96% 95% 95%
食品卸売業 64% 62% 75%
食品小売業 51% 51% 60%
外食産業 32% 31% 50%

出典:農林水産省

では、目標値と現状の実施率にはどれぐらい差があるのでしょうか。2019年(平成30年)と2020年(令和元年)時点での達成状況と比較してみましょう。食品産業全体の再生利用等実施率は85%で、これを業種別にみると、食品製造業は96%、食品卸売業は64%、食品小売業は51%、外食産業は32%でした。食品製造業は2019年時点で目標達成し、さらに2020年では上回っていることがわかります。しかしながら、残り2年で再生利用等の実施率を食品卸売業、食品小売業ともに約10%、外食産業は約20%を向上させる必要があるとも考えられます。

  • 排出事業者としての環境への取り組み

持続可能な食糧生産・供給が求められる時代に、食品関連事業者にはより一層厳しい食品廃棄物の発生抑制、さらなる再生利用等実施率の向上が求められています。
これらを達成するには業界全体の意識改革はもちろんですが、各食品関連事業者が自社の食品廃棄物の管理状況をしっかり把握しておく必要があります。
いつ、どういった廃棄物がどのような方法でリサイクルされたか。報告書等に必要な数値の集計方法は各工場や拠点で統一されているか。一度、自社の廃棄物管理業務を見直すことが大切でしょう。

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