コスモスモア|経営者自ら先導し社内を巻き込むCSR活動 | 企業のサステナビリティ経営・自治体の町づくりに役立つ情報が満載

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インタビュー

株式会社コスモスモア 小川 陽平 氏コスモスモア|経営者自ら先導し社内を巻き込むCSR活動

株式会社コスモスモアのCSR報告書(「サスモア」)には社員の皆さんが、上司も部下もなく和気藹々と楽しそうに活動している写真がたくさん。このように社員の多くを巻き込むCSR活動を展開できた背景や今後のCSR活動の展望についてお話を伺いました。

CSR活動を始めるも危機にさらされる

office_img01.jpg高橋:2006年にCSR活動の担当部門ができたのですね。そのきっかけはどんなものだったのでしょうか?

小川氏:きっかけは、㈱コスモスイニシア、㈱コスモスモア、旧㈱コスモスライフ(現 大和ライフネクスト㈱)のグループ3社で社会貢献をしながらブランドの向上をしていくという方針が打ち出されたことです。それ以降、環境ビジョンの策定を行ったり、事業活動からの環境負荷を図ったりしました。当時アミタさんには、現状の廃棄物量の測定や、廃棄物の処理を委託している会社についての調査をお願いしていましたよね。その後、リーマンショックの影響でグループの経営状況が悪くなり、グループの再編や、早期退職者を募るなど、さまざまな市場変化もありました。そのような中でも、粛々とCSR活動を継続してきました。

高橋:経営状況が悪化するとCSR活動はやめようという話が出てくることが多いですが、御社では継続できたのはなぜなのでしょうか?

小川氏:リーマンショックの影響で経営状況が悪くなった時期にも、CSR活動の提案を起案した際に、当時の役員から「CSR活動はいくら儲かるのか」とずっと聞かれていました。例えば、同じ商品を同じ金額で提供するとすれば、必ずCSR活動を続けている会社が選ばれると私自身は考えていました。ですので、当時の私は、CSR担当からはなれた営業部門にいましたが、本気でやりたいメンバー達と社長に提案し、全員が営業部門との兼務を条件として、CSR推進室という組織を作ることをお願いしました。ただ、このような経営状況の中でしたので大きな投資をすることを必要としない、My箸の携帯、産業廃棄物処理場の見学などを行っていました。一方で、私が担当していたオフィス事業では、建設業界初の商品としてカーボンオフセット商品「eco-toオフィス」を世の中に打ち出しました。結局は本気でやりたい人間がやらないと続かないと思います。

高橋:経営者の理解が不足しているためにCSR活動がやりにくい、という企業は多いように感じます。経営者の理解を十分得ないままCSR活動をやるのはやはり難しいでしょうか?

小川氏:難しいと思います。だから一番初めにやる作業は、社長と膝を突き合わせて、CSR活動を本気でやりますか、というのを確認することかもしれません。そして、多くの社員でできる草の根活動という形で行っていく、例えば、社員を楽しませるイベントに社長を呼ぶこともいいと思います。ボランティア活動や寄付だけでは、頓挫しやすいと考えます。

画像コメント:オフィス移転・レイアウト変更に伴う工事によって排出されるCO2を算出し、一括してカーボンオフセットする「eco-to(いいこと)オフィス」を開始。オフィス工事で発生したCO2をまとめてオフセット(相殺)できる業界初のサービスは小川様を中心に考案されました。

多くの社員を楽しませるCSR活動

cosmosmore003.jpg高橋:サスモアを拝見すると、多くの社員の方々が楽しそうに活動していらっしゃいます。他社の悩みとして、CSR活動でイベントを開催しても特定の人しか来ないというような悩みも多いのですが、御社ではどう対処していらっしゃいますか?

小川氏:ポイントは2点あります。

1点目は、イベント自体が楽しくなければならないということです。東日本大震災以降、日本は自粛ムードでしたが、社員が参加しやすく楽しめるもの、例えば、男性向けのゴルフであったり、女性向けのヨガを企画したり、その参加費用にチャリティも組み込みイベントを開催しています。

2点目は、楽しいイベントだけではなく、業務としてのイベントを開催していることです。例えば、東日本大震災を知るための東北スタディツアーを開催したのですが、その起案にあたっては、社長承認を得た上で、経営会議にはかり各営業ラインの責任者の協力を得て参加者の人選を行うなど細かな作業を徹底しています。こうして、特定の人しか来ないという課題を解決しています。

画像コメント:お二人で社内のエコ活動を推進されてきたお二人。小川様の右手は永様。お二人の会話の様子からも社内の風通しのよさが伝わってきました。

eco検定合格者が全社の8割!

cosmosmore001.jpg高橋:社員の約8割がeco検定合格者とかなり高い取得率ですね!ここまでeco検定を最大限活用されているのはなぜでしょうか?

