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廃棄物管理の実務者ですが、廃棄物処理法の条文を読むポイントを教えてください。

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ポイントは、条文中に定義がされている項目に注意することと、条文を単純化して読むことです。 今回はいくつかの具体例を元に説明します。

条文中に定義がされている項目に注意

例えば、最終処分とリサイクル(=再生)の関係(法第12条第5項)や産業廃棄物処理基準(法第12条第1項)、産業廃棄物処理施設(法第15条第1項)等は、条文中に定義が記載されています。 最終処分については、一般的には最終処分=埋め立て、すなわちリサイクルとは別物と考えられることが多いのですが、法第12条第5項で「最終処分(埋め立て処分、海洋投入処分又は再生をいう。」と条文中でさらりと規定されています。

排出事業者は廃棄物が最終処分されるまで責任を負うとされている等、文言の定義は重要です。社内のベテランでも定義の解説があいまいな場合は、条文の確認や専門家へ相談することをおすすめします。

条文を単純化して読む

廃棄物処理法は制定から約40年経過しているため、短かった条文にも枝葉の規定が埋め込まれたり、誤解のない表現にするために表現がくどくなったりしている等、読みにくい条文が多くあります。

そのため、読むときはできるだけ単純化するとよいでしょう。例えば、条文中に多くの括弧書きがある場合は、カッコを飛ばして読んでみてください。カッコ内を蛍光ペン等で塗りつぶすとよいでしょう。思いのほか単純な条文であることがわかり、驚かれるかもしれません。

条文の引用先が複数のページにまたがっている場合は、関係する条文をコピーして並べてみるのもよいでしょう。それぞれの条文のつながりがわかるように、フロー図にしたり、引用した条文が長い場合は要約を付記すると分かりやすくなります。

法律の骨組みを頭に入れ、条文・規定がどこに位置づけられているかを意識すると全体を理解する助けになりますので、排出事業者の視点から廃棄物処理法の骨組みを整理しておきましょう。

廃棄物処理法の骨組み

まず、産業廃棄物/一般廃棄物の区分をして(第2条)、産業廃棄物の場合は基準に沿って保管することになります(法第12条第2項)。それぞれの区分ごとに許可業者(法第7条、第14条)に委託(法第6条の2第6項、第12条第5項)し、産業廃棄物は契約書(法第12条第6項)とマニフェスト(法第12条の3)を運用します。特別管理産業廃棄物も別途同様の規定(法第12条の2等)があります。不適正処理があると措置命令を受けることもあります(法第19条の5)。

これに派生して細かい規定ができていると考えれば、頭の整理がしやすくなるでしょう。また、どれが重要な規定であるかは、罰則の重みから探すこともできます。罰則等は法第25条~34条にあり、罰の重さごとに違反行為がまとまっていますので、ご参照ください。

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執筆者プロフィール(執筆時点)
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堀口 昌澄 (ほりぐち まさずみ)
アミタ株式会社 環境戦略支援グループ 東日本チーム
主席コンサルタント(行政書士)

産業廃棄物のリサイクル提案営業などを経て、現在は廃棄物リスク診断・廃棄物マネジメントシステム構築支援、廃棄物関連のコンサルタント、研修講師として活躍中。セミナーは年間70回以上実施し、参加者は延べ2万人を超える。 環境専門誌「日経エコロジー」に2007年6月から2014年6月までの7年間記事を連載。環境新聞その他記事を多数執筆。個人ブログ・メルマガ「議論de廃棄物」も好評を博している。2014年より現職。日本能率協会登録講師。

<著書>
 「改訂版 かゆいところに手が届く 廃棄物処理法 虎の巻」 日経BP社
 「廃棄物処理法のあるべき姿を考える」 環境新聞社

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