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たねや|企業の将来を見据えた空間づくりおしえて!きかせて!環境戦略

01_taneya.JPG創業145年を迎えたお菓子メーカー・たねや。和菓子から洋菓子まで幅広く手がける同社は、2015年に創業の地である滋賀県近江八幡市で「ラ コリーナ近江八幡」をオープンしました。市内の人口約8万人に対して、今期の来場者の見込みは200万人と、多くの来場者を集める同施設は、たねやの企業としての思いを形にしています。今回はたねやグループCEOの山本 昌仁氏に、その思いについてお話をうかがいました。

左:たねやグループCEO山本 昌仁氏 右:アミタ石田

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「自然に学ぶ」を形にしたラ コリーナ近江八幡

02_taneya.JPG石田:屋根が芝で覆われているメインショップ〈草屋根〉、銅板が葺かれている本社〈銅屋根〉などユニークな建物が田んぼを囲むように並んでいます。一風変わった様でなんだか懐かしい空間ですね。どのようにして作られたのでしょうか。

山本氏:たねやは近江八幡で創業し、私自身も地元で生まれ育ったので何かの形で地域貢献につながれば、そして、自然豊かな地域の魅力をいかした店舗づくりができればと思いました。

写真説明:周囲の山々と調和したラ コリーナ近江
八幡メインショップ。イタリア語で丘を意味する。

石田:オープンに至るまで構想を含めて5-6年と、長い時間をかけてつくられたとのことですが。

山本氏:現在敷地内には植物が多く植わっていますが、自生したものを除けば実はこれらの一本一本は、すべて周辺の山や川辺から採収して植えつけたものです。従業員やその家族、協力会社にも参加してもらいました。地元の人間にとって、地域の魅力とはなかなか気づきにくいものです。地元の山に入り、自分たちで魅力を再発見することでようやく外に発信できると考えました。このような取り組みを経て、今に至っています。

石田:施設のコンセプトを教えてください。

山本氏:「自然に学ぶ」というたねやの姿勢が伝わればと思っています。
世の中を見渡すと、これまでは自然を利用してきた時代だったと思います。それが悪かった、ということを言いたいのではありません。さんざん自然を利用した結果、ちょっとずつ無理が出てきている。これからは自然をお師匠さんにして、自然に学ぶことが大事になってくるのではないかと考えています。

石田:なるほど、自然に学ぶ、ですか。

山本氏:えぇ。私たちお菓子屋にとって、自然はなくてならないものです。なぜなら、きれいな水やお米などの原材料が失われてしまうと、お菓子作りはできなくなってしまうからです。自然に学びながらお菓子作りに取り組んでいくことで、50年、100年後に残せるものを作っていきたいと思います。

お客様にストーリーを伝える

03_taneya.jpg石田:良い原材料を仕入れるには自然環境も大事ですが、それらを作る担い手も大事です。

山本氏:まったくその通りです。たねやとしては本物のお菓子を作りたい。そのために20年ほど前から自社農園でヨモギを無農薬で育てています。他にもこだわりをもっている生産者のもとに行き、ひざを突き合わせてお互いの作りたいものの話をしています。

石田:作り手がお互いに信頼関係を持つということが大切なのですね。

山本氏:そうですね。私たちにとっても、この生産者さんはこんなにこだわっていらっしゃったんだ、ということがわかれば、お菓子を作る際にお米の一粒一粒を大切にしようと思います。お米にしてもお菓子にしても、作ったらはい終わり、という時代は終わっています。

石田:お話をお聞きして改めて実感しましたが、お菓子ができあがるまでには様々なストーリーがあるのですね。そのストーリーをどこまでお伝えできるかがポイントですね。

山本氏:そうですね。生産者からお客様の手元に渡るまでのストーリーを伝えることで、たねやのお菓子への信頼を得ることができ、ご購入いただけると思います。実際に、世の中で栗饅頭は80円や100円で販売されていますが、たねやでは150円で販売しています。それでも皆様は買い求めてくださいますし、どの地域の店舗よりも近江八幡で一番よく売れています。
これからはコストダウンのような価格の競争ではなく、もっと作り手の思いを届けるような価値の提供が求められると思っています。たねやの栗饅頭は他の栗饅頭とは違うと思っていただかなくてはなりません。今後は「山本さん家の大福」というように原材料からお客さんの手元に届くまでのストーリーがついて、それだったら安心ということで買ってもらえるようなお菓子を作っていきたいと考えています。

04_taneya.jpg石田:これらのストーリーを表現しているのがラ コリーナ近江八幡なのでしょうか。

山本氏:はい。原材料へのこだわりなど日々努力を積み重ねているのですが、それらを社外にお伝えすることが難しいこともありました。しかし、今はこれらをお伝えする役割をラ コリーナ近江八幡が果たしています。

