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産業廃棄物における行政指導の仕組みと流れ|元行政マンが語る、廃棄物管理における行政指導、行政処分、刑事処分の違いとは?(前編)

時々「その条例や法律を守らない時はどうなるのですか?」という質問を受けることがあります。このような質問をなされる方は「なんとかして法律の網をくぐり抜けて悪いことをしてやろう」と思っている人ではなく「万一、自分が知らないところで法令違反をしたらどうしたらいいだろう」という不安のために質問する時が多いようです。

そんなこともありまして、今回はルールを守らない時、守れない時を中心としたお役所の対応である行政指導、行政処分、刑事処分について前後編に分けて解説しようと思います。前編では、行政指導の流れと仕組みを理解しましょう。

廃棄物に係る行政指導とは?

行政指導は一般に、

行政処分の指針 第1 総論 2 行政指導についてより
迅速かつ柔軟な対応が可能という意味で効果的あるが、相手方の任意の協力を前提とするものであり、相手方がこれに従わないことをもって法的効果を生ずることはなく、行政処分の要件ではない。

とされています。記述されている通り、行政指導というのは強制力がございません。

「いくらお役所に言われても、わたしは従わないよ」という態度を取られても、それまでの話なのです。「強制連行をして刑事罰を与える」なんてことはできないのです。「じゃ、従わない方が得じゃないか」となってしまいますね。

そうではないのです。

行政指導に従わない時は、いつまでも行政指導を繰り返すのではなく、次のステップ、すなわち、行政処分に速やかに移行します。行政処分は後で詳しく説明しますが、改善命令、措置命令、事業停止命令や許可取消といったもので、これは強制力が伴います。まずは行政指導を詳しく見ていきましょう。

廃棄物に係る行政指導には2つのパターンがある

これはBUNさんの私的な考えではあるのですが、行政指導は大きく2つに分けられると考えています。

1.~ねばならない 法的根拠型法的根拠を伴うもので

  • やらなければいけないこと
  • やってはいけないこと

つまり「~ねばならない」ことを指導するタイプです。

例えば保管場所から多少廃棄物がはみ出していたり、掲示板の記載事項が消えかかっていたりすれば、これは廃棄物処理法違反に間違いありません。

しかし法令違反だからといって、すぐに行政処分、刑事告発をすると言うわけではなく指導後にすぐに是正してくれるならば

  • 「廃棄物は保管場所に適切に保管していてくださいね」
  • 「掲示板が消えて見えなくなっていますよ」

と指導をします。このタイプは本来法令に根拠を置いていますから、前述の通り、もし指導に従わない場合は行政処分へと発展していきます。

2.~の方が良い 提案型

もう一つのタイプは、法的な根拠はないのですが

  • ~をやった方がいい
  • ~をやらない方がいい

つまり「~の方が良い」と提案するタイプです。

これもお役所がやることですから、広い意味では法的根拠に基づいて実施しているのですが、具体的な「第○条第○項第○号の規定に基づき」ということではありません。「法律の目的達成のため」、廃棄物処理法に関して言えば「公衆衛生、生活環境保全の確保のため」といったものです。

この例としてしばしば見られるのは、県外産業廃棄物搬入の事前協議とか処理施設設置にあたっての付近住民の同意の取得等が該当します。この県外産業廃棄物搬入や処理施設設置は、地元住民とのトラブルに繋がりやすいため、行政や地方自治体は大変苦労しています。

ですが、法令では産業廃棄物に関して「都道府県のエリア内で処理しなければならない」といった規定はありません。だからこそ行政指導、すなわちお願いという形になります。相手の協力、承諾のもとに行うとなる訳です。ただ、このタイプの行政指導も、なんの根拠もなく行ったのでは、公平性が保てません。多くの場合は「○○県産業廃棄物行政指導要領」や「○○県廃棄物処理計画」といった形で、そのルールを公開している場合が多いようです。

▼ 関連リンク

山形県産業廃棄物指導要綱

第2次 山形県循環型社会形成推進計画(PDF) 

このタイプの行政指導は、法的根拠型の行政指導とは異なり「第○条第○項第○号の規定に基づき」といった根拠はありませんから、次のステップである行政処分には繋がりません。あくまでお願いなので、指導を実施せずとも逮捕や罰金もありません。

ただこれは個人個人の関係でも言えることですが、お願いを聞いてもらえなければ、皆様はどう感じますか?「あいつは俺のお願いを無視した」となり、印象は悪くなりますね。行政にとっても同じ事で、法的根拠はないものの、良かれと思ってお願いしているのですから、それを無視して聞かないって相手に対しての印象は悪くなるでしょう。

まとめると

  • ~ねばならない 法的根拠型の行政指導は、法に基づき対応しているので行政処分に繋がり、従わない場合は罰則や罰金に繋がる。
  • ~の方が良い 提案型の行政指導は、法に基づいていないが廃棄物処理法の本来の目的である「公衆衛生、生活環境保全の確保のため」を考えて指導が多い。従わない場合の罰則や罰金等はない。

となります。

行政指導の流れはご理解いただけましたでしょうか。次回は、行政処分・刑事処分の流れと仕組みを解説していきます。

▼ 次回記事

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執筆者プロフィール

ながおか ふみあき

長岡 文明

BUN環境課題研修事務所 主宰

※記事執筆時点

山形県にて廃棄物処理法、廃棄物行政、処理業者への指導に長年携わり、行政内での研修講師も務める。2009年3月末で山形県を早期退職し、廃棄物処理法の啓蒙活動を行う。廃棄物行政の世界ではBUNさんの愛称で親しまれ、著書多数。元・文化環境部循環型社会推進課課長補佐(廃棄物対策担当)。

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