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インタビュー

三井金属鉱業株式会社 環境リサイクル事業部 営業担当部長 太田 様「動脈」と「静脈」をつなぎ込む「循環の輪」づくりが私たちのミッションです。


世界、国内で大きなシェアを誇る非鉄金属素材をつくる三井金属鉱業様では、使用済みの自社製品や製錬工程で発生した残渣等から取れる含有物を、市場で再利用するために再資源化し、循環サイクルを形成されています。

製錬とリサイクルという、「動脈」「静脈」をつなぐため同社のリサイクル事業を担当されている、環境リサイクル事業部の太田様にお話を伺いました。

非鉄金属製品の世界・国内のトップシェアを誇る
― 三井金属鉱業の主な事業概要などお聞かせください
太田様:世界、国内で流通するさまざまなモノには、私たちがつくる非鉄金属素材が部品等に使われています。
例えば、パソコンなどの基盤回路を作るための素材である「電解銅箔」や、「自動車用のドアロック」など、三井金属鉱業から生まれています。「二輪車用の触媒」や半導体をつくる工程で必要な「露光レンズ用素材」等、世界でも40~50%のシェアを誇る製品もあります。

thum_mitsuikin02.jpg (写真右、三井金属鉱業株式会社 太田様)
「動脈」と「静脈」をつなぎ込む「循環の輪」づくり
― リサイクル事業というのは、御社の中ではどのような位置づけに?
太田様:前述のような、色々な非鉄金属の素材や製品を生産しているわけですが、こうした中で、役目を終えた製品やその製造工程で発生する廃棄物を自分たちで処理できないかと考えたんですね。
つまり、「静脈」である私たちがリサイクルで再資源化したものを「動脈」側に戻すというのが、私たちの大事なミッションなんだということです。
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(上図のような)、「動脈」と「静脈」のリンクをつくるためには、まず企業内ネットワークをつくることが一番重要だと思っています。これがうまくいくと、日本、国内外の非鉄金属を使用する工場発生くず、および各種製品の部品類、ほとんどすべてのものをが弊社で再資源化できるのではないかと思っています。
それから、私たちは最終処分場を持たない製錬会社ですので、ゼロエミッションを達成していくためには、特別力を注いでいかないといけません。マテリアルリサイクルの積極展開と、製錬技術の「山元還元(※)」ということに取り組んできました。できるだけ、循環の輪をつくっていきたいという意思でもあります。
※非鉄製錬所は、元々、金属鉱山の付属設備であり、業界では「山」と呼ばれており、
  「山元還元」という用語は廃棄物を製錬所(山)に戻して原料化するという意味からが発生した。
― 御社ではどのようなリサイクルをされているのですか?
太田様:非鉄金属の原料となる、電子基盤や金属含有スクラップ等の廃棄品や、廃バッテリー等の産業廃棄物を、鉛や金・銀・銅、あるいはパラジウム等の資源へリサイクルをしています。
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また、三井金属グループとして、北は青森から南は鹿児島まで全国に大規模なリサイクルネットワークを持っています。私たちのリサイクル事業の特長としては、こうしたネットワークによって多様な廃棄物を受け入れられるという点ですね。
例えば、亜鉛の製錬をしている八戸製錬株式会社では原料の40%がリサイクル原料や産業廃棄物ですし、三池製錬株式会社はリサイクル原料専門で粗酸化亜鉛を生産しています。その他にも、当社リサイクル事業の「肝臓」とよんでいる竹原製煉所など、さまざまな設備と特長を持った事業所やグループ会社がリサイクルを手がけています。
三井金属が世に送り出している素材の種類は、ベースメタルで17種類、レアメタル・レアアースで32元素種もあります。全ては難しいかもしれませんが、こうした約50種の素材をできる限りリサイクルしていくということを目指しています。
ゼロエミッションを追求し、「循環の輪」をつなぐ「最後の砦」になる
― 不法投棄されるものに鉛が含有していて、生活環境や健康に悪影響がでるといった報道もありますね。

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聞き手:アミタ株式会社 マーケティング支援課 佐中

太田様:そうです、本当そうなんです。海外でももっとひどいことになっている地域もきっとあると思っています。そういった意味でも海外、特に中国等にリサイクル事業の展開も図っており、上海にリサイクル会社を立ち上げて操業しています。

今後も海外に向けて日本のリサイクル技術を展開していくという動きは、国としても必要になってくるのではないかなと、考えています。







― 御社は先進的な取り組みをされていますが、業界内での評判や影響はどうですか?
img_mitsuikin02.jpg太田様:私たちは同業の方々と「横並び」ではなくて、「更に一歩後の工程まで」を考える会社だと思っています。例えば、同業の処理会社さんから「どうしてもお客様が埋め立て以外の方法で最終処分をしてほしい」という要望あると、弊社に相談がきます。
廃棄物を処理したときの副産物として例えば溶融飛灰等が出ると、いままでだと埋め立てに回してしまうことが多いんですね。だから、例えば自動車シュレッダーを扱っている処理会社さん等も、私たちのお客様になってくれるわけです。
私たちの会社には、本当に驚くほど「営業マン」がいないんです(笑)。「一歩後ろ」にいるので、競合せずに仲間として協力しあえるといった好循環ができているのです。
本当のゼロエミッションを実現するための、「最後の砦」として、これからもリサイクル事業を進化させていこうと思っています。
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