広域認定の活用で理想的な資源循環を目指す | 企業の環境・CSR・サステナビリティ戦略に役立つ情報が満載!

環境戦略・お役立ちサイト おしえて!アミタさん
「おしえて!アミタさん」は、企業のCSR・環境戦略をご支援する情報ポータルサイトです。
CSR・環境戦略の情報を情報をお届け!
  • トップページ
  • CSR・環境戦略 Q&A
  • セミナー
  • コラム
  • 担当者の声

担当者の声

株式会社GSユアサ 環境統括部長 尾崎 満彦 氏広域認定の活用で理想的な資源循環を目指す

近年、資源枯渇等に伴う調達リスクの重大性を再定義し、「持続可能な調達」に取り組む企業が増えてきています。また、安定・安全な資源循環のために、使用済み製品からの資源回収に積極的に乗り出す事例も見られるようになってきました。

そこで、今回は株式会社 GSユアサ 環境統括部長の尾崎様に、広域認定制度(※)を活用した再資源化システムの運用についてお話を伺いました。

※広域認定制度...製品の性状・構造を熟知した製造メーカー等が、使用済みとなった自社製品をユーザーや販売店等から回収することで、資源の有効利用や適正処理を促進する制度。環境大臣の認定を受けることで、廃棄物処理法の特例となり、地方公共団体ごとの廃棄物処理業の許可が不要となる。

■広域認定制度に関する過去の「おしえて!アミタさん」の記事
「広域認定制度」とは何ですか?
広域認定を受けた処理会社へ処理委託する場合に契約書やマニフェストは必要ですか?

各社の下取りから業界全体の広域認定へ

松田:鉛回収の取り組みはいつごろ始まったのでしょうか。

尾崎氏:話は広域認定取得の前まで遡りますが、1990年代前半に使用済鉛バッテリーの不法投棄が社会問題化したことがきっかけです。山に大量投棄されたり、道路や河川の脇に放置されたり...。バッテリーは不法投棄されると、土壌や河川などに環境汚染を引き起こす恐れがあります。こうした問題を受け、鉛バッテリーを継続的・安定的にリサイクルしようという声が上がり、当時の蓄電池工業会(現 電池工業会)の主導により、経営統合前のGSやユアサも含めた国内メーカー全社が使用済み自社製品の回収・リサイクルに取り組み始めました。

当初はメーカー各社が下取りという形で独自に回収を進めていたのですが、回収品の中に他社製品も多く混入することがわかりました。各社が単独で広域認定を申請すると他社製品が回収できずに効率も悪い上、法律面の判断に戸惑うことも多かったのです。GSユアサでは、産業用鉛バッテリーについては2008年に広域認定を取得しましたが、自動車用鉛バッテリーに関しては、2004年の一般社団法人 鉛蓄電池再資源化協会(以下SBRA)設立に参画し、業界全体での順法、公平かつ持続的な新回収スキーム構築を目指すことになりました。

松田: 2012年4月に、SBRAが自動車用鉛バッテリー回収について広域認定を取得されたようですが、そのような背景があったのですね。

尾崎氏:SBRAが広域認定を取得し、再資源化の主体者となることで、協会会員のどのメーカーの製品でも回収できる、より効率的な回収スキームが確立されました。加えて、それまでの各社個別のリサイクルに参加できなかった電池輸入事業者さんも参画できる仕組みとなったのも大きな変化点です。
具体的な仕組みとしては、全国の回収業者さんに委託して廃棄物となった使用済み鉛バッテリーを回収し、リサイクラー(中間処理会社)さんにて鉛を取り出します。そして、最終的には鉛精錬事業者さんで加工され、再び弊社をはじめとした鉛バッテリーメーカーの原料として使用されます。メーカーとして、これら一連のサイクルが確実に回る仕組みを構築し、運用しているんですよ。

▼SBRAの広域認定制度の運用イメージ図
http://www.sbra.or.jp/より)

SBRA.jpg

広域認定を通じて資源調達の安定化を実現

松田:広域認定により回収スキームが確立されたことで、どのような効果が考えられるのでしょうか。


the_first_part_2.JPG尾崎氏:
はい、鉛バッテリーの広域認定制度は、鉛バッテリーの不法投棄を防止するセーフティネットという重要な社会的役割を担っています。
鉛の相場が下落すると、鉛バッテリーを有価物として回収する動きが弱まるため、過去のように不法投棄されるリスクが高まります。言い換えれば、そうした状況下でこそ、鉛バッテリーの適正処理ニーズは高まるのです。広域認定を受けた回収スキームは、鉛の相場変動にかかわらず提供されます。もちろん相場が高位で安定している時もスキームは動いていますが、相場が下落した時こそ、本領を発揮するんです。実は国内に流通する鉛の80%以上はバッテリー原料として使われているため、使用済み製品の回収を、相場がいかなる時でもしっかりと支える責務がある、という製造者責任(EPR)理念が本スキーム構築の原点と言えます。

松田:なるほど。相場変動に対応できるようにしているのですね。

尾崎氏:そうなんです。しかし、これは単に製造者としての責務充足に止まらない側面もあります。もし鉛の相場価格が下落し、バッテリーの不法投棄が相次げば、それまで適切なルートで回収されていた国産鉛の流通量が減少し、我が国としても資源リスクが高まります。つまり、メーカーとしての責任を果たす取り組みが、そのまま国内資源循環のための戦略に繋がっているということです。

