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インタビュー

速水林業 代表 速水 亨 氏責任ある森林管理を目指し、より強固で集団化するために「FSC認証」は有効なツール

三重県で林業を営む速水林業は、江戸時代からという古い歴史を誇っています。森林管理に科学的な視点と積極的な変化を求め続け、厳しい経営の中でも適切な管理を継続して行ってきました。代表者である速水亨氏は環境省の中央環境審議会の委員なども行っています。

国際的な視点で自らの森林を評価したい
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「FSC FM認証」を取得したきっかけは、1997年に日本からISO14000シリーズを森林に適応するためのワーキンググループの一員としてISOの会議に参加したことです。その場で世界各国の有力な林業、林産業者が第三者認証を積極的に取得したいと考えていることに気づきました。それは当時の日本ではまったく考えられなかったことでした。その会議の中で「FSC FM認証」の存在を知り、その重要性を再認識しました。 その後、審査員の育成や知識の普及など、WWFジャパンに協力してもらいながら、1999年に審査を受け、2000年2月に認証を得ることができました。国際的な視点で自らの森林を評価してみたいという思いもありましたし、何よりも現在の厳しい林業経営をどうにかしたいとも考えていました。「FSC FM認証」を取得すれば、行政主導の森林管理から脱皮する突破口となるのではないかという期待もありました。もちろん、中でも認証木材としての差別化がもっとも大きな期待でしたね。

森林管理に対する海外の基準が普遍的なものであることに驚きました
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「FSC認証」を取得する時点では、原則と基準は分かっていたのですが、純粋な人工林の認証例がほとんどなく、細かい審査基準が入手できませんでした。審査直前に入手したものはブラジルの人工林審査基準でしたので、戸惑ったことを覚えています。

しかし、それを精査すると日本の人工林管理に当てはまることが多く、海外の基準が普遍的なものになっていることに驚きました。また従来の日本の森林管理というのは、世界の中でも特殊性が強いと国内では言われてきました。しかし、調べてみるとそんなことはない。地形の問題など、わずかな変更だけでブラジルの審査基準をそのまま当てはめることができたのです。

審査当日までは資料作りを行いました。何よりも困ったことは、入手した情報がすべて英語だったこと、審査を受けるための書類をすべて英語で作らなければならなかったことですね。審査の前の数日は睡眠時間をほとんど取れず、審査当日は具合が悪くなり、雨の中、クルマで山の中を案内しながらドアの陰で嘔吐するほどでした。それ以外は特に大きな問題もなく、スムーズに審査に進めました。

より集団化した森林管理が必要。「FSC認証」を利用した仕組みづくりを
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国内だけで見ていた森林管理を国際的な視点で見られるようになったことは嬉しいですね。地域の取引のある製材業者や木工業者が積極的にFSC COC認証を取得してくれたこともあり、共同体意識が醸成され、今でもFSCを核にしたグループとして住宅用の木材を販売しています。現在は、国内の木材価格が低下し続けている状況で、経営的には決していい状況ではありません。その中で、認証による価格プレミアム感を感じることはありません。それでも、家具など消費者に近い商品と関わりを持つことができるなど「FSC認証」のプレミアはあります。便利なツールとして、考えながら使えば大きな力になります。

日本の木材流通の中で、消費者はいかに安い木材を入手するかに視点が置かれています。しかし、今後はどの森林からの木材か、違法伐採ではないか、といった視点が必ず必要になってきます。「FSC認証」は、ずっと民間主導で動いてきた認証制度です。そこに価値があると私たちは考えています。家を建てたい方やトレーサビリティが確立した木材が必要な方にとって「FSC認証」はひとつの判断基準になります。ぜひ、もっと興味を持っていただきたいですね。

今後の森林管理は、より集団化していく必要があります。その時に信用があり、実力をもった管理組織が必要になってくると思われます。森林組合だけでなく、別の民間の管理組織の活動の機会も増えるので、その時にツールとしてFSC認証は大変便利な仕組みだと思っています。速水林業も今後そのようにして利用していきたいと思います。

話し手プロフィール
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速水 亨 氏
速水林業 代表 

江戸時代の1790年頃から三重県にて林業を始める。
次第に林地を集積し、現在は1070haの森林を管理している。速水林業で生産される木材は、50年、70年、あるいは100年でも間伐を続け、皆伐は80年~100年で伐採しているため優良な製品が製材できるとして高い評価を受けている。

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