写真説明:田んぼを中心に各施設に行ける
ようデザインされている。(たねやHPより

石田:デザインにも工夫があるのですね。

05_taneya.jpg山本氏:はい、田んぼを囲んだ配置にしています。従来の発想ですと敷地の中心部にわざわざ田んぼは作りませんよね。しかし、田んぼを中心とした空間にデザインすることで、農業の原風景とともに四季の移ろいを感じられることができ、絵になる風景になっていると思います。
地域の伝統行事も開催しています。この空間を通じてたねやの思いを見たり感じたりしていただけます。

石田:思いのつまった素敵な空間ですね。

写真説明:地域と連携のもと松明(たいまつ)づくりを行う。
近江八幡で1500年続く伝統である。(たねやHPより

未来に向けて、終わりなきオープンを続ける

石田:創業から145年がたち和菓子などのお菓子を取り巻く環境も大きく変化していることと思います。そのような状況の中、ラ コリーナ近江八幡はたねやさんにとってどのような意味を持つのでしょうか。本社も別の場所から、ラ コリーナ近江八幡へ移転されたとのことですが。

山本氏:企業が大きくなることで、たねやの中でもお菓子を作る人は作ることだけ、売る人は売ることだけを考えてしまいがちです。そうしたことを無くしたいという思いがあります。

石田:なるほど、その思いを実現するためにラ コリーナ近江八幡はどのような役割を果たしていますか?

山本氏:ラ コリーナ近江八幡では常にお互いが助け合わなくてはならない環境があります。例えば、休日にはお客様が多く来場されますが、本社から敷地内の様子がよくわかるので店舗が忙しいことも伝わります。そのような時は、本社の従業員が仕事の手をとめて、観光バスの誘導を行うなどすぐに手伝いにいくことができます。一緒に草むしりをする時のたわいもない会話が実は楽しかったりするのです。田んぼの中で転げあったことが、後々非常に重要な話題になったりします。こういったコミュニケーションの積み重ねで、部署を超えた仕事ができるようになると思います。

石田:店舗が近くにあり、お客様の様子がよくわかるという点は商品開発にも活かされているのではないでしょうか。

山本氏:そうですね。お客様の様子がわかることで、新商品の開発についても、自然とお客様目線になります。そもそも、店にいかないから、従業員の皆の意見を集めて会議をしなくてはならなくなるのです。それよりも「お客様がこんなことを言われていました」「子どもたちがこう言っているので」という実際の声から生まれるものは非常に大きいと思います。

06_taneya.jpg石田:なるほど。次々と新しい製品づくりに取り組まれているたねやさんにとって、お客様の声を集めることができる環境はかかせないものですね。

山本氏:店舗にはお客様の情報が溢れています。私たちがその声をいただいて変わっていけば、お客様のたねやを見る目も変わっていくと思います。ラ コリーナ近江八幡を通じて、お客様とたねやの距離をぐっと縮め、様々なアイデアや想像が溢れる場にしたいと思います。

画像説明:ラ コリーナ近江八幡全景。新店舗や
建物の予定地も
描かれている(たねやHPより

石田:本当に素敵な空間ですが、今後はどんな方向をお考えでしょうか。

山本氏:ラ コリーナ近江八幡では「終わりなきオープン」を目指しています。
これまでの店舗はオープンの日にすべての結果を出さなければならないと思ってやってきました。しかし、ラ コリーナ近江八幡はスロースタートでいい。一度に完成させず、長期的な視点をもってお客様の声に寄り添いながら絶えず変化していくことを大切にします。30年先、40年後に振り返ってあの時あんなことをしたから、今こうなっているということをしたい。こういった取り組みは、たねやが安定してお菓子をつくり続けることにもつながるはずです。

石田:なるほど。どこかで完成にしないことがたねやさんの持続的な発展につながるのですね。
今日はありがとうございました。

まとめ
  • 自然豊かな空間をつくりだすことで、たねやグループの理念をお客様に形として伝えることができる。
  • 従業員とお客様との距離を縮め、長期的な視点をもって取り組むことで事業の継続を目指す。
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アミタの支援サービス「The Sustainable Stage」では、廃棄物管理を始め、脱炭素にかかる施策(CDP質問書への回答、SBT、RE100への取組み・実践体制の構築、支援など)、SDGs、生物多様性、バイオマス発電など企業の持続可能性を環境面から支えるための支援を行っています。

話し手プロフィール

mr.yamamoto_profile.JPG山本 昌仁(やまもと まさひと)氏
たねやグループ CEO

滋賀県近江八幡市生まれ。1986年より10年間和菓子作りの修行を重ねる。1990年、株式会社たねやに入社。1994年、第22回全国菓子博覧会にて、最高賞「名誉総裁工芸文化賞」を25歳最年少授与。菓子舗経営と技術の研鑽、後進の育成に邁進し、2011年にたねや四代目を承継。2013年より現職。

聞き手プロフィール

ishida_profile.jpg石田 みずき (いしだ みずき)
アミタホールディングス株式会社
経営戦略グループ マーケティングチーム

京都府出身。滋賀県立大学環境科学部を卒業後、アミタに入社。大学時代は、一般廃棄物の分別に関する研究を行い「この世に無駄なものはない」というアミタの理念に共感する。現在は、マーケティングチームにて、非対面の営業・ウェブサイトの運営などを担当。

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