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保管場所に設置する囲いは、ロープを張ったようなものでもよいのでしょうか。

保管場所に設置する囲いについては、明確な定義はありません。保管する廃棄物の性状、荷姿を考慮し、飛散、流出を防げるような囲いを設置してください。

(Some Rights Reserved By tablexxnx)
産業廃棄物の保管基準

産業廃棄物を保管する場合には

  1. 囲いの設置
  2. 掲示板の設置
  3. 飛散、流出、地下浸透、悪臭発散の予防措置
  4. 汚水が発生する場合は排水溝や舗装等の設置
  5. 害虫の発生予防措置
  6. 屋外で容器を用いずに保管する場合は保管高さの制限

等を守らなくてはなりません。これを保管基準といいます。

保管基準の中でも「1.囲いの設置」について質問を受けることがあります。例えば、「囲いは屋内で保管する場合でも必要なのか」、「着脱式コンテナを使う場合でも囲いは必要なのか」という質問です。

保管基準は廃棄物を保管する場所の全てに適用される基準ですので、上記4のように「~する場合」のような条件が設けられていない限り順守しなくてはなりません。したがって、屋内保管でも着脱式コンテナを使う場合でも、囲いと掲示板は必要になります。

囲いとは

では、囲いとはどのようなものを指すのでしょうか。廃棄物処理法では囲いについての明確な定義はありませんので、囲いを設ける目的から考えてみましょう。

まず、囲いを設置することで「保管場所の範囲を明確にする」という目的があると思われます。さらに、通知(※1)では『廃棄物の荷重が直接囲いにかかる構造である場合には、構造体力上安全であり、変形及び損壊のおそれがないものであること(一部改変)』とされていることからも、廃棄物の性状や荷姿によっては「飛散、流出防止」の目的もあることが分かります。

この2つの目的に基づいて考えると、廃棄物が容器に入っていて飛散、流出する恐れがない場合は、網やロープを張るなどの簡単な囲いで差し支えないといえます。

水分の多い汚泥や、粒度の細かい廃棄物などは、廃棄物の飛散、流出を防ぐためにコンクリート等の囲いとするべきでしょう。また、着脱式コンテナの場合はコンテナの内壁が2つの目的を満たしているとの考え方もできますが、その場合でもコンテナの設置場所を指定するために白線を引くとなおよいでしょう。ただし、廃棄物が白線の上に乗ってしまうとどこが保管場所かわからなくなってしまいますので、このような場合はやはりロープ等を張るべきでしょう。

一方プレハブなどの小さな建物に廃棄物だけを保管している場合、建物の壁そのものが囲いの目的を満たしますので、あえて別途囲いを設けることはないでしょう。ただ、種類が違う廃棄物を保管する場合は、建物内部に仕切りをすべきだと思います。

さて、法律では「周囲に囲いが設けられ」とされていますが、囲いは四方になければいけないのでしょうか。特に保管場所に廃棄物を搬入する開口部にも囲いは必要なのでしょうか。保管場所の範囲を明確にするだけであれば、開口部を形成する囲いの両端を結べばよいでしょう。問題は、飛散、流出の恐れがある場合です。理想的には保管場所を掘り下げたり、搬入の障害とならない程度の高さの囲いを設けることが望まれます。汚水の流出だけを防ぐのであれば、排水溝を設けることでも対処できるでしょう。

保管基準を考える上でもう一つ大きな疑問があります。保管場所の定義です。囲いや掲示板の設置をしようとすると、どこまでが単なる「ゴミ箱」で、どこからが廃棄物保管場所なのかに悩むことになります。法第12条第2項では「産業廃棄物が運搬されるまでの間、産業廃棄物保管基準に従い、生活環境の保全上支障のないように保管しなければならない(一部改変)」とされています。これをもって、少なくとも収集運搬業者が引取りに来る場所は保管場所として管理されているケースがあります。ところが広い工場の場合は、いくつかの場所に一時保管してから1箇所に集約して収集運搬業者に引き渡していることがあります。この一時保管場所についても、その規模や保管期間を考慮すると廃棄物の保管場所といわざるを得ないことがあります。他にも建屋の中か外かという基準で判断していることもあります。

しかし、そもそも廃棄物の保管基準の目的は、上述の法第12条第2項にあるとおり「生活環境の保全上支障のないように」することです。保管方法の意思統一をするためにも、日常的にコミュニケーションをとることが難しい方が複数利用するのであれば、屋内であっても保管基準の適用対象とすべきだと思います。

※なお、以上の内容は筆者の個人的見解であり、個別の事例についての解釈を述べたものではありませんので、ご注意ください。
※1.廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の一部改正について 平成10年5月7日 衛環37

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執筆者プロフィール(執筆時点)
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堀口 昌澄 (ほりぐち まさずみ)
アミタ株式会社 環境戦略支援グループ
東日本チーム 主席コンサルタント(行政書士)



産業廃棄物のリサイクル提案営業などを経て、現在は廃棄物リスク診断・廃棄物マネジメントシステム構築支援、廃棄物関連のコンサルタント、研修講師として活躍中。セミナーは年間70回以上実施し、参加者は延べ2万人を超える。 環境専門誌「日経エコロジー」に2007年6月から2014年6月までの7年間記事を連載。環境新聞その他記事を多数執筆。個人ブログ・メルマガ「議論de廃棄物」も好評を博している。2014年より現職。日本能率協会登録講師。

<著書>
 「改訂版 かゆいところに手が届く 廃棄物処理法 虎の巻」 日経BP社
 「廃棄物処理法のあるべき姿を考える」 環境新聞社

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