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ズーコンポストとは?|イエバエを活用した資源化技術ズ―コンポスト!人口100億人時代に向けた食料供給の鍵

ZCfarm.jpg今、世界的に昆虫への注目が集まっています。今後の人口増加や食生活の向上により、動物性たんぱく質が足りなくなるので、昆虫を代替たんぱく質として食料や飼料に活用しようというものです。

昆虫は、身近にいるものの、なかなか仲良くなれない存在でもあります。循環型の社会の中での、昆虫の利用方法、昆虫の食への転換などについて6回に渡って連載します。今回は、イエバエを使った廃棄物処理システムであるズーコンポストについて解説します。

(写真:実用化した豚糞処理施設 ズーコンポストの設備はコンテナ内に設置されています)

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ズーコンポストによる畜糞の飼料・肥料化

世界各地で家畜の糞尿の処理が問題になっています。畜糞の不適切な処理は、水の汚染を引き起こし、人間の生活を脅かすことにもなります。ズーコンポストでは、イエバエの幼虫に畜糞を食べさせることで、イエバエの幼虫は高機能な飼料に、残りは高品質な有機肥料にすることができます。2008年には、養豚場と共同で一日3トンの豚糞をズーコンポストで処理して、飼料と肥料を生成するシステムを実用化しました。

ズーコンポストの鍵|イエバエ

最近は見る機会も減りましたが、イエバエはごく身近にいる昆虫です。普段は嫌われて排除される対象ですが、実は、うまく利用すると、とても有益な昆虫なのです。

イエバエは食糞性の昆虫で、動物の糞や食物残渣などを餌にしています。イエバエの幼虫の成長スピードは、多細胞生物で最速と言われています。つまり、食べた餌を高効率で動物性たんぱく質に変換できるのです。また、イエバエは体内に異物が侵入すると、急速に強力な抗菌性たんぱく質を生成し、体外に分泌します。糞に群がるハエの幼虫(いわゆる蛆虫)を見て汚いと思いがちですが、実は、自らの周りを清潔に保とうとするきれい好きなのです。成長力だけでなく増殖力も極めて大きく、一匹のイエバエは500個の卵を産み、それらが幼虫、さなぎ、成虫と成長していきます。環境さえ整っていれば、一カ月もするとネズミ算とは比較にならないほど大量に「ハエ算」的に個体数が増えていくのです。

ズーコンポストの原理

100_sys_02.jpg先に挙げたイエバエの優れた性質を使えば、有機廃棄物(畜糞や食物残渣)処理に応用することを思いつきます。実は、昆虫を使った有機廃棄物処理は昔から実践されてきました。欧米ではミズアブを使った廃棄物処理が主で、実用化されたものも多いようです。一方、日本では2008年にBBBジャパンが本格的なイエバエを使った有機廃棄物処理システムを構築し、ズーコンポストと名付けました(図)。

ズーコンポストでは、特別な工夫を施したトレーに畜糞を入れ、その上にイエバエの卵を置きます。卵から孵化した幼虫は、畜糞を餌にして成長します。7日後には、幼虫はさなぎになろうとして乾燥した場所を求めてトレーから自ら這い出してきます。幼虫をトレーの下で受け止めれば、幼虫を簡単に収集できます。この幼虫は高機能なたんぱく質として魚や鳥の飼料になります。幼虫が這い出した後のトレーには幼虫が出した糞や醗酵した畜糞が残ります。これは高品質な有機肥料になります。イエバエは、有機廃棄物をインプットとし、高機能の飼料と高品質の有機肥料をアウトプットする一石三鳥の変換器なのです。

通常、畜糞を発酵させて肥料にするには数カ月かかりますので、とても短期間で資源化できます。また、処理装置が簡素です。温度、湿度管理は必要ですが、複雑な機構や制御は不要です。設備の稼働には燃料もエネルギーも要りません。イエバエの幼虫から抗菌性たんぱく質が生成されているので、飼料にも肥料にもその機能が含まれます。

