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インタビュー

堀内ウッドクラフト 堀内 良一 氏FSCという「世界共通言語」を通じて、森林や大手企業、海外へと世界が広がった

文具からノベルティグッズ、また医療用玩具というユニークなものまで、幅広い木工製品を製造、販売している堀内ウッドクラフト。個人事業主でありながら、まだFSC認証の認知度が低かった2004年にFSC COC認証を取得。そのきっかけは何だったのでしょうか。

「ただ、木製品を作っているだけじゃだめだ」と思った

私はもともと、箱根で漆器をつくっていたのですが、ライフスタイルの変化で漆器やお盆を使うことも少なくなってきた影響か、2000年くらいからどんどん仕事が減っていきました。このままではいけないと、オリジナルの木工製品をつくり、販売することを始めたのです。そんな中、ただ木製品を作っているだけじゃだめだ、何か付加価値を、差別化ができるものを・・・と考えるようになりました。

profilephoto_all.jpg初めは、地元の材を使用して木製品を作っていこうと考えたのですが、その頃たまたま、ある森林関連のイベントで、速水林業さんの話を聞き、FSC認証について知ったのです。ちょうど、「グリーン購入」だとか環境に関するキーワードを耳にする機会が増えてきた頃で、環境に配慮した製品を作ろうとその時に考えました。当時は子供も小さかったので、よい環境を子供たちに残したい、という想いもあったと思います。

私がFSC COC認証を取得したのは、2004年です。その頃は、今と比べても認知度は低く、まだまだ広まっていない状態だったのですが、それについての不安はなかったです。逆に一早く認証を取得した方が希少価値があると考えていました。

FSCという世界共通言語で広がった世界

FSC COC認証を取得して良かったと感じる一番のメリットは、FSCという共通言語により、新たなつながりができた、ということです。FSC認証の取得によって、話が通じやすくなったことは大きいです。例えば、大企業の問い合わせ窓口にメールを送るとします。通常でしたら、私みたいな個人事業主の話はなかなか聞いてもらえません。ところが、こちらから「FSC認証」というキーワードを伝えると、無下に断られるのではなく、とりあえず話を聞きましょうと言ってもらえます。まず土俵に立てるようになった、ということは大きなメリットだと思います。

Horiuchi_logo.jpgまた、異業種の認証取得者同士のつながりがどんどん増えていく中で、新たな世界を知ることにもなりました。例えば、認証を取得するまでは、木材の供給元も分からずに、ただ材木屋さんから木材を購入していただけでした。しかし認証取得後は、取得者同士のつながりから、FM認証を取得している森の実際に木を伐採した現場に行くことができるようになり、自分が使用する木材のルーツが分かるようになったのです。

FM認証取得者と情報交換ができるようになったおかげで、森林のことも以前に比べて深く知ることができました。FSC COC認証を取得してから7年が経ちましたが、FSC認証が「世界共通言語」であることで、差別化のツールとして活かせているという実感があります。

国内だけでなく世界に向けて

知人から依頼されたのがきっかけで、医療用玩具の製造(※)を8年ほど前に始めました。縁あって、先日、私が作っている医療用玩具をシカゴで開催された展示会で紹介する機会を持つことができました。反応は上々でした。今後は、これらの医療用玩具にFSCのロゴマークを入れて販売していければと考えています。

toy.jpgこれまでに、外国向けにFSC認証製品のノベルティグッズを多く作ってきましたが、FSCロゴマークは世界に通用しますから、海外向けの製品でも認識がされやすくて良いと思います。

また、近年は世界的に生物多様性が注目されていますが、FSC認証の原則と規準は森林の生物多様性の保全についても規定していますから、そういった意味でFSCの需要が増えてくるだろうと思います。

最近では、同業者でもFSC認証に関心を持つ人が増えてきました。話を聞きたいと、これまでに何度か訪問も受けています。同じ方向を向いている仲間がたくさん増えることは、嬉しいです。私は個人で事業を行っていますから、仲間がいると本当に元気付けられます。事業規模が小さく個人でやっている分、プロモーションがなかなかできないということが課題なのですが、その点、横の繋がりが増えたおかげで受注した案件も多く、本当に助かっています。

どんな事業規模でもやる気があれば認証を取得できます。私でも取得できたのですから。将来的には、人を増やして、FSCで稼いでいくことができるようになりたい、と思っています。

※医療用玩具・・・日本では、堀内ウッドクラフトが初めて製造。検査や手術の説明の際に、診察台やMRI、聴診器などを模した木製玩具を使って説明することで、子供たちに自然に説明することができます。また事前に遊んでもらうことで、機器や方法に慣れ、子供達が実際の検査や手術の時に怖がらないようになるなどの効果があります。

関連情報
プロフィール

profilephoto_up.jpg堀内 良一 氏
堀内ウッドクラフト

1993年4月開業。神奈川県。各種木工製品や漆器の製造、販売を行う。環境や、心と体にやさしい木を素材としたものづくりを通じて、安心で楽しい木のある暮らしを提案している。またFSC認証に関連するイベントにも積極的に参加し、FSC認証の輪を広げている。

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