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「CSR」×「投資」~CSRレポートは、誰が読んでいる?リレーコラム

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貴社のCSRレポートは、誰が読んでいますか? 誰に向けて、コミュニケーションをしていますか?

まんべんなく全部のページを読んでいる人は、決して多くないはずです。 だとしたら、この内容を誰に向けてアピールするのか、このデータは最低限、誰に合わせて見やすくするのかといった、「読み手本位」の工夫が必要ではないでしょうか。

コミュニケーションしたい相手を深く理解し、そのインサイトに対して全てのデザインを考える。 CSRレポートにおいても、誰をコアユーザーとして情報を組み立てるのかといった、「伝わりやすさ」を工夫することが重要です。

強化すべきは投資家の視点?

昨今、CO2排出制限などの環境への関心の高まりだけでなく、企業経営にもESG(環境Environment、社会Social、企業統治Governance 通称:トリプルボトムライン)といった領域への配慮が求められています。これを受けて、海外の投資家などを中心に、よりサステナブルな企業を評価する傾向が強まっています。

今年の一月、環境省と日本公認会計士協会主催の「低炭素化社会と金融・情報開示」というシンポジウムが開催され、国際的な機関投資家のESGや非財務情報への関心とその動向について、興味深い発言が相次ぎました。

例えば、

  • 投資家を主体としたステークホルダーを中心に、ESGの役割が強まっていく
  • PRI(責任投資原則)加盟国が増加の一途であり、機関投資家が持続可能社会を支持することが競争優位につながる
  • FTSE全世界指数※では、低炭素社会に寄与している日本企業が全体の18%を占めているにも関わらず、日本の機関投資家の意識が低い

※FTSE・・・イギリスのインデックス構築・管理企業であるFTSE社が提供する、世界の株式市場の投資家向けのグローバルベンチマーク指数。

といった意見からも、欧州の機関投資家によるサステナブル企業への投資意欲の高さをうかがい知ることができます。 さらに、

  • 財務データに非財務データを加えたインテグレイテッドレポートに、さらにESG視点を加えたコネクテッドレポートを、企業戦略と結びつけて発信する必要性

についても強いメッセージがありました。

また、日本の投資ファンドの方からも、

  • 投資家が読みやすいようにCSRレポートのページ数を少なく、もっと分かりやすくしてほしい

といった意見が挙がっていました。CSR的な視点での情報開示が、欧州を中心に強く求められているようです。

CSR情報の比較検討ニーズが高まっている

一方で、ブルームバーグ社が昨年から開始したESGデータサービスが反響を呼んでいます。 ESGデータサービスとは、全世界での調査企業約2万社の公開報告書(アニュアルレポート、CSRレポート、CDPおよび自社によるデータ化された環境、社会、ガバナンス)のデータをスクリーニングすることができるというもので、機関投資家を中心に導入が進んでいます。

このサービスを利用することにより、例えば、

  • E「温室効果ガス1単位当たり売上高」
  • S「女性管理職比率・障害者雇用比率」
  • G「CEO・会長兼務状況」

などを、企業順位別に絞り込むことができるのです。

「CSRの定性的な情報まで、数値化して比較検討したい」といったニーズが顕著になってきた今、CSRレポートの作り手は私たちのようなサポート企業も含めて、こういった投資家の志向性をもっと詳細まで把握し、より良い企業アピールにつながるコミュニケーションを考えていく必要があるのではないでしょうか。

各詳細は以下をご参照ください。

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執筆者プロフィール

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大原 樹雄 氏
株式会社大伸社 TK営業部 プロデューサー

ユーザー視点の「エクスペリエンスデザイン」でマーケティングコミュニケーションのROI向上を支援している株式会社大伸社で、大手企業のCSRレポートの制作などを担当。

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