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株式会社イトーキ Ecoソリューション企画推進部 平野様, 小島様, 田渕様 / 販促プロモーション企画推進部 久原様 国産木材の活用でCSVを実践 -新たな木材ビジネスが成功した理由と苦労-

東京駅から徒歩10分の場所に、木材を活用した斬新なオフィス空間がある。イトーキ東京イノベーションセンターSYNQA(シンカ)だ。株式会社イトーキ(以下イトーキ)は、2010年から国産木材を活用する事業を本格的に開始。2011年にFSC® COC認証を取得し、2012年にSYNQA(シンカ)を構築する際、1階の空間でFSCプロジェクト認証を取得した。

(左から田渕氏、小島氏、平野氏、久原氏)

国産材はもちろん、FSC認証材などの適切に管理された木材の積極的な活用等により、イトーキの木材に関連した事業は売上を前年比110~120%以上伸ばしている。 今回は、新しい価値を生み出すため妥協のないチャレンジを続けているイトーキの裏側についてうかがった。

-SYNQA(シンカ)とは?-

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久原氏: SYNQA(シンカ)は2012年に完成した施設で、お客様とオープンイノベーションを実践していくために作りました。構造としては、カジュアルな空間になっている1階で広く外部にある知識・知見を取り入れ、そこで出合った様々な化学変化をフォーマルな空間に仕上げた2階でプロジェクトとして醸成し、発想と機能のバランスを重視した3階でマーケットに出すための内部的なコミュニケーションを図る、というスパイラルアップの構造になっています。 そして、すべての階で、イトーキの企業コンセプトである新Ud&Eco style(ユーデコスタイル)というUd(ユニバーサルデザイン)とEco(エコデザイン)を融合した仕掛けがちりばめられています。
施設全体のカーボンオフセット、電力の自動測定・見える化の仕組み、そして1階のFSCプロジェクト認証も仕掛けの一つです。

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-本業を活かしたCSRが実践されていますね。-

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平野氏: 我々はスチール家具メーカーですが、2000年から約10年間、お客様に間伐材を使った家具を提案するという助走期間を経て、2009年に国産材を活用した「Econifa(エコニファ)事業※」がエコ事業の一つの目玉として社内承認を得て事業化の取り組みを始めました。
※Econifaとは「Ecology(エコロジー)」と「Conifer(針葉林)」から成る造語。日本の森林の多くを占めるスギ・ヒノキ等の針葉樹を製品として活用するソリューション事業

今でこそEconifa(エコニファ)事業の売上は順調に伸び、会社としても国産材の活用を大きな事業に据えていますが、そこに至るには、売上の減少による営業戦略の見直し、国の施策の後押し等がありました。そして、このCSRの分野に価値を感じる社員のドライブがあり、今の状況になっています。

例えば、2008年にリーマンショックがあり、イトーキもその時に売上が25%ダウンしました。主要なお客様は民間企業が多く、リーマンショック以降、需要が停滞したためです。ですので、これからは自治体や病院、学校、地域金融といった先もお客様として大切になってくると考えました。

そこで出てきたのが、Econifa(エコニファ)事業です。病院や学校等の施設では、ぬくもりのある木質化というのは、非常に大きなテーマです。しかし、当時、国産材を活用して、デザイン性のある施設を作る技術をもった企業は、日本にはそこまで多くない中で、イトーキはその一社になりたいという想いで事業を展開してきました。

実際、Econifa(エコニファ)事業は、2011年、12年、13年と順調にビジネスとして成長していまして、売上も前年比で110~120%程度の伸びで推移しています。地域貢献の面だけでなく、売上面からも成功していると言えると思います。

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小島氏: 他社と競争をしないための取り組みを行ってきた自負もあります。最初はEconifa(エコニファ)事業も国産材を"使う"という視点で製品を作り、売っていました。しかし、そのような企業はおそらく他にも出てくると思っています。そうなると競争が始まってきますよね。

