オムロン株式会社に学ぶ! 企業理念とリンクした中長期目標をつくる!社内を巻き込む「鍵」とは?【後編】 | 企業の環境・CSR・サステナビリティ戦略に役立つ情報が満載!

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担当者の声

オムロン株式会社 サステナビリティ推進室企画部 貝崎 勝 氏/杉井 勝彦 氏オムロン株式会社に学ぶ! 企業理念とリンクした中長期目標をつくる!社内を巻き込む「鍵」とは?【後編】

「2050年までに、温室効果ガス排出量をゼロへ。」2018年に環境目標を見直し、中長期目標を策定したオムロン株式会社。アミタ株式会社は外部コンサルタントとして、本プロジェクトに参加させていただいております。
同社が主眼に置かれたのは、社員一人ひとりから経営まで、全社が納得できる企業理念とリンクした目標の策定です。環境ビジョンの見直しや目標の設定は一体どのように行われたのか、そしてどのような成果を生み出したのかを、オムロン(株)サステナビリティ推進室の貝崎勝氏と杉井勝彦氏に伺いました。

後編では、目標の策定を通じて苦労された点や、環境目標に対するその後の反響についてご紹介します。

(写真:左から大重(アミタ)、杉井勝彦氏(オムロン)、貝崎勝氏(オムロン)、中村(アミタ)。オムロン京都本社にて)

前編はこちら

プロジェクトの苦労した点、乗り越えた方法

アミタ:今回御二人が所属する「サステナビリティ推進室」以外の部署、「グローバルものづくり革新本部」「環境事業本部」、また「ヒューマンルネッサンス研究所(オムロンのグループ内シンクタンク)」もプロジェクトに参加されています。他部署との連携で苦労された点はありますか。

貝崎氏:メンバーの発言や議論は活発なのですが、それをまとめあげて次のステップに移行するスピードを上げていきたいとは思っていました。また今回のプロジェクトは最終的に経営の結審をとる必要がありました。環境について専門で考える部門と、経営直下の部門では、どうしても時間軸という点で議論にズレが生じます。具体的な数年単位の事業計画と、長期的なリスクや機会である環境・社会的な課題への対策を統合して扱うために、現場から経営まで皆が「腹落ち」する方法を導き出す点には苦労しました。

アミタ:プロジェクトを進行するにあたって印象に残っていることを教えてください。

貝崎氏:印象的だったのは、2050年の温室効果ガス排出量をゼロに決めた時のエピソードですね。プロジェクトの2回目の討議の後、執行会議に当時のSBTに準拠した温室効果ガス を約81%削減すると説明したのですが、「そこまでやるのだったら、もう排出量はゼロにしましょう」という社長の一声があったことです。その当時でも温室効果ガス排出量ゼロを宣言している企業は多々ありましたし、将来を考えた際に2050年というのはきっと脱炭素社会になるだろうという見立てもあったため、プロジェクトメンバーで検討し、最終的に実現可能と判断しました。

今となってはSBTの認定基準が、地球温暖化を産業革命以前の平均気温から「2℃程度」に制限しようとする目標から「1.5℃未満」へ引き上げられたと発表(2019年2月)がありましたので、あの時に温室効果ガス排出量ゼロを表明できたことは結果的に良かったのではないかと思っています。

omron_2_2.jpg杉井氏:環境取り組みには皆、社会からの要請だからという漠然としたなかで取り組んできたと思います。今回のプロジェクトを通じて、この「自社はなぜ環境取り組みを行うのか」という部分を深掘りした議論をすることが重要だと気付くことができました。

今後の取り組みについて

アミタ:気候変動に対する中長期目標の策定のプロジェクト以降、御社ではSBTイニシアティブへの参加や2050年までに温室効果ガスの排出量ゼロを目指す「カーボンゼロ」の表明をされています。環境に対して積極的に取り組む理由等ありましたらお聞かせください。

貝崎氏:理由は2点あります。
1つ目は、弊社も含めたサプライチェーン全体で環境に対して積極的に取り組んでいきたいという点です。そうすることで新たな事業やビジネススキームが生まれるのではないかと考えています。
2つ目は、企業理念の実現に向けて、具体的に行動できる点です。
プロジェクトを通して環境に対してコミットしていくことは、私たちの社憲にある「よりよい社会をつくる」ことにつながっていると確認できました。そのため、環境に対して積極的に取り組むことは企業理念の体現につながると考えています。

