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コラム

汚染土壌の処理が森林復旧につながる?「自然的原因」への対応事例(1)土壌汚染とのオトナな付き合い方

9月17日に環境資源工学会主催の「リサイクル設計と分離精製技術 第21回 重金属等汚染土壌処理の取り組みと処理技術」というシンポジウムがあり、私も「環境リスク評価に基づく重金属汚染土壌のリスク管理の有効性と課題」という題目で講演をしてきました。

私の講演では、「環境リスク評価の方法」と「土壌汚染への適用」に関してお話をさせていただきました。リスクの考え方に関しては、以下に示すスライドなどを使用しました。 

poison.JPG

The copyright of water photograpth belongs to Leagun.The picture was provided by SXC.hu Website

Q.一般成人が一度に摂取した場合、致死量に達するのは?

1)水 30kg  2)塩 1kg  3)風邪薬 100g  4)青酸カリ 0.01g

poison2.JPG

すべての物質は有毒である。 毒でないものは何もない。
適切な用量が毒と薬を区別する。 パラケルスス(Paracelsus)

ですが、今回は私の講演の内容ではなく、当日のシンポジウムにおける仙台市さんの地下鉄工事に遭遇した自然的原因による基準超過土壌の処理の方法が、「汚染土壌の処理が森林復旧につながる? 」かも、という内容で非常に興味深かったのでご紹介したいと思います。

地下鉄工事で、自然的原因による大量の基準超過土が

この事例は仙台市の地下鉄東西線(仙台駅から青葉山方面)を作る時に、自然的原因によるカドミウム、フッ素、ヒ素が土壌溶出量基準の数倍程度の濃度で検出された、というものです。 その基準超過土量は・・・なんと約50万m3といわれています。

平成17年度に民間のゼネコン26社が外部搬出した汚染土量が約300万m3といわれていることからも、この量が多いことがわかります。 地下を掘削する建設工事の際にはどうしても場外に搬出しなければならない土壌が出てきますし、トンネル・地下鉄などの公共工事となるとその土量も非常に多くなります。そのため自然由来の基準超過土壌が確認されると、措置コストだけでなく、処理先の場所確保も大きな課題となります。

仙台市の事例では、基準超過原因は竜の口層と呼ばれる地層が原因となっており、この地層は微細な黄鉄鉱(フランボイド黄鉄鉱)を含有しており、カドミウム・ヒ素などが溶出する特性を持っています。

黄鉄鉱からのカドミウムの溶出の特性は非常におもしろいのですが、ここでは本論ではないので割愛します。ご興味がある方は、私も制作に関わったWebラーニングシステムプラザというサイトの「大地をめぐる環境問題」の6章「自然の土に含まれる重金属 」の酸性水を発生させる岩石、土壌を参照ください。

自然的原因による基準超過について

自然由来の基準超過土壌は本来その地層が存在している場所にある場合は大きな問題とはなりませんが、場外に搬出するなど、一度掘り出して外部に搬出する場合には、搬出先での人の健康や地下水への影響が懸念されるため、適切な対応が必要となります。

また、余談ですが改正前の土対法では、自然的原因は対象ではなかったのですが、2010年4月に改正された土対法では、自然的原因による基準超過土壌もその対象になってきます。 さて、仙台市さんは、上記の大量の基準超過土壌の発生という課題を、どのように解決されたのでしょうか?

第2回は、こちら

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執筆者プロフィール

保高 徹生 (やすたか てつお)

京都大学大学院農学研究科 博士前期過程修了、横浜国立大学大学院 博士後期過程修了、博士(環境学)。環境コンサルタント会社勤務、土壌汚染の調査・対策等のコンサルティング、研究を行う。平成19年度 東京都土壌汚染に係る総合支援対策検討委員会 委員。

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