競争をしないために、次にポイントとなるFSC認証や木材のトレーサビリティをはじめました。産地まで赴き、林業家の方々の顔まで思い浮かべることができるようにしたのです。 そして、木材を"使う"という視点から、木材を"活用する"という視点に変え、新たなデザインや、商品を生み出すというステップに徐々に向かっています。

-FSC COC認証やFSCプロジェクト認証を取得する際、どのような点に苦労されましたか?-

田渕氏: まず「FSCとは」「COCとは」等、自分の勉強はもちろん、社員や協力工場の教育に苦労しました。特にプロジェクト認証の場合は、COC認証を取られていない協力工場とも一緒に作っていくという工程が多く、伐採証明を取ったり、色々な記録を保管していく作業が多かった印象です。

小島氏: イトーキでは日々新しい計画が生まれます。デザインの作成も進みますし、その中で必要な素材の選定も進むわけです。デザイナーは「このような雰囲気にしたい」というイメージがあります。我々が一つの事業の目玉としてプロジェクト認証を取ろうしている時に、FSCプロジェクト認証をとるからといって、デザイナーのイメージに相反するものを提供してしまっては、木材を"使う"という段階に戻ってしまいます。

新たな商品を生み出すためには、デザイナーのイメージをFSC認証材を使って形にすることが大切です。ただ、はじめは安易に考えていたのですが、実際に動いてみると大変でしたね。 例えば、木を組み立てる時に木ダボという小さい部品が必要なのですが、当時、FSC認証材を使った木ダボがないということで、かなり焦りました。素材を求めて、岩手まで飛びましたからね。社内では「ダボ事件」と呼んでいます(笑)

-FSCプロジェクト認証を取得するにあたって、分からないことはどのように解決していましたか?-

小島氏:実際の業務で何が起きていたかというと、私が担当のデザイナーにデザインのイメージを聞いて、材料を考え、田渕に「部材のFSC認証は問題ないのか」と聞くわけです。

Ms_tabuchi.jpg田渕氏: まずホームページを見て調べるのですが、FSC認証の規格にあっている部材かどうか、判断することはほとんどできませんでした。そうなると、「じゃあAIEC(株式会社アミタ環境認証研究所)に聞いてみよう」と、都度電話で質問をしていました。

仕入先が変わった時など、すぐに回答を求める時もありましたが、認証規格について毎回丁寧に説明してくださいました。規格の文章等、FSC認証に関する文章の原文は英語のため、わからない部分がたくさんありましたので、非常に助かりました。

-FSC認証の認知度についてはどのように感じますか?-

小島氏: 正直、まだ認知度は決して高いわけではないと思います。しかし、企業がFSC認証にチャレンジすることが世間全体の認知度を上げることにつながると思います。 例えば、FSCプロジェクト認証を取得する時に、COC認証を取得していない企業へ「FSC認証とは」という説明しなければいけません。管理する方は大変でしたが、都度説明をして、メリットも伝えることで、認知度は少なからず上がっていっていると思いますよ。

平野氏: FSC COC認証を取得すると社員教育をしなければなりません。例えば、イトーキの場合、Web教育を行っているのですが、700人ぐらいが対象になっています。社内の営業・物流・仕入れ部門などが毎年FSC認証に関する教育をやるので、社員を通じて外部の人が認証のことを知ってくれることもあると思います。

田渕氏: 作る側のCOC認証取得企業が増えてくると、やっぱりできることもどんどん広がっていきます。今回プロジェクト認証の中でも、造作家具の部材等、「FSC認証材で作られたものは、なかなか見つからない」というものも結構ありましたが、FSC COC認証を取得している企業が増えてくると、今ではFSC製品として製造することが難しいものも将来はどんどんできるようになってくると思います。

