9月23日に行われた、国連の地球温暖化サミット。16歳の活動家、グレタ・トゥーンベリさん(スウェーデン)のスピーチが話題となっています。本記事では、グレタさんのスピーチ全文にあわせて、気候変動に関する数値データをご紹介します。
スピーチ全文(和訳)
“私が伝えたいことは、私たちはあなた方を見ているということです。”
スピーチの全文をご存知でしょうか?下記は、グレタさんによる約4分間のスピーチの全文(和訳)となります。科学的な数値を交えながら、各国代表へ「気候変動への取り組み」を力強く要請しています。
国連の温暖化対策サミット。地球温暖化対策を訴えて若者の運動が世界に広がるきっかけとなり、学校を休んで活動を続けているスウェーデンの16歳の活動家、グレタ・トゥーンベリさんが各国の代表を前に演説しました。演説の全文です。私が伝えたいことは、私たちはあなた方を見ているということです。そもそも、すべてが間違っているのです。私はここにいるべきではありません。私は海の反対側で、学校に通っているべきなのです。
あなた方は、私たち若者に希望を見いだそうと集まっています。よく、そんなことが言えますね。あなた方は、その空虚なことばで私の子ども時代の夢を奪いました。
それでも、私は、とても幸運な1人です。人々は苦しんでいます。人々は死んでいます。生態系は崩壊しつつあります。私たちは、大量絶滅の始まりにいるのです。
なのに、あなた方が話すことは、お金のことや、永遠に続く経済成長というおとぎ話ばかり。よく、そんなことが言えますね。
30年以上にわたり、科学が示す事実は極めて明確でした。なのに、あなた方は、事実から目を背け続け、必要な政策や解決策が見えてすらいないのに、この場所に来て「十分にやってきた」と言えるのでしょうか。
あなた方は、私たちの声を聞いている、緊急性は理解している、と言います。しかし、どんなに悲しく、怒りを感じるとしても、私はそれを信じたくありません。もし、この状況を本当に理解しているのに、行動を起こしていないのならば、あなた方は邪悪そのものです。
だから私は、信じることを拒むのです。今後10年間で(温室効果ガスの)排出量を半分にしようという、一般的な考え方があります。しかし、それによって世界の気温上昇を1.5度以内に抑えられる可能性は50%しかありません。
人間のコントロールを超えた、決して後戻りのできない連鎖反応が始まるリスクがあります。50%という数字は、あなた方にとっては受け入れられるものなのかもしれません。
しかし、この数字は、(気候変動が急激に進む転換点を意味する)「ティッピング・ポイント」や、変化が変化を呼ぶ相乗効果、有毒な大気汚染に隠されたさらなる温暖化、そして公平性や「気候正義」という側面が含まれていません。この数字は、私たちの世代が、何千億トンもの二酸化炭素を今は存在すらしない技術で吸収することをあてにしているのです。
私たちにとって、50%のリスクというのは決して受け入れられません。その結果と生きていかなくてはいけないのは私たちなのです。
IPCCが出した最もよい試算では、気温の上昇を1.5度以内に抑えられる可能性は67%とされています。
しかし、それを実現しようとした場合、2018年の1月1日にさかのぼって数えて、あと420ギガトンの二酸化炭素しか放出できないという計算になります。
今日、この数字は、すでにあと350ギガトン未満となっています。これまでと同じように取り組んでいれば問題は解決できるとか、何らかの技術が解決してくれるとか、よくそんなふりをすることができますね。今の放出のレベルのままでは、あと8年半たたないうちに許容できる二酸化炭素の放出量を超えてしまいます。
今日、これらの数値に沿った解決策や計画は全くありません。なぜなら、これらの数値はあなたたちにとってあまりにも受け入れがたく、そのことをありのままに伝えられるほど大人になっていないのです。
あなた方は私たちを裏切っています。しかし、若者たちはあなた方の裏切りに気付き始めています。未来の世代の目は、あなた方に向けられています。
もしあなた方が私たちを裏切ることを選ぶなら、私は言います。「あなたたちを絶対に許さない」と。
私たちは、この場で、この瞬間から、線を引きます。ここから逃れることは許しません。世界は目を覚ましており、変化はやってきています。あなた方が好むと好まざるとにかかわらず。ありがとうございました。
出典:NHK news web グレタさん演説全文「裏切るなら絶対に許さない」涙の訴え
グレタさんのスピーチからは、近年の気候変動問題が深刻化していること、またこうした対策のリミットが着実に迫っていること、そして、それらを社会が認識し始めていることがうかがえます。そして、今、世界全体で気候変動に備えた動きが加速しています。
IPCCの報告書からみる、気温上昇が招く被害とは?
