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コラム

"再エネ導入"で企業が実施すべき4つの手法とは? 初心者向け今こそ知りたい !電力自由化と電気の環境調達!

2016年の電力自由化Some rights reserved by mohamed hassan.jpg以降、企業は電力調達を通じて、地球温暖化対策や環境配慮を実施できるようになりました。そのため、投資家から脱炭素化や再エネ利用を求められるケースも増えています。最終回の今回は "企業の再エネ導入"という視点から、"電力自由化"にあたって企業がすべきことのまとめとして、4つの手法をお伝えします。

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結論!"再エネ導入"のために企業が実施すべき4つの手法

電力調達で、環境配慮を実現するために実施すべき手法は、ズバリ以下となります。

  1. オンサイトで再エネ発電設備を導入
  2. 購入する電力を再エネに変更(電力自由化の活用)
  3. 「再エネ証書」の活用
  4. 再エネ発電の需給バランスに合わせた電力使用

優先順位の高いものから並べており、この順で取り組むべき事項になります。4は、現時点ではまだまだ手法事例は少ないですが、先進的であり、かつ需要家ができることとして最も本質的な手法です。

1.オンサイトで再エネ発電設備を導入

まず最優先で検討すべきことは、工場や店舗等の自社敷地内(オンサイト)に再エネ発電設備を導入することです。前回のコラムでも触れた通り、比較的容易に導入可能である太陽光発電設備は、この数年で設備コストが大幅に低下しました。

FIT制度下の太陽光発電による電気(10kW以上)の買取価格は、平成24年度の40円/kWhから平成30年度には18円/kWhにと、半分以下になっています。買取価格は、実際の設備コストや設備稼働率から計算し設定されていますので、発電量当たりの設備費が6年前と比べて半分になったことが分かります。すでに太陽光発電設備の導入を検討しており、過去に断念した企業であっても、設備コストが低下している今、改めて検討する価値はあります。

▼FIT制度下の太陽光発電による電気の買取価格(10kW以上)

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なお、平成30年度の調達価格等算定委員会(経済産業省資源エネルギー庁開催)が採用した設備費用と設備稼働率から計算すると、太陽光発電設備を導入した場合、10年間の利用で電力の単価は14.8円/kWhとなります。この単価は今後、化石燃料価格が上昇する可能性や、再エネ賦課金が上昇していくことを考えれば、電力系統(※1)から購入する電源よりも安くなる場合も多いのではないでしょうか。しかも、20年間使えば、さらに安く、単価は7.4円/kWhとなります。また、設置場所等の条件にもよりますが、ある程度の規模を見込むことができ、容易な設計・建設方式で設置できる場合には、設備コストは更に安くなるでしょう。

設置場所は屋根だけではありません。敷地内の遊休エリアはもちろん、駐車場(カーポート上に太陽光パネルを設置する「ソーラーカーポート」)や池の上(フロート式の太陽光パネル設置)も可能ですし、敷地外であっても隣接地かどうかを問わず、自家消費のための発電所をつくることは可能です。また、投資資金がないという場合は、リース等を利用する方法もあります。

設備導入となると大がかりに感じますが、結果を考えると非常に合理的です。まずは、自社での太陽光発電設備の導入を検討してみてください。

※1 発電設備、送電設備、変電設備、配電設備、需要家設備といった電力の生産から消費までを行う設備全体のこと。日本には10の電力系統があり、各電力会社がそれぞれ運用しています。

▼自家消費の発電設備導入による料金メリット(イメージ)
(画像はクリックすると大きくなります)

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2.購入する電力を再エネに変更(電力自由化の活用)

自家消費の再エネ発電設備を導入できたとしても、需要の全量を賄うのは難しいものです。よって、並行して電力系統から電力を購入する必要が生じると思われます。そして、この購入電力を再エネにすることも、再エネ導入の手法の1つです。もちろん、再エネ発電設備を導入できず、需要の全量を電力系統から購入する場合も同様です。この場合にまず知っておくべきことは、電力系統の再エネ電力には「FIT」と「非FIT」の2つがあることです。

ただし、FITにしろ、非FITにしろ、再エネ電力は目に見て「再エネ」と分かるものではないため、理解し難いものです。再エネ電力を提供している小売電気事業者に問い合わせて、実際に見積りをもらうことで、どのような考え方で、どのような仕組みで、再エネの電力と謳っているのか、理解を深めることができます。

▼おさらい:FIT電力と非FIT電力(※詳しくは、前回のコラムをご参照ください。)

FITでない電力(非FIT)とは、文字通り、FIT制度(固定価格買取制度)を使わずにつくられた再エネ発電所由来の電力のことです。非FIT電力は、再エネ発電所から電力と「再エネとしての環境価値」がセットで取引されており、電力を購入すれば、すなわち再エネとしての環境価値も得られることになります。