日本の畜糞問題を解決する大きな可能性

日本では、家畜として牛384万頭、豚919万頭、鶏3.2億羽が飼育され、人間の食物になるべく動物性たんぱく質を日々生成しています。そして、そこから発生する畜糞はそれぞれ年間4,500万トン、2,100万トン、1,300万トンの合計7,900万トンになります。日本人一人あたり年間622kg、一日あたり1.7kgといえばどうでしょう。これが、私たちが肉や卵を食べる代償です。

畜糞の多くは長期間発酵させて肥料にしたり、焼却したり、メタンガスを採取したりと、できるだけ環境を損なわないように処理されています。しかし、畜糞の処理容量に限界がきているため、これ以上家畜の飼育頭数を増やすことができないという問題が生じています。

BBBジャパンでは、2008年に、千葉県の養豚場と共同でズーコンポストを使った豚糞処理システムを実用化しました。養豚場には1,000頭の豚が飼育されていて、毎日3トンの豚糞が発生します。この豚糞を60kgずつ50個のトレーに入れて、イエバエの卵をのせます。50個のトレーを含めた1日分の処理設備は、40フィート(12m)コンテナ一本に入るくらい小さなものです。そこで、7本のコンテナを用意して、毎日順々に畜糞をコンテナに入れていきます。7日後には、1本目のコンテナからイエバエの幼虫が300kg、肥料が900kg生成されます。幼虫を飼料にするため、煮沸殺菌し、乾燥させると60kgになります。

このシステムで、毎日300kgの動物性たんぱく質を生成できるのは驚異的なことです。ブロイラーが一羽2.5kg、精肉すると1.2kgになると仮定します。ブロイラーは50日で出荷されるので、計算上、一羽は1日24gの動物性たんぱく質を生成していることになります。ズーコンポストで毎日得られる1日300kgの動物性たんぱく質は、ブロイラー12,500羽に相当するのです。ズーコンポストでは鳥インフルエンザの心配もなく、鳴き声もしません。思い出してください、イエバエは周りに抗菌作用を及ぼすので病気には強いのです。

豚糞からズーコンポストで作った肥料は、有機栽培農家で使用されてきました。また、イエバエの幼虫の飼料は、乾燥、粉末、釜揚げ、さなぎなどさまざまな形態で販売してきました。魚の餌として使うと、魚の成長が速く、病気にもなりにくいことから、高級観賞魚用として高い評価を受けました。残念ながら、東日本大地震災の影響もあり、冒頭の写真にある施設は現在稼働ができなくなってしまいましたが、イエバエの卵の維持は続けていますので、いつでも再開できる状況です。

ズーコンポストの原理自体は単純ですので、容易に理解できると思います。しかし、実用化に至るまでには、試行錯誤の繰り返しでした。次回は、ズーコンポストの課題と将来展望について解説します。

参考情報

株式会社BBBジャパンWebサイト

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執筆者プロフィール

180314_profile.jpg山口 弘一氏 
株式会社BBBジャパン 代表取締役
農業ストラテジスト

1938年東京生まれ。沖縄海洋博覧会やつくば科学万博などの大型博覧会をプロデュース。2004年NPOローハスクラブ設立、代表理事。2008年から株式会社BBBに参画。ハエ事業である「ズーコンポスト」の開発に関わり、農水省の農商工等連携事業の認定を受けて3年間事業を推進。2009年に株式会社BBBジャパンとしてズーコンポストを本格的に事業化。専門は農業全般や環境技術、バイオマス。

木下 けいすけ氏 
工学系の大学院を修了。情報システム開発の仕事をした後、東南アジア(主にラオス)で農業や林業、バイオ燃料の仕事に従事。2014年からズーコンポストの自動化技術の開発に関わる。世界には動物性たんぱく質に手の届かない人たちも多く、昆虫を使って良質のたんぱく質を効率的に生産できないかと考えている。

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