杉井氏:2018年はカーボンゼロを発表して、自社工場の温室効果ガス排出量 の診断を実施してきましたが、2019年からは温室効果ガスの排出量削減に向けた取り組みを実施します。また弊社では事業を通じた社会的課題の解決に力を入れており、こちらも今後さらに取り組んでいきたいと思っています。

アミタ:実際に目標策定をしてみて、経営や業務に関して変化、また社内外からの反応はありましたか。

貝崎氏:社内では、環境に取り組む事業部門から、自社で取り組むことが事業の 追い風になるとの反応がありました。またESG評価機関には、自信を持って環境に対する施策に取り組んでいると言えるようになりました。DJSI Worldの構成銘柄に選定されたことや、京都府から弊社の温室効果ガス排出削減の目標の内容を、府の目標策定の参考にしたいというお話もいただきました。その関係もあり、府から推薦をいただき、環境省が主催している大臣賞(平成30年度地球温暖化防止活動大臣表彰)を受賞することができました。

アミタを選んでいただいた理由

アミタ:今回、目標策定のプロジェクトにアミタを選んでいただいた理由はございますか。

杉井氏:フットワークが軽く、スピード感が競合他社と違っていたことは要因のひとつです。外部のコンサルティングを検討するにあたって、実は別の会社様からも提案をいただいておりました。御社を選んだ決め手となったのは、単に客観的に分析する、テクニックを教えてくれるというだけではなく、オムロンにとって環境取り組みをするということはどういうことかを一緒に考えていただけると感じたからです。私たちの意図を汲んだ、ストライクの提案書を頂いたという点が大きかったです。

プロジェクトに参加したメンバーに聞けば、「なぜオムロンが環境に対する取り組みを行うのか」という質問に対して、必ず「企業理念の体現のため」という同じ答えが返ってきます。そういう意味では皆が腹落ちできるプロジェクトを進められたという実感はあります。
こうした土台があるからこそ、SBTなどの困難な目標に対して、他部署とも同じ方向を向いて取り組みができるのだと考えています。御社とプロジェクトを進める前は、いきなり削減目標を何%にしようかという議論ばかりしていました。やはり計算すると数字が出てくるので、どうしてもそちらを見てしまいます。第三者が入ることで、根本的な部分に立ち返ることができました。

貝崎氏:言われたからやる、他社が取り組んでいるからではなく、私たちの原点に立ち返った時に「やらなければいけないからやる」ということに気づいたのが、あのプロジェクトの意義だと思います。

アミタ:本日はお時間を頂戴し、ありがとうございました。

話し手プロフィール

omron_11.jpg貝崎 勝(かいざき まさる)氏
オムロン株式会社

サステナビリティ推進室企画部 企画部長 経営基幹職

1990年オムロン株式会社入社。
デザイン部門でインダストリアルデザインやユーザインタフェース研究を担当後、コーポレートコミュニケーションセンターで全社Webサイト構築やブランド戦略、経営企画室で技術・新規事業戦略などに従事。その後、事業開発本部、環境事業本部で新規事業の企画業務などを経て、2017年から現職 。

omron_4.jpg杉井 勝彦(すぎい かつひこ)氏
オムロン株式会社

サステナビリティ推進室企画部 主査

1992年オムロン株式会社入社。
ものづくり現場で生産活動・現場改善を担当した後に、生産設備の保全業務に従事。
その後、本社環境部門で、全社環境目標の実行計画策定や、省エネ推進をグローバルに展開。2017年から現職。

聞き手プロフィール(執筆時点)

Mr.nakamura_014.jpg中村 圭一(なかむら けいいち)
アミタ株式会社
環境戦略デザイングループ 西日本チーム

静岡大学教育学部を卒業後、アミタに合流しセミナーや情報サービスの企画運営、研修ツールの商品開発、広報・マーケティング、再資源化製品の分析や製造、営業とアミタのサービスの上流から下流までを幅広く手掛ける。現在は分析力と企画力を生かし、企業の環境ビジョン作成や業務効率化などに取り組んでいる。

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