小川氏:それは、これからの社会人としての常識と考えているからです。当社の商品やサービスを提供するのは社員であり人です。常識レベルとしてeco検定を学ぶことで、環境への配慮を意識しながら事業を推進していくことが必要不可欠だと考え、eco検定の受験を奨励しています。また、会社の本気度を示すためにも報奨金を支給する制度を構築し、初年度での保有者が社員145名中79名で50%を超えました。また、この保有率がきっかけで東京商工会議所の特別講師をやらせて頂いたり、TVやいくつかの雑誌でも取り上げて頂いたりしました。こうして当社の認知度が上がっていることを社員が実感したのち、エコ検定合格者が全社の8割となりました。

画像コメント:自らが広告塔となり、コスモスモア=エコというイメージを広め、ブランド力アップに努めてこられた、小川様。

東北支援でグッドデザイン賞を取得!

cosmosmore002.jpg高橋:サスモアを拝見すると、東北支援も継続的に行われていますね。

小川氏:東北支援は、当社のCSR活動方針のメインとして継続しているからです。他社は、現地で経費をかけて、自社商品・サービスの提供をしています。ただ、当社は現地でニーズを確認することからスタートしています。「夜明け市場 起業家支援プロジェクト」では、福島県いわき市の復興飲食店街の起業家支援コワーキングスペースをNPO法人TATAKIAGEJapanとの協働で、立ち上げまでの支援をさせて頂き、「2013年度グッドデザイン賞受賞」という形で結実しました。これらの経験を経て、元サッカー日本代表、加藤久さんが中心となって進められている、陸前高田サッカー場クラブハウスプロジェクトの設計やデザインのお手伝いをさせて頂いています。

高橋:サスモアには小川様があちこちに出ていて、小川様も実際のCSR活動に関わっていらっしゃるのですね。経営層をどのように引き込むかは課題になる会社も多いです。

小川氏:私はまず現地に行きますからね。また当社の社長も同じです。上位職級者こそ率先垂範することが大切だと考えます。少し話は変わりますが、当社のeco検定の取得第一号は社長でした。

高橋:本日は貴重なお話をありがとうございました。最後に今後のCSR活動の展望をお聞かせください。

小川氏:プロとして東日本大震災の復興支援における現地ニーズに対して、本業を通じてこたえられる商品、サービスの研究・開発を形にしていきたいと思います。具体的にはシーズとして支援している一般社団法人モア・トゥリーズさんも参画頂き、事業担当者も参加するプロジェクトもはじまりました。引き続きブランド力UPを図りながら、本業でのCSR活動を進めていきたいと思っています。

編集後記

2006年のCSR担当部署立ち上げの際、私自身廃棄物管理の観点から株式会社コスモスモア様の支援をさせていただきました。あの当時CSR活動を始めた企業が、8年を経て本業でのCSR活動を行っていることにとても感激しました。「継続は力なり」。今は国産材を使った商品開発に取組み始めたところだそうですが、今後も世の中にたくさんのCSR商品を展開していかれるのを楽しみにしております。

小川様、様々なお話を頂戴いたしまして、ありがとうございました。改めてお礼を申し上げます。

プロフィール

mr.ogawa001.png小川 陽平(おがわ ようへい)氏
株式会社コスモスモア

同志社大学文学部卒業後、1986年株式会社リクルートコスモス(現コスモスイニシア)に入社。1992年株式会社コスモスモアに転籍。営業課長を経て、管理部門責任者として労働環境改善、中長期経営計画の立案、基幹システム構築、人事採用、債権回収、訴訟等、幅広い業務を担当。2011年4月にCSR推進室長に就任し、エコ検定取得率80%の実現、自社独自の環境報告書(サスモア)の創刊、建設業界初のカーボンオフセットの商品化を手掛け、社外コンクールも受賞。2012年6月に取締役に就任。現在は、東日本大震災からの復興支援を主軸としたCSR活動を推進している。

著書「一生食べていくのに困らない総務の仕事力」(2013年2月 かんき出版刊)

インタビュアー

takahashi.png高橋 泰美(たかはし ひろみ)
アミタ株式会社 CSRJAPAN副編集長

2005年7月に入社し、企業の廃棄物管理に関するソリューション営業やエコ活動に関する企画提案など行う。その後三度の出産、育児休業を経て、2014年4月より復職。現在は企業のCSRに関する企画提案やCSR活動の支援等を行っている。仕事、育児、家事の両立について日々研究中。

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