CSR・環境戦略Q&A
世界循環経済フォーラム2018から見えた循環経済(サーキュラー・エコノミー)の課題と展望とは?【前編】
2018年10月22-24日、Sitra※1主催の第2回世界循環経済フォーラム(WCEF2018※2)が横浜で開催されました。64カ国、1,100人以上の専門家や企業人が一堂に会し、循環経済(サーキュラー・エコノミー)の構築のために自らが行っていること、また2050年までに真の循環経済を創出するために必要なこと等について、熱い議論を交わしました。
そこで、今回は、前編と後編の2回に分けて、フォーラムで共有された重要ポイントをご紹介します。前編では、2050年に向けたビジョンについてご紹介します。
※1 Sitra:Finnish Innovation Fund Sitra フィンランド・イノベーション基金 Sitra
※2 WCEF2018:World Circular Economy Forum 世界循環経済フォーラム
第2回フォーラムでは合計17の全体会合ならびに同時セッションが行われ、100名以上の登壇者がビジネス、都市、金融に関する優れた循環経済方策を発表しました。パラレルセッションでは、循環経済と第4次産業革命とのつながり、食品ロス、金融と投資、ビジネスソリューション、ライフスタイルと消費、プラスチック、教育、気候変動と持続可能な消費、研究と開発、地方の活性化、グローバルバリューチェーンといったテーマが扱われました。さらに、本フォーラムに並行して、閣僚級会議といった関連会合、ネットワーキング会合、二国間協議が開催されています。第1回WCEFは、2017年6月5日〜7日にフィンランド・ヘルシンキにて Sitra の主催で開催されました 。
(写真は当日の会場の様子)
2050年に向けたビジョンを発表!
フォーラムでは、循環経済への転換に向けた「現状の課題」として以下の3つが指摘されました。
- 世界における循環経済に関する共通ビジョンの欠如
- 循環経済がビジネス、貿易、雇用創出に貢献することに対する認識
- より強力なリーダーシップの存在と協力体制の創出
また、今後の企業活動には資源の有限性を考慮した循環経済への、即時的な行動が求められるという予測とともに、循環経済への即時的行動の機運を高めるため、以下の2つの目標が定められています。
- 線形経済※3から循環経済への移行の中で顕出した課題の認識
- 循環経済を具体的に体現するためのパートナーシップの形成
※3 線形経済:製品も原材料も一度の使用で埋立地に送られ、また製造工程も、採取→消費→廃棄という一方通行でのみ最適化される経済を指します。
(写真は当日の会場の様子)
<2050年に向けた循環経済アプローチによる将来像>
テーマ | 循環経済アプローチによる将来像 |
天然資源と製造 |
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輸送とサービス |
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食料と暮らし |
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プラスチック |
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能力開発 |
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参考:国際持続可能開発研究所(IISD)_WCEF Bulletin
では、各企業は具体的にどのような行動を起こせばよいのでしょうか。課題の克服に向けた好事例としては、脱プラスチックに関する取り組みなどが挙げられます。後半では各企業の事例をご紹介します。
参考情報
WCEF Webサイト
国際持続可能開発研究所(IISD)_WCEF Bulletin
【経営企画・事業企画・サステナビリティ推進担当、必見!】
2020年9月末発表「世界を変えるサーキュラーエコノミー最新ビジネス39事例」を解説
2020年9月29日~30日に開催された世界循環経済フォーラムのオンラインイベントにて、サーキュラーエコノミーの優良事例(39企業の取り組み事例)が発表されました。日本からも2社が選定されています。今、世界で実践されている新しいビジネスモデルは、どのようなものか?ぜひ、ご一読ください。
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執筆者プロフィール(執筆時点)
正島 康博(しょうじま やすひろ)
アミタ株式会社
環境戦略デザイングループ 環境戦略デザインチーム
大学卒業後、教育関連会社、学習・就労支援NPO法人を経て現職。以前から関心をもっていた自然資本と人間関係資本の増加ついて、その視座で持続可能な社会の構築を目指すというミッションに共感しアミタに入社。現在は企業向けのコンサルティング業務として、廃棄物処理のスキーム構築、CO2排出量削減を中心とした環境戦略の策定支援、社内にてサステナビリティ意識の醸成を目的とした研修の企画・実施などを担当。