一方、FIT電力は、再エネの発電コストが高い分を(再エネ賦課金という形で)国民全体で負担してつくられた再エネ発電所に由来する電力であり「その環境価値は電気を利用する全国民に帰属している」と整理されています。そのため、FIT電力を購入しても環境価値はつきません。この環境価値を買い戻す仕組みが「非化石証書」です。「非化石証書付のFIT電力」は「実質的に再エネ」とみなされる、という決まりになっています。

3.再エネ証書の活用

現在契約中の電力料金が低い、包括契約による割引や、契約期間の縛りがある等の理由で、電力メニューを再エネに変更することが難しい場合は「再エネ証書」を活用する方法があります。これは、電力とは関係なく、再エネ電力の発電によって発行された証書を購入する方法です。日本では「非化石証書」「グリーン電力証書」「J-クレジット」の3種類があります。

非化石証書 小売電気事業者のみが調達できる証書で、希望する場合は、現在契約中の小売電気事業者に非化石証書の対応をしてもらう必要があります。
上述の通りFIT電力に付けることもできますが、FIT(再エネ)以外の電力に付けて「実質再エネ」として扱うことも可能です。
グリーン電力証書 非化石証書とは異なり、需要家が直接購入できる証書です。よって、契約中の小売電気事業者が非化石証書付での電力を販売していない場合も、需要家が独自に取り組める方法といえます。
Jクレジット

4.再エネ発電の需給バランスに合わせた電力使用

1~3とは違った観点ですが、需要家だからこそできる、再エネ利用を増やすための本質的な手法があります。それは、再エネ発電の需給バランスに合わせて、電力を使用することです。
再エネの中でも、導入設備容量の大きい太陽光や風力は、天候等により発電量が変動する発電方式です。発電量が大きいときは、需要量より供給量が多くなってしまうこともあり、逆に発電量が少ないときは不足することもあります。このように、どうしても需給バランスが不安定になりやすいのです。

そのため、"再エネ100%は実現できない""再エネの割合を多くすることは難しい"という話を耳にします。しかし、実はエネルギーを貯められる設備(蓄電設備)を活用することで、これらの課題は解決することができるのです。

供給量が多い際は蓄電し、需要量が多い際には蓄えた電力を使用することで、無理なく再エネの発電量の変動に対応することができ、再エネの使用割合を増やすことができます。

▼再エネ発電の需給バランスに合わせた電力使用調整のイメージ
(画像はクリックすると大きくなります)

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※「ネット需要」=(需要量)―(自然変動電源の発電量)

また、電気エネルギーではなく、熱エネルギーを用いるという方法もあります。熱を集める技術(「ヒートポンプ」)によって得られた熱の多くは、太陽熱に由来する空気熱を集めたものですので、この分は再エネということができます。

これまで、ボイラー等の熱利用については、化石燃料の利用が当たり前でした。しかし最近は、様々な用途でヒートポンプ機器が使えるようになってきています。確かに、イニシャルコストは高いですが、補助金等を活用することで、長期的に見れば、十分に投資回収できるケースも多くなっています。

そして何よりも、需要家が積極的にヒートポンプと蓄熱の利用を増やしていくことで、技術開発が進み、将来的にイニシャルコストやランニングコストが下がるという可能性もあります。こうした一連の動きも、需要家にできる最大の再エネ拡大の手法なのです。

まとめ

これまでの全6回の連載を通して、電力自由化によって選べるようになった"電力のCO2排出係数"や"環境価値"、電力会社の電源構成や係数オフセット方法の確認についてご紹介してきました。
いずれも企業ポリシーが反映される電力調達にあたって、重要なポイントです。
コストアップになる可能性もある再エネ導入ですが、国際情勢を考えると、現在必要に迫られていない企業も、今後は投資家や取引先から要求される可能性は高まっていくと考えられます。
再エネ導入を、取引先や投資家との関係性を維持・向上させるカギとして、さらには、これまで実施できていなかった企業の環境活動を加速させるチャンスとして、今から検討されることをオススメします。本コラムが、その手法へのきっかけになれば幸いです。

執筆者プロフィール

180314_profile.jpg川島 悟一(かわしま ごいち)氏 
自然電力株式会社
電力小売事業部 マネージャー

東北大学理学研究科を修了後、複数の企業にて環境やエネルギーに関する事業の企画運営に携わる。環境コンサルタントとして独立後、内閣府参事官補佐として、NGO/NPOが活躍しやすい社会基盤整備の担当を経て現職。現在は、自然エネルギー100%の世界を目指すために必要な新規事業の創発など、自然エネルギーをより拡大させていくための突破口づくりに邁進中。

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