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元行政マンが語る、具体事例から読み解く行政処分~E社の爆発事故~ 前編BUNさんの「元・行政担当者が語る 廃棄物管理のイロハ」

Some_rights_reserved_by_Josh13770.jpg1年ほど前に「行政処分」「刑事処分」について書かせていただき、その末尾に「なお、リクエストがあれば「詳細編」「マニアック編」「具体事例編」などをお届けしたいと思います。」と書きました。特段、リクエストは無いようですが、この度、ちょっと注目すべき「マニアック編」「具体事例編」がありましたので、取り上げてみたいと思います。

以前の記事はこちらからご覧ください。

Some rights reserved by Josh13770

E社の爆発事故と行政処分の内容・理由

ご記憶にある方も多いと思いますが、2年ほど前にT県に所在する産廃処理会社E社のプラントで爆発事故が発生し、多数の死傷者が出ました。T県は事故から1年以上経過した今年2月に、E社に対して「事業停止90日」という行政処分を行いました。識者によっては、この「事業停止90日」は甘いのではないか、という方、また逆に「厳しすぎるのではないか」と言う方もいらっしゃるようです。

1年前の「おしえてアミタさん」でも書きましたが、廃棄物処理法の行政処分は、公平性を保つように、国は平成23年3月に標準的処分(取消や停止の日数など)を通知しています。

この通知は、原則的には罰則の軽重に比例するように規定されていて、刑罰の重い罰則第25条、26条、27条に該当する違反は許可取消、28条以降の違反に関しては、事業停止90日、60日、30日などとしています。多少の軽重はありますが、許可権限者である自治体はこの通知に準じて、行政処分を行っています。

今回のE社に対する行政処分で注目すべきところは、T県が廃棄物処理法の具体的な違反条文を明示せずに、行政処分の理由として「的確に遂行できる能力の欠如」としたところです。

なぜ、T県はこのような処分理由にしたのか、深堀していきたいと思います。

行政処分理由が「的確に遂行できる能力の欠如」となったわけ

事故の経緯、E社
ここからは、BUNさんの推測の域になりますが、処分理由について考えてみたいと思います。
まず、前提として判っている事柄を列挙してみます。

<E社の許可取得状況>
1.当時E社は、<普通>産業廃棄物としての「廃油」の「蒸留処理」の許可あり
2.当時E社は、特別管理産業廃棄物としての「廃油」の「微粉砕・ろ過」の許可あり
(1.2は事故調査報告書【要約版】から)
<事故の影響、事故に至る経緯・過程>
3.「遠心分離器から煙」、廃油蒸留施設で爆発
4.死亡者、重軽傷者が多数
5.ガソリンが漏れているような臭い
6.排出事業者(ガソリンスタンド)は、軽油タンクに<誤って>ガソリンを入れたために「軽油が混入」、これをE社に委託
(3~6は新聞記事から)

E社は廃棄物処理法に違反する行為を行ったのか?
普通に考えれば「やってはいけない処理行為を、やってしまったから事故は起きた」と考えます。もっと具体的に言えば「特管物を、許可を受けていない処理ルートに投入した」と想像できます。この行為、廃棄物処理法では何条違反でしょうか。

E社は、特別管理産業廃棄物の廃油の許可を受けています。よって、廃ガソリンを<受け取る>行為自体は違法とは言えません。廃油蒸留施設に<投入する>行為はどうでしょう?これは、特別管理産業廃棄物としての「廃油」の許可である「微粉砕・ろ過」という行為の範疇に含まれるのか?と言うことになるのですが、私のような第三者には、T県で出した「微粉砕・ろ過」なる許可が、具体的にはどのような処理行為まで含んでいるのか正直判断が付きません。(産業廃棄物の種類については法令で具体的に示されているのですが「処理の種類」に関しては、法令で統一的な手法、表現は規定されておらず判断が困難です。)

今回の事故、E社が承知の上で、特別管理産業廃棄物である廃油を、本来であれば投入してはいけない<普通の廃油の処理フロー>に投入していれば、これは「特別管理産業廃棄物処理業の無許可変更」となります。E社が「承知」していたか?認識していたか?ここが大きな焦点となってきます。

E社は承知の上で処理を行ったのか、承知していなかったのか?
これほどの大事故になったのですから「知っててやったんだろう」と思いがちですが、それを立証するのは、なかなか「難しい」と思います。と、言うのは「知ってて」というためには、その行為を行った人物の頭の中を見なければ、わかりません。もちろん過去の言動などで推測できる場合もあるのでしょうが。

いくつか参考にケースをあげてみます。

ケース1)
昔から取引がある排出者から、汚泥を引き取った。過去に何回か分析を行ったことがあり、有害金属などは一度も検出されたことはなかった。今回もいつもどおり引き取って、処理を行うと同時に、一部をサンプルとして分析を行った。その結果、基準を超えるカドミウムが検出された。既に、汚泥は処理施設で処理が終了していた。このケースは外形上判断ができませんが、もちろん法令違反となります。
ケース2)
一方、廃プラスチック類の許可しか持っていない許可業者が、汚泥を引き取った。そして「廃プラスチック類だと思った」と言い訳をしたとしても「廃プラスチック類と汚泥を間違うわけ無いだろう」となり、明白に法令違反です。

これでお分かりのとおり、外形上、誰が見ても判断が付くパターンと、外形上だけではなかなか判断が付かないパターンがある、ということなのです。

知っていてやったのかそうでないのか、判別が難しいところです。後編では、排出事業者と処理会社のコミュニケーションは十分だったかについて検討してみます。

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執筆者プロフィール

長岡 文明 (ながおか ふみあき)
アミタ株式会社 特別顧問
山形県にて廃棄物処理法、廃棄物行政、処理業者への指導に長年携わり、行政内での研修講師も務める。2009年3月末で山形県を早期退職し、廃棄物処理法の啓蒙活動を行う。廃棄物行政の世界ではBUNさんの愛称で親しまれ、著書多数。元・文化環境部循環型社会推進課課長補佐(廃棄物対策担当)。

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