この記事の要約
今回のテーマである「混合廃棄物」や「総体」という考え方は、新しいテーマではありませんが、今でもセミナーでよく質問される内容であり、知らずに廃棄物管理業務を行ってしまうとリスクの高い重要な内容です。改めておさらいしておきましょう。
「混在」「混合」状態で排出される廃棄物
「混在・混合」と「総体」という考え方
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「混在」「混合」状態で排出される廃棄物
「混在・混合物」「総体物」、どちらの言葉も廃棄物処理法で定義されているものではありませんが、この概念を知っておかないと実際の廃棄物は「動かせません」。
と言うのも「物」は「有価物と廃棄物」に区分され、さらに廃棄物は「一般廃棄物と産業廃棄物」に区分され、産業廃棄物はさらに20種類に区分されます。
そして、この20種類の区分ごとに「許可」が分かれています。無許可行為は当然ながら「無許可業者への委託」も廃棄物処理法では最も重い罰則第25条の対象となる行為です。
しかし、前述の「物」が単品で排出されるとは限らず、現実にはいろんな「物」が複雑に混在して排出されます。
この「混在・混合」の状態を正しく判断しないと、廃棄物処理法違反ということになってしまいます。
まず、簡単な事例で考えてみましょう。
●事業所で使用していたプロジェクターが壊れたので廃棄しようと思います。どういう許可を有している業者に委託したらよいですか?
「廃プロジェクターの処理業・収集運搬業の許可」、そんな許可を持っている会社は存在しません。こういう時はプロジェクターを構成しているパーツを見る訳です。外枠はプラスチック類、ボルトや部品の多くは金属、そしてレンズの部分はガラスのようにパーツごとに考えていきます。その結果、廃プロジェクターは廃プラスチック類、金属くず、ガラス陶磁器くずの3品目の産業廃棄物の許可を持っていれば扱える、と判断します。
つまり、廃プロジェクターは廃プラスチック類、金属くず、ガラス陶磁器くずの「混在・混合物」と判断される訳です。
「混在・混合」と「総体」という考え方
「混在・混合」という概念は、古くは昭和54年11月26日付け環整128・環産42という「廃棄物の処理及び清掃に関する法律の疑義について」という通知に次の回答があります。
問 事業活動に伴って排出される、①液状の廃合成塗料、②塗料以外の不純物が混合して、でい状となつている廃合成塗料、③溶剤が揮発し、固型状(粉状のものを含む)となつている廃合成塗料はそれぞれ産業廃棄物のどの種類に該当するか。
答 ①は廃油と廃プラスチック類の混合物に、②は汚でい(油分を5%以上含んでいる場合にあつては汚でいと廃油の混合物)に、③は廃プラスチック類に該当する。
この疑義は「要らなくなったペンキを処理委託するときは、どういう許可を持っている業者に頼んだらいいの?」というものだったのでしょう。それに対し「ペンキというのは廃油と廃プラスチック類の混合物」と回答していますよね。
このように、排出されるものが産業廃棄物であれば法令で規定している産業廃棄物20種類の「混合」と原則的には判断します。
ところが、この「混合」とは全く正反対の判断をしている回答が同じ通知にあります。
問 10%の銅を含むレンガくずを有償で売買しているが、レンガくずだけを廃棄物と考えられるか。
答 総体としてレンガくずは有価物である。
この疑問は「本来価値があるのは銅であって、レンガくずではない。とはいえ、手を突っ込んで銅の成分だけを引き抜くという訳にもいかない。分別して排出しろと言われても不可能だ。」というケースですね。こういった時は「総体として」という概念も必要と言うことになります。
この2つの通知を知ってしまうと、かえって悩みますよね。どういう状態なら「混在・混合」と判断して、どういう状態なら「総体」と判断していいのか?と。
その疑問に答える、次のような通知があります。(年代的には、先に紹介した通知とは前後しています。)
「油分を含むでい状物の取扱いについて」昭和51年11月18日 環水企第181号・環産第17号
「産業廃棄物分類上の取扱い」
油分をおおむね5パーセント以上含むでい状物は汚でいと廃油の混合物として取扱うこと。
これは非常に分かり易い通知ですよね。5%以上の比率での混在なら「混合物」すなわち、構成しているパーツの種類毎に許可が要る一方、文面上は出てきませんが、5%未満なら95%以上の物(この事例では汚泥)1品目、すなわち「総体汚泥」として扱ってよいと読めます。
この通知は、とても分かり易い判断基準だったのですが、この通知を悪用する者が登場してしまいました。後編では、どのように混合・総体を考えればいいか事例を交えて解説します。
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執筆者プロフィール

ながおか ふみあき
長岡 文明
BUN環境課題研修事務所 主宰
※記事執筆時点
山形県にて廃棄物処理法、廃棄物行政、処理業者への指導に長年携わり、行政内での研修講師も務める。2009年3月末で山形県を早期退職し、廃棄物処理法の啓蒙活動を行う。廃棄物行政の世界ではBUNさんの愛称で親しまれ、著書多数。元・文化環境部循環型社会推進課課長補佐(廃棄物対策担当)。
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