松田:まさにその通りですね。逆に相場が高騰した場合にはどうなるのですか。

尾崎氏:はい、相場が高騰すると、使用済み鉛バッテリーを買い取る業者が増え、SBRAスキームの利用が減少します。有価取引された鉛資源が国内で有効利用されるのであれば良いのですが、国際相場が高騰した際には海外への不適正な輸出ドライブが強まるといった問題が出てきます。近年は非鉄金属が投機の対象となり、鉛の国際相場も上がっていますが、海外流出の増加が場合によっては輸出相手国での環境汚染に繋がるおそれもあります。

松田:それも大きな問題ですね。どのような対策がありますか。

尾崎氏:不適正輸出を防ぐために、近年は当局のご努力により輸出の際に港で監視を強化するなどといった水際作戦が強化されているようです。仮にそれがバーゼル条約や国内法に違反した不正なものでなくとも、資源や環境リスクの国外への流出と捉えれば、重大な問題と言えるでしょう。レアメタル・レアアースのみならず、鉛や銅などといった、いわゆるベースメタルも、もっと国家戦略の議論が必要ではないかと思います。

松田:そうですね。一説には鉛の採掘可能年数は約20年とも言われます。それを考えると、今後相場の乱高下に備えたリスク対策はさらに必要になりますね。

尾崎氏:その通りです。相場が安定しているのが理想的ですが、そういうわけにもいきませんので、できるところから対策を打つことが重要ですね。鉛の相場が下落した時には我々の広域認定制度でカバーをし、一方で高騰した時には少なくとも不正輸出防止や国内資源循環を重視した監視を強化するなどといった、包括的な対策が必要です。そうすれば、国家としても、関連業界・企業としても、相場変動に左右されることの少ない、持続可能な資源循環が実現できるのではないでしょうか。
国内8千万台もの自動車ユーザー様や、バッテリーを業として扱われる皆様には、是非ともSBRAの有益な活動への更なるご賛同を頂きたいと思っております。勿論、各所管行政のバックアップも不可欠です。せっかく構築された国内のリサイクルループが、海外流出による空洞化で破壊されることを懸念しています。国内リサイクルの担い手、受け皿の喪失により、再び過去のような大量不法投棄に繋がることは避けねばなりません。

今後注目が集まるリチウムイオン電池の再資源化にも注力

松田:自動車用鉛バッテリーの他に、GSユアサが取り組んでいる再資源化システムについて教えてください。

尾崎氏:GSユアサでは2008年1月に産業用電池および電源装置に関わる広域認定を取得しました。使用済み製品に対する広域認定処理率は2014年実績で99%と年々増加しておりますので、100%達成に向け、引き続き運用してきたいと考えています。また、国内でも注目が集まっているリチウムイオン電池についても、GSユアサが製造者責任を担うべき分野においてはしっかりと再資源化のスキームを確立していく必要があります。

今後更に注力されていくというリチウムイオン電池や、それを活かした環境戦略については次回のインタビュー記事でご紹介します。こちらもお楽しみに!

株式会社 GSユアサから学ぶ、資源循環のポイント まとめ
  • 回収時に他社品が混在しやすい製品について広域認定制度を利用する場合は、共同申請や業界団体の申請により、回収の効率性が高まる。
  • 自社製品の回収スキームを構築することは、製造者責任を果たすだけではなく、国内資源の安定的な確保や持続可能な資源調達にもつながる。
  • 製品リサイクルへの積極的な関与は、CSRやCSV、顧客ニーズの充足、環境配慮型企業としてのパフォーマンスを高めるうえでも有益となる。
話し手プロフィール

mr.ozaki_prf.jpg尾崎 満彦 氏
株式会社 GSユアサ

環境統括部長

1985年 湯淺電池株式会社 入社。資材部へ配属。以降、鉛主材料、自動車用電池部品等を歴任。
2004年 日本電池株式会社と経営統合。GSユアサ資材調達統括部にて引続き鉛調達業務等を担当。
2005年~2007年 SBRA共同スキーム構築に参加。
2007年~2014年 再び鉛調達業務等を担当。
2014年 環境統括部へ異動。10月より環境統括部長(現職)

聞き手プロフィール

mr.matsuda.jpg松田 弘一郎
アミタホールディングス株式会社
経営戦略グループ マーケティングチーム

岐阜県出身。法政大学人間環境学部を卒業後、アミタに入社。大学3年の夏に南インドを訪れ、廃棄物の再資源化等をはじめとした環境保全においても、先進国と途上国との連携・協働の促進が重要であると痛感する。現在は、非対面の営業やウェブサイトの管理などを担うマーケティングチームにて、廃棄物に関する問い合わせの窓口を担当。

広域認定の取得や自社使用済み製品の回収スキーム確立をお考えの方へ

今後予想される資源枯渇等に伴う調達リスクに備えるためには、適切な資源の運用が欠かせません。アミタは、広域認定の取得や資源回収等に関するご支援・ご提案の実績も多数ございます。資源運用のスキーム確立等をお考えの方がいらっしゃいましたら、お気軽にこちらからご相談ください。

無料メールマガジン登録はこちら

ご依頼・ご相談はこちら

このページの上部へ