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コラム

不適正処理への対応強化!不正転売事件による影響とは?|平成29年改正廃棄物処理法の3大テーマ解説第3弾!BUNさんの「元・行政担当者が語る 廃棄物管理のイロハ」

Some_rights_reserved_by_RiverProtection.jpg廃棄物処理法の「法律」については、既に6月9日に国会で改正法が成立しています。
環境省が公表している「法律改正の概要」では、「親子会社の特例」、「雑品スクラップ」の他に、もう一つ「不適正処理への対応強化」という項目を挙げています。今回はこれについて取り上げてみましょう。

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不正転売を行った会社の許可を取り消しできない?という事態が発生

皆さんの記憶にも新しいと思いますが、2016年、カツカレーの廃棄カツが横流しされ、一部が店頭に並んでしまうという事件が発生しました。残りの一部もその他の食品廃棄物とともに、保管場所で腐敗していたとのことです。不適正処理を行った会社は、最終的に業の許可を取り消されています。

しかし事件当初、カツ横流し事案を担当した自治体は、「改善命令を順守させるために、許可の取り消しを行うことはできない。」と主張していました。不適正処理を行った会社の許可が取り消されないというのは、一体どういうことなのでしょうか?

実は、この事件で改めて法律の不備、抜け落ちがあることがわかり、その点が今回の法改正につながっています。
指摘された法律の不備は、「許可取消になった後の業者」に対する法令の適用についてです。詳しく解説していきましょう。

一般的に法令には、広く全ての国民に対して適用される条項と、適用される人物が限定されている条項があります。例えば以下の通りです。

▼広く全ての国民に対して適用される条項の例

廃棄物処理法(投棄禁止) 第十六条

 何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない。

「何人も」と規定されていますので、全ての国民がこの条項の対象になります。

ところが、産業廃棄物の処理基準を定めた条文は、後者の「適用される人物が限定されている条項」に該当しています。

廃棄物処理法(事業者の処理) 第十二条  

事業者は、自らその産業廃棄物(中略)の運搬又は処分を行う場合には、政令で定める産業廃棄物の収集、運搬及び処分に関する基準(中略。以下「産業廃棄物処理基準」という。)に従わなければならない。

(産業廃棄物処理業) 第十四条 第12項  第一項の許可を受けた者(以下「産業廃棄物収集運搬業者」という。)又は第六項の許可を受けた者(以下「産業廃棄物処分業者」という。)は、産業廃棄物処理基準に従い、産業廃棄物の収集若しくは運搬又は処分を行わなければならない。

よく読むと、事業者(排出事業者)と許可を受けた者(許可を受けた収集運搬会社、処理会社)については、処理基準が適用される旨を規定しているのですが、これ以外の「者」については、規定していないことがわかります。
(なお、「大臣認定者」や「各種リサイクル法適用者」等で、許可を受けた者とみなし、基準が適用される人物はいます。)

それでは、「許可を取り消された人物」は、どうなるのでしょうか。実は、これらの人物は、「処理基準が適用にならない」代表的な例でした。「処理基準が適用される対象は、許可を受けた者である。したがって、許可を取り消された人物には、処理基準は適用されない」という理論展開です。

「処理基準が適用されない」と何が起こるか。カツ横流し事案を担当した自治体は、「処理基準が適用にならなければ、『処理基準を守りなさい』という改善命令の対象にもならない。改善命令を遵守させるためには、許可を取り消せない。」と主張していました。BUNさんとしては、そんな理論は本末転倒だろうと感じるのですが、裁判や巨額の損害賠償等の話になると、こうしたことまで厳密に考えなければならないのかもしれません。

適切に行政指導・行政処分が行えるように法改正を実施!

こうした背景を踏まえて、環境省は、行政処分等について制度を追加しています。その一つが、新たな条文である第19条の10です。(なお、この条文を追加したので、今までの第19条の10と11は、押し出されて新第19条の11、12となりました。余談ですが、こういう現象を「条ずれ」と専門家は呼ぶそうです。)

廃棄物処理法

(事業の廃止等についての措置命令の規定の準用) (新設)

 第十九条の十

(第1項省略)

2 第十九条の五の規定は、次の各号に掲げる者が産業廃棄物処理基準(中略)に適合しない産業廃棄物(中略)の保管を行つていると認められるときについて準用する。(後略)

この条項が適用される者として、以下が規定されています。

▼第19条の10の第2項の適用例

  • 許可取消を受けた者
  • 更新手続きをせずに許可期限が到来した者
  • 取り消しを受けた訳ではないが自主的に「廃業を届け出た者」
  • 元々許可を取っていなかった無許可業者

今回の問題に対応するための方法として、措置命令の対象者の拡大が行われたということです。さらに、この関連ですが、前回の法律改正(平成22年改正)で制度化された「ギブアップ通知(処理困難通知)(注1)」の対象者にも、上記の者を追加しています。

カツの横流し事案によって進む、マニフェスト制度の規制強化!

また、カツの横流し事案は、マニフェスト制度にも大きな影響を及ぼしています。

  1. マニフェストの虚偽報告に対する罰則の強化
    カツ横流し事案では、「虚偽のマニフェスト」が交付、回付、報告されていました。意図的に嘘をつくという行為は、社会的に見て非常に悪質です。しかし、マニフェスト制度自体、廃棄物処理法ではそれほど古い制度ではないことなどから、罰則については、最高刑で懲役6ヶ月、(50万円以下の罰金)という比較的軽いものが規定されていました。これを今回の改正で、最高刑で懲役1年、(100万円以下の罰金)と倍に引き上げています。

  2. 特別管理産業廃棄物多量排出事業者に電子マニフェストの義務付け
    電子マニフェストが不適正事案対応としても有効であるとの見地から、特別管理産業廃棄物多量排出事業者に電子マニフェストの義務付けも規定されました。
最後に

今回の内容はいかがでしたか?省政令の改正が今後実施されていきますので、今回紹介した法律改正事項については、省政令で詳細に規定されるかもしれません。引き続き、注意してみていきましょう。なお、「優良認定業者」や、「中間処理残渣物」の取り扱い等についても、今後数ヶ月以内に政省令の改正や運用の変更について、改めて提示されるものと思われます。

注1:「ギブアップ通知」とは、他者の産業廃棄物の処理を営んでいたが、経営不振、その他の事情により処理が滞り、大量の未処理産廃を保管した状態でストップしてしまう。その状態に陥ったときは、未処理の産業廃棄物の排出事業者に対して、通知をしなければならない。このギブアップ通知を受け取った排出事業者は、「適切な措置」を講じなければならない。という制度。

執筆者プロフィール

長岡 文明 (ながおか ふみあき)
アミタ株式会社
特別顧問

山形県にて廃棄物処理法、廃棄物行政、処理業者への指導に長年携わり、行政内での研修講師も務める。2009年3月末で山形県を早期退職し、廃棄物処理法の啓蒙活動を行う。廃棄物行政の世界ではBUNさんの愛称で親しまれ、著書多数。元・文化環境部循環型社会推進課課長補佐(廃棄物対策担当)。

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