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企業はどの範囲まで社会的責任をとるべきでしょうか?

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単に自社や自社グループだけではなく、自社以外の組織の影響も考えなくてはいけません。
例えば、原料調達の際にも取引先の企業のCSRに対する配慮(CSR調達)が必要です。

このような考え方についてはISO26000において「影響の範囲」という言葉で社会的責任範囲の考え方が言及されました。その考え方は、先日もお伝えしましたISO20400や川中三四郎氏の記事にもあったスコープ3など、企業活動によって社会的課題に加担していないかという点に影響を及ぼしているのです。そして、加担をしないためには、サプライチェーンにおける事前調査(デューデリジェンス)が必要不可欠です。
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知らぬ間に加担している?

Some_rights_reserved_by_Phillie_Casablanca.jpg以前、ある大手電子部品メーカーに訪問した際に、その方が毎日調査に追われていて残業続きで大変だと嘆かれていました。その調査理由は2010年7月に成立した米国の金融規制改革法に値するドッド・フランク法(注1) による影響です。ドッド・フランク法はコンゴ民主共和国(DRC)の武装集団への資金源を断つことを目的とした米国の法律ですが、その法律によって米国に上場している企業には自社が使用している製品で紛争鉱物がないのかを調べてSEC(米証券取引委員会)に報告する義務が出来たのです。そのことは、企業として間接的でも紛争に「加担 」してはいけないと表明でもあるのです。

(注1)条項第1502条「紛争鉱物に関する規則」製造過程において「紛争鉱物」である金、タンタル、スズ、タングステンを使用する製造業者である発行者に対して公開・報告義務を課す。

画像:Some rights reserved by Phillie Casablanca

ISO26000に見られる難解用語「加担」「デューデリジェンス」って何?

Some_rights_reserved_by_cbertel.png2010年11月に発行されたISO26000(社会的責任に関する手引)には「加担」(注2)「デューデリジェンス 」(注3)などの見慣れないキーワードが書かれています。簡単にいえば、環境や人権の問題に関して、間接的な関与であっても企業の社会的責任を問われる可能性があるということです。今までは、自社やグループ会社だけのCSRを推進していればよかったのですが、今後は原材料の調達先、仕入先、取引先がCSR的な観点で問題がないのかを確認しないといけなくなったのです。そのために、バリューチェーン上での取引先にアンケートなどによる調査の必要が出てきたのです。特に、商社などのグローバルに事業展開をしている企業は、その調査だけでも大変な苦労をしているのが実態なのです。

(注2)犯罪のような違法行為を知りながら、または違法行為をほう助する意図をもちながら、その違法行為の実行に実質的な影響を及ぼす行為または不法行為を行うことの一旦を担うこと。
(注3)あるプロジェクトまたは組織の活動における社会、環境、経済のマイナスの影響を回避し軽減する目的で、マイナスの影響を特定する包括的で積極的なプロセス。

画像:Some rights reserved by cbertel

CSR意識が低い営業部署に眠るリスク?

Some_rights_reserved_by_geezaweezer.jpg更に苦労するのがCSR意識が低い営業部署に浸透させることです。なぜなら、営業部署はコスト意識が強いため価格を優先し、取引先のCSR実態まで意識がまわっていないからです。一番怖いのは、知らず知らずのうちに加担してしまって気付いたら消費者やNPO・NGOなどの団体から指摘が入ってくるケースが出てきています。企業としてデューデリジェンスをせずに、「知らなかった」というだけでは済まされない時代になってきたのです。最近では、食肉問題などで見られるように、自社ではなく調達先が起こした問題であっても、その調達責任を問われ、風評被害につながる事例が出てきています。企業の社会的責任に対する世間一般の目が厳しくなってきたことの表れなのではないでしょうか。

画像:Some rights reserved by geezaweezer

今後、益々厳しい目で企業が見られる!?

「スコープ3」という言葉を聞いた方はいらっしゃるでしょうか?日本国内の省エネ法等では、企業自身が直接排出した温室効果ガス(GHG)排出量を下記のように定めています。

Scope1→自社が所有・支配する施設からの直接排出した温室効果ガス。工場、社用車。化石燃料・天然ガス等
Scope2→自社が購入したエネルギーの製造時における間接的に排出した温室効果ガス。オフィス。電力・蒸気等
Scope3→自社のバリューチェーン、サプライチェーンで排出した温室効果ガス。製造、輸送、出張、通勤等

といったように、企業の影響の範囲(scope)はより幅広くなってきているのが今の時代の考え方です。世界ではカーボン・ディスクロージャー・プロジェクト(CDP)等による企業への情報開示の要求から、将来的には投資家等による企業格付けに活用されていくことが予想されています。現状では世界に影響がある大手企業を中心に取り組みが始められていますが、今後は中小企業でも考えていかなければならない問題です。

執筆者プロフィール

inomata_profile.jpg猪又 陽一 (いのまた よういち)
アミタ株式会社 
シニアコンサルタント

早稲田大学理工学部卒業後、大手通信教育会社に入社。教材編集やダイレクトマーケティングを経験後、外資系ネット企業やベンチャーキャピタルを経て大手人材紹介会社で新規事業を軌道に乗せた後、アミタに合流。環境・CSR分野における仕事・雇用・教育に関する研究。環境省「優良さんぱいナビ」、企業ウェブ・グランプリ受賞サイト「おしえて!アミタさん」、「CSR JAPAN」等をプロデュース。現在、企業や大学、NPO・NGOなどで講演、研修、コンサルティングなど多数実践中。

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