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インタビュー

株式会社スワン 原 宏光 氏スワン|障がい者の"できること"をつなげたら、ラブリーなガトーショコラができました。-スワンベーカリーの"社会貢献ギフト"はいかが?-

一ヶ月働いた給料が1万円以下――。障がい者雇用の現状を憂いた『クロネコヤマトの宅急便』創始者が1998年に立ち上げたのは、焼きたての美味しいパンを売るお店『スワンベーカリー』。
創業当時から、ヤマトで鍛えた経営力でしっかりと利益を上げ、障がい者の方に月給10万以上を支払い続けています。スワンは昨年、全国の福祉事業所や小規模作業所で働く人たちの工賃を上げるため、作業所とのコラボレーションブランド『ラブリースワン』も作りました。

第一号商品であるガトーショコラは、4つの事業所で働く障がい者たちがアイディアを提供しあい、味はもちろん見た目も可愛い商品に。社会貢献ができるギフトとして、お客様からの評判も上々です。 関係者全員が笑顔になるガトーショコラができるまでの舞台裏を、株式会社スワンの原宏光氏にうかがいました。

経営と福祉の両立を目指して

swan_5.jpg―スワンベーカリーは今年で16年目を迎えますね。創業時のことを教えていただけますか?

原氏:スワンベーカリーを立ち上げたのは、ヤマト運輸の社長・会長を歴任した故・小倉昌男です。

私財を投げ打って『ヤマト福祉財団』を作り、「障がいのある人もない人も共に働ける社会を実現したい」と、全国の障がい者施設の運営者に対して、経営能力をつけてもらうセミナーを開きました。やがて、実際に障がいのある人と一緒に仕事をしようと志し、1998年にスワンベーカリーの一号店を開店しました。現在は28店舗に広がり、300人以上の障がい者の方が働く場になっています。そのうち7割が知的障がい、2割弱が精神障がい、1割弱が身体障がい者の方です。

ちなみに、セミナーは16年経った現在でも行っているんですよ。

―私財を投入して財団を設立するというのは大きな決断ですよね。もともとそういった意識が高い方だったのでしょうか。

原氏:ええ、クロネコヤマトの宅急便を始める時もそうであったと聞いております。今のように配達技術が発達しておらず、個人宅配はまったく採算が合わないと言われていた時代に、「世のため人のためになる事業」と考えて宅急便事業を興しました。

小倉は、ソーシャルベンチャーとして創業したのだと思います。

―スワンベーカリーは、通常の福祉施設とは違い、"経営"を重視されていますね。

原氏:スワンはスタートのときから"経営と福祉の両立"を目指してやってきました。また、見てのとおり、お店では障がいのある人が働いていることを前面に出していません。あくまで普通のお店として勝負していて、目を凝らして見てみたら障がい者が働いている、というスタンスです。「いいことをしているから」とご購入や支援をいただくお客様もいらっしゃいますが、毎日のことなので、最後はやっぱり商品とサービスの勝負になりますね。"商品力"のほか、"販路の開発""障がい者の能力開発"に力を入れています。民間企業としてあたりまえのことです。

障がい者が"本気で働く"職場

swan_3.jpg―障がい者の方を雇用するにあたって、苦労されていることや工夫していることはありますか?

原氏:彼らは単に、オールマイティでなかったり、覚えるのに、時間がかかったりすることがあり、十分なトレーニングは必要です。しかし、覚えた仕事は、手抜きをせず、一生懸命にきちんとやってくれるという、いいところが沢山あります。スワンでは、一人ひとりの長所をブラッシュアップしていくことを心がけています。まずはどんな小さなことでもいいので、できることを見つける。一人でできなくても、二人、三人組み合わせればできることもたくさんあります。それをいかに早く見つけて、褒めて、自信を持ってもらうかがポイントです。

それを営業時間中に、時間をつくりながら、商品の品質を守りながら、指導していくというのは、とてもたいへんなことですが、みんな一生懸命に、お客様に喜んでいただけるようがんばっていますので、一番のやりがいでもあります。

―そういう風にコミュニケーションをとりながら働ける場所があるというのは、障がいのある方たちにも嬉しいことなんでしょうね。

原氏:そうですね、みんな笑顔で仕事をしています。障がいのある人もない人も働いたらもう、変わらないですよ。「これは得意」「これは苦手」「これは時間がかかる」等、それぞれの特徴をつかんで仕事するだけで。一緒に働く仲間で、もっと言えば家族なんです。

仕事をするハコを作って雇って満足、ではあまり意味がないと思います。やっぱり本気で働いてもらって、自分の仕事に誇りを持ってもらう。そういうことを大事にしたいですね。

『ラブリースワン』で作業所を支援

swan_4.jpg―昨年は複数の作業所とコラボレーションするブランド『ラブリースワン』を開発し、ガトーショコラを販売しました。その背景を教えていただけますか。

原氏:ガトーショコラはスワンベーカリーだけでなく、他の事業所や施設のみなさんと一緒になって作り上げた初めての商品です。

スワンベーカリーはこれまで、商品力で勝負して展開してきました。そのノウハウを他の作業所や施設さんの支援に活かせたらという考えを、公益財団法人信頼資本財団さんに相談したところ、ガトーショコラを作っている『かすたねっと』さん、イラストが得意な『からふる』さん、スタンプ押しや箱の組み立てが得意な『荒川ひまわり第2』さん、そして販売が得意な我々をつなげてくださり、完成しました。4つの事業所の"できること"をつなげたら、商品力のあるものが生まれたんですね。

―スワンさんのウェブサイトで、このガトーショコラのことを"社会貢献ギフト"と形容されていますね。

原氏:味、価格、パッケージには、とても自信を持っていますが、それ以外にもラブリースワンには、障がいのある方の笑顔がつまっているという付加価値があると思っています。商品を知ってもらいたい、障がいがあっても良い商品は作れる、みんなの笑顔を届けたいという思いを多くの一般の方に伝えるにはどうしたらいいかを考えたら...あまり使いたくなかったのですが、社会貢献ギフトという言葉になりました。

お客様にもご好評をいただき、これまでに、2,000個以上を販売しました。この商品が売れることで、障がいのある方のお給料が増えたり、自分たちが作った商品が、世の中に出たことが自信になったり、そういったことに繋げていきたいと考えています。

―クチコミでも評判が広がっています。

原氏:twitterやfacebookで紹介していただいてますし、新聞や雑誌にもご掲載いただいています。たくさんの方が力を貸してくださり、この商品をつないでくださっています。本当にありがたいですね。最初に全国の加盟店さんに紹介したら、まずお店の方が購入されて完売したんですよ。

作業所の皆さまには本当に喜んでもらえて。「ありがとうございます」なんて、こちらこそですよね。「みんなで協力をしてひとつのものを作り上げた」という感動を、共有させていただいたことに、心から感謝しています。

―今後の展望や抱負を教えてください。

原氏:これからも作業所さんが作っている素敵な商品を見つけて、ブラッシュアップが必要なところには、いろいろと協力をしがら、コラボをして、全国に発信したいと思っています。障がいのある人たちも、しっかり訓練すればいい仕事やいいサービスができる、いい商品は作れる。それをもっと伝えていきたいですね。

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