産業廃棄物のマニフェスト伝票には、紙媒体のもの(紙マニフェスト)とネットワーク上でやり取りができる電子媒体のもの(電子マニフェスト)があります。電子マニフェストには、廃棄物管理データの透明性確保や事務処理の効率化といったメリットが挙げられますが、2020年6月時点でその普及率は6割となっています。
今回は「電子マニフェストの普及が6割にとどまっている理由」について考察します。
電子マニフェストの普及率
公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター(以下、JWセンター)の算出によると、2021年4⽉時点でマニフェストの電⼦化率は66%です(枚数ベース)。年々、増加傾向にありますが、まだ紙マニフェストを利用している事業所も一定数存在すると考えられます。

電子マニフェストの普及を妨げる要因
一般的に、電子マニフェストの導入には大きく2つの壁があると考えられています。
| 1. 排出、収集、処分の3者による電子マニフェストの利用が必須であること 2. 電子マニフェストシステムの利用料金が必要であること |
まず、電子マニフェストを利用するためには、排出事業者、収集運搬業者、処分業者の3者によるJWNETへの加入が必須です。すなわち、3者のうち1者でも、JWNETに加入していない場合には、利用可能条件を満たしていないことになります。
また、JWNETへ加入するにあたり、システムの利用料金という新たなコストが発生します。JWNETでは、マニフェストの年間登録件数に応じて、3つの料金プランが用意されていますが、交付枚数が極端に少ない排出事業者、収集運搬業者、処分業者にとって、利用料金の負担は、電子マニフェストの導入を躊躇する原因の一つといえるでしょう。
しかし、上記以外の理由を抱えるケースもあります。2018年にJWセンター主催で行われた、排出事業者・処理業者・ASP事業者による対話会では、以下のような意見も挙がっています。
▼電子マニフェストが普及しない理由、もしくは普及が難しかった理由
| ・担当者全員に入力作業を周知徹底することが難しいから。 ・パソコン作業・操作に対して抵抗があるから。 ・電子マニフェストに関する理解不足・現状を変えることが面倒という意識があるから。 ・電子と紙を並行して管理することが負担だから。 ・(建設業などでは、)マニフェストを発行する単位である排出事業場が固定していないから。 |
出典:JWセンターの発行資料よりアミタ(株)が作成
利用開始が難しい理由として、利用方法の周知に手間がかかるなど、初期段階の準備を挙げられる場合もあるようです。
| アミタでは、建設業など、排出事業場が固定されていない企業のマニフェスト管理も 支援しています。ご相談はこちら(無料) |
電子マニフェストは利用すべき?メリット・デメリットをしっかりと比較
紙マニフェスト、電子マニフェストの双方にメリット・デメリットがあり、各社によって、どちらを選択すべきか状況は異なります。
そのため、重要なことは、電子マニフェストを導入することで削減される作業と、導入しない場合の手間を、自社の状況にあわせて、長期的な視点から比較することです。
▼電子マニフェスト導入に関する主な作業の例
| 削減される作業 | マニフェスト発行業務の工数削減紙マニフェストの5年間の保存・管理が不要マニフェスト交付等状況報告書の作成が不要 |
| 新たに増える作業 | JWNETへの加入手続き(必要に応じて)機器の購入手続き入力方法などの社内への周知徹底・教育 |
出典:アミタ(株)作成
また、すでに自社が電子マニフェストを利用している場合は「委託先である処理業者が電子マニフェストを導入しているかどうか」も確認すべきポイントです。例えば、新規の処理委託先を検討する際に、処理費用が安い会社を選んだとします。ただし、その処理業者が紙マニフェストを利用していた場合、自社内のコスト削減効果はどうなるでしょうか。一部の企業では、その会社と取引をするために、紙マニフェストの運用を行うことで、紙マニフェストの運用にかかる人件費が、削減したはずの処理費用を上回ってしまうというケースもあります。

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執筆者情報
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おしあみへんしゅうぶ
おしアミ編集部
アミタ株式会社
おしえて!アミタさんの編集・運営担当チーム。最新の法改正ニュース、時事解説、用語解説などを執筆・編集している。
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