-SYNQA(シンカ)1階のFSCプロジェクト認証に対する社内外の反応はいかがですか?-

小島氏:FSC FM認証林をもっている自治体の職員の方や、自治体から仕事を請ける設計事務所等の方々は、非常に興味深く話を聞いてきます。(FSCの要求事項ではありませんが)ものすごいピンポイントで「どうやって不燃認定とったのですか」という質問もあります(笑)。そういう声を聞くと、都内にSYNQA(シンカ)を作ったというのは、プロジェクト認証を広める第一歩かなと思います。RC造(鉄筋コンクリート構造)のテナントでFSCプロジェクト認証が形になっているので、可能性は広がりますよね。「これだったらうちもやれるんじゃないか。」そう思ってもらえると嬉しいです。SYNQA1F_2.JPG

-これからFSC COC認証、FSCプロジェクト認証の取得を考えている方々に一言お願いします。-

平野氏: COC認証を取得すると、FSC認証材という付加価値のついた製品を流通・販売する権利がもらえます。ですので、今後は当然、流通サイドとして認証を取得する企業が増えてくると思います。 そして、他社も含めて我々のような業界が、様々なテンプレートやデザインで木材の出口もつくり、認証製品や認証機会を増やしていくと、世の中に大きなインパクトを与えられると思っています。 FSC認証制度が広がってくれば、森林管理をされている方々も価値を感じていただけるので、さらにいいスパイラルアップができるのではないかなと考えています。

小島氏: 日本の管理能力があればFSC FM認証林はもっともっと増やせるはずだと思っています。そして、製材所から我々販売のところまで、日本の流通業界のレベルを考えると、間違いなくFSC COC認証は取得できると思います。 ですので、FSC認証という国際的な認証を取る動きが活発になって、全体的に技術のボトムアップが行われ、新しい商品を生み出すチャレンジもどんどん活発になればいいと思っています。

田渕氏: FSC認証材は国内ではまだ特別なものですが、究極の理想は、適切に管理した木材しか流通していない状態になることだと思います。ただ、今はそのような木材の流通は限定的で、実際にFSC認証材でどのような製品が作れるのかわからない人も多い、という現状ですよね。 そのような中、今のイトーキが考えるものが、SYNQA(シンカ)として形になったので、この施設を活用していただきたいです。

実際に足を運んでいただき、「FSC認証材でデザインや機能性などどこまでのものができるのか」を感じていただきたいです。そして、次の展開につなげてもらう時に、イトーキと一緒にやらせてもらえれば、こんなに嬉しいことはありません。

久原氏:常識のちょっと外側にいろんなヒントがあると感じています。SYNQA(シンカ)もこれだけ大きなRC構造の中でこれだけ多くの木を使えるはずがないということや、そもそもオフィスってこんな形であっていいはずがないという先入観がありました。 しかし、これだけ多くの木を使っても実際にしっかりと機能する施設が出来上がり、ビジネスとして成り立っている。

常識のちょっと外側に我々のビジネスを考えるヒントがあって、少し枠を広げることで色々な可能性が見えてくる。イトーキとしてはSYNQA(シンカ)全体で、環境や木材、働き方等、お客様に何か新しい考えのヒントを提供できるのではないかと考えています。もし、そのようなことを検討される際はぜひ、我々をパートナーに選んでいただきたいですね。

話し手

株式会社イトーキ
平野 啓一郎 氏 Ecoソリューション企画推進部 部長 
小島 勇   氏 Ecoソリューション企画推進部 Econifa開発推進室 
田渕 陽子  氏 Ecoソリューション企画推進部 Econifa開発推進室
久原 信   氏 販促プロモーション企画推進部 部長 

明治23年創業。オフィス関連事業、設備機器関連事業等を展開。1999年から「すべての人が持続的に快適に暮らせる共創社会の実現をめざす」Ud&Eco style(ユーデコスタイル)を企業メッセージとして新たに掲げ、地球環境や人に良いことを考えた、製品・サービス・空間づくりを提供している。更に2009年からは「新Ud&Eco style」としてアクティブな取り組みを行っている。

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