2018年10月、気候変動に関する政府間パネル(以下、IPCC(注1))は「1.5℃特別報告書(注2)」を発表しています。本報告書は現時点での最新の報告書であり、地球の気温が工業化(1800-1900年)以降、1.5℃上昇した場合の影響についてまとめられています。地球の気温変化については、2017年に、工業化以降、地球の気温が1℃上昇していることが確認されており、現在の上昇速度のままだと2030〜2052年の間に1.5℃の上昇が起こるだろうといわれています。
また、報告書では、地球の温度がそれぞれ1.5℃、2℃変化すると以下のような変化がおきると推定されています。
▼1.5℃及び2℃の地球温暖化で生じるリスクの予想
| 予想される変化 | 1.5℃の地球温暖化に関する予測 | 2.0℃の地球温暖化に関する予測 |
|---|---|---|
| 極端な気温 | ・中緯度域の極端に暑い日の気温が約3℃昇温する ・高緯度域の極端に寒い夜の気温が約4.5℃昇温する | ・中緯度域の極端に暑い日の気温が約4℃昇温する ・高緯度域の極端に寒い夜の気温が約6℃昇温する |
| 海氷の消失 | ・昇温の安定後、少なくとも約100年に1度の可能性で、夏の北極海の海氷が消失する | ・昇温の安定後、少なくとも約10年に1度の可能性で、夏の北極海の海氷が消失する |
| 洪水 | ・1976〜2005年を基準として、洪水による影響を受ける人口が100%増加する | ・1976〜2005年を基準として、洪水による影響を受ける人口が170%増加する |
| サンゴ礁の消失 | ・さらに70〜90%が減少する | ・99%以上が消失する |
| 生物種の地理的範囲の喪失 | ・調査された105,000種のうち、昆虫の6%、植物の8% 及び脊椎動物の4%が気候的に規定された地理的範囲の半分以上を喪失する | ・調査された105,000種のうち、昆虫の18%、植物の 16%及び脊椎動物の8%が気候的に規定された地理的範囲の半分以上を喪失する |
| 世界全体の年間漁獲量の損失 (海洋での漁業について) | ・150万tの損失 | ・300万tを超える損失 |
出典:環境省 IPCC「1.5℃特別報告書」の概要をもとにアミタ株式会社が作成
▼1.5℃及び2℃の地球温暖化で生じる海面上昇および社会、経済への影響
| 世界平均海面 水位の上昇 | 2100年までの世界平均海面水位の上昇は、2℃に比べて1.5℃の地球温暖化においての方が約10cm低いと予測される。 世界の海面水位上昇幅が10cm低くなることは、2010年の人口に基づき適応がないと想定すると、関連するリスクに曝される人が最大1,000万人減少するであろうことを示唆する。 |
| 永久凍土の融解 | 地球温暖化を2℃ではなく1.5℃に抑えることによって、150万〜250万km2の範囲の面積において永久凍土の融解を何世紀にもわたって防ぐ。 |
| 貧困及び不利な条件の増大 | 地球温暖化の進行に伴って一部の人々において、貧困及び不利な条件が増大する。2℃に比べて1.5℃に地球温暖化を抑えることで、気候に関連するリスクに曝されるとともに貧困の影響を受けやすい人々の数を2050年までに最大2~3億人削減しうる。 |
出典:環境省 IPCC「1.5℃特別報告書」の概要をもとにアミタ株式会社が作成
気象庁の発表によると、近年の豪雨や記録的な高温の原因の一つとして、地球温暖化が挙げられています。IPCCによると、こうした異常気象は、地球温暖化が進むと、今後ますます増えると予測されています。
(注1) IPCC 国連気候変動に関する政府間パネル(Intergovernmental Panel on Climate Change)の略。人為起源による気候変化、影響、適応及び緩和方策に関し、科学的、技術的、社会経済学的な見地から包括的な評価を行うことを目的として、1988 年に国連環境計画(UNEP)と世界気象機関(WMO)により設立された組織。
(注2)「1.5℃の地球温暖化:気候変動の脅威への世界的な対応の強化、持続可能な開発及び貧困撲滅への努力の文脈における、工業化以前の水準から1.5℃の地球温暖化による影響及び関連する地球全体での温室効果ガス(GHG)排出経路に関するIPCC特別報告書」
日本国内のCO2の排出状況
日本国内の現状はどのようなものでしょうか。環境省の発表によると、日本の国別1人あたりのCO2排出量は主要国の中で9番目に多いといわれています。また、世界のエネルギー起源CO2排出量のグラフによると、日本のCO2排出量は11.5億tだと報告されています。これは、G7の国の中では、アメリカに次いで2番目に多いCO2排出量です。
▼2016年 CO2排出量に関するデータ


また、環境省の発表から、日本のCO2排出量の内訳をみると「産業部門」「運輸部門」「業務その他部門」が、全体の75%を占めるなど、企業活動によるものが多いことがわかります。
▼2017年度 各部門のエネルギー起源二酸化炭素(CO2)排出量(電気・熱 配分後②
(単位:百万tCO2)
| 部門 | 排出量[割合] |
|---|---|
| 産業部門(工場等) | 413[37.2%] |
| 運輸部門(自動車等) | 213[19.2%] |
| 業務その他部門(商業・サービス・事務所等) | 207[18.7%] |
| 家庭部門 | 186[16.2%] |
| エネルギー転換部門 | 92[8.3%] |
| 合計 | 1,111[100%] |
出典:環境省「2017年度(平成29年度)温室効果ガス排出量 」(2019年発表)よりアミタ株式会社作成
企業の気候変動に関する取り組みについては、長期ビジョンの策定や、企業の環境対策を後押しするプログラムやイニシアティブへの取り組みなどがあげられます。政府による取り組みだけでなく、各社の取り組みが今、求められています。
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おしあみへんしゅうぶ
おしアミ編集部
アミタ株式会社
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