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コラム

コマツ|粟津工場の木質バイオマス・コジェネレーションサステイナブル コミュニティ デザイン ~2030年に向けた行政・企業・住民の連携~

Some_rights_reserved_by_daddyoproductions.jpg人類は気候変動・資源枯渇・人口増加という未体験の環境下に向かっています。また、日本は、少子高齢化・労働人口減少・税収減少などで、今のしくみでは社会インフラの提供が難しい状況を迎えつつあります。そのような中で、持続可能な社会・コミュニティ デザインを行政・企業・住民の連携でどのように作っていくのかは、非常に重要なテーマです。

そこで本コラムでは、NPO法人バイオマス産業社会ネットワーク(BIN)理事長の泊みゆき氏に、サステイナブル コミュニティ デザインについて、参考事例などを交えて連載していただきます。第七回は、民間企業の地元連携の事例としてコマツの粟津工場の取り組みをご紹介します。

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エネルギーのカスケード利用を目指した粟津工場のしくみ

181217_komatsu.jpgショベルカーなどの建機・重機メーカーのコマツは、2015年、石川県小松市にある粟津工場に、木質バイオマスボイラーを導入しました。

粟津工場では、最新鋭の組立工場を建設し、種々な省エネ・創エネ策に取り組むなかで、再生可能エネルギーの利用も検討され、バイオマス・コジェネレーション※1 による電力、熱エネルギー利用を採用しました。燃料の木質チップは、利用されていなかった間伐材を地域の林業者から購入することで地元林業の活性化にも貢献することを目指し、2014年2月に石川県、石川県森林組合連合会と「林業に関する包括連携協定」を締結しました。

「地域創生のモデルケース」としても知られるこの事業は、地元の「かが森林組合」から年間7,000トンの木質チップを購入し、3,200kWの蒸気木質ボイラーで燃焼、まず工場の電気コンプレッサの代替として、蒸気コンプレッサの動力に使います。その後、減圧した蒸気でコベルコ社のスチームスター蒸気発電機210kW2機により、発電し自社で使います。その排熱をさらに、重油ボイラーを使って行っていた工場の空調に使い、最後に生チップの乾燥に使い尽くしています。まさに、エネルギーのカスケード利用※2 なのです。(図版出所:コマツWebサイト (図はクリックすると拡大します))

※1 木質チップをガスに転換してから電力と熱の両方を供給することができ、大気中に有害物質を排出しない方法

※2 木材を建材等の資材として利用したあと、ボードや紙等の利用を経て、最終段階では燃料として、木材を無駄なく効率的に利用すること

補助金に頼らず、製造業のノウハウでサプライチェーンを改善!

このシステムを稼働させる過程は、並ならぬ苦労の連続でした。

column_kaga.jpgその一つは、チップ供給システムの構築です。現在、多くのバイオマス発電事業者らが直面していることですが、日本の林業は長年の間に「産業」ではなく「公共事業」と化しており、特に森林組合は、そのほとんどがビジネスの主体ではありませんでした。 コマツの担当者がチップのコスト構造について「かが森林組合」に尋ねた際「原価率」や「償却」という用語が通じなかったといいます。森林組合が導入している設備は、その時々の補助金額で決められ、木材の伐採量や人員とは合致していません。それらのムダも含めたコストを積み上げて、木質チップ価格を提示していたのです。血のにじむような努力でコスト削減を行ってきたグローバル製造業から見れば、林業は「ずぶ濡れのぞうきん」だったのです。

コマツは、森林組合と共同で、チップ製造の作業工程ひとつひとつを分析し、製造業のノウハウを投入し、改善していきました。欧州製のチッパーが高コストの一因であったことから、関連会社に、購入費・維持費がより安価なチッパーの製造を依頼し、導入します。発電だけでは利用効率が上がらず、償却できないため、熱のカスケード利用を徹底しました。シビアなコスト管理によって、チップ単価は大幅に低下し、森林組合も持続可能な生産ができ、コマツ側も投資回収5年と見込んでいるとのことです。ちなみに本事業では、コマツは補助金を使っていません。(写真:かが森林組合に導入された国産チッパー)

この事業の成功のポイントは、「CSR(企業の社会貢献)でありつつCSRでない」ところにあるように考えます。私がこの工場に視察に行った際、コマツの担当者の方は「この事業はCSRです」と強調されていました。コマツのような製造業では、設備投資は3年程度で回収するのが原則であり、5年というのは、何らかの理由づけが必要になるとのことでした。CSR事業としての社会的意義を実現させつつ、できるだけ事業としての条件を満たそうとしています。そこには、そもそも粟津工場のある小松市が社名の由来となっていることもあり、コマツが地域への貢献を目指していること、林業機械を販売しているため林業全体を盛り上げたい、といった動機もあります。しかし、社会・環境面での持続可能性を追求する際に、経済的な持続可能性を実現したところに、本事業の真髄があると考えます。経済的な持続可能性がなければ、結局、事業として続かず、本当の意味で効果は上がりません。多くの地域創生事業が経済的な自立に苦しんでいるなか、この事例は一つの光明となりうると考えます。

執筆者プロフィール(執筆時点)

tomari-sama.jpg泊 みゆき(とまり みゆき)氏
NPO法人 バイオマス産業社会ネットワーク(BIN)理事長

京都府京丹後市出身。大手シンクタンクで10年以上、環境問題、社会問題についてのリサーチに携わる。2001年退職。1999年、BINを設立、共同代表に就任。2004年、NPO法人取得にともない、理事長に就任。
NPO法人 バイオマス産業社会ネットワーク:http://www.npobin.net/ 

■主な著書・共著
アマゾンの畑で採れるメルセデス・ベンツ [環境ビジネス+社会開発]最前線』(築地書館)
バイオマス産業社会 「生物資源(バイオマス)」利用の基礎知識』(築地書館)
バイオマス本当の話 持続可能な社会に向けて』(築地書館)
『地域の力で自然エネルギー!』(岩波ブックレット、共著)
『草と木のバイオマス』(朝日新聞社、共著)

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