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コラム

おから虫|昆虫による新しい産業 ズ―コンポスト!人口100億人時代に向けた食料供給の鍵

IMGT0262(240-160).jpg今、世界的に昆虫への注目が集まっています。今後の人口増加や食生活の向上により、動物性たんぱく質が足りなくなるので、昆虫を代替たんぱく質として食料や飼料に活用しようというものです。

昆虫は、身近にいるものの、なかなか仲良くなれない存在でもあります。循環型の社会の中での、昆虫の利用方法、昆虫の食への転換などについて6回に渡って連載しています。最終回は、昆虫を使った新しい産業の創出について解説します。

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昆虫利用の限界

人間は、他の生物を利用して生きてきました。食物連鎖上、植物や魚や鶏、豚、牛などを好んで食べ、それらを栽培、養殖、家畜化する技術も手に入れました。水牛やラクダなども、耕作や荷物の運搬に古くから利用されています。ミクロに目を転じると、微生物や菌類は、発酵、素材の分解や合成、医薬品などに利用されています。最近は、ミドリムシでさえ、ユーグレナと名前を変え、バイオ燃料、健康食品でブームになっています。しかし、その中間に位置し、最も身近な生物である昆虫は、養蚕、養蜂以外、産業として直接的な利用がされていません。

本連載のテーマであるズーコンポストとて、畜糞を肥料と飼料に変換できる素晴らしい技術であるにも関わらず、残念ながら一般に普及しているとは言い難い状況です。やはり、「糞を食べた虫」という負のイメージから脱却できないのが最大の原因でしょう。

「おから」ならどうだ

現在、様々なバイオマス(畜糞、木材チップ、製紙くず、食品残渣など)が廃棄されています。しかし、今後は経済合理性だけでなく、環境への配慮が必須となってきます。資源を自然界から新たに奪取し利用するよりも、廃棄物と思われているものを資源として再利用することが求められています。

我々は、これらの廃棄物の中でも「おから」に注目しました。豆腐や豆乳を作ったあとの搾りかすであるおからは、年間70万トンも排出されています。そのうち5%は食品用原料として再利用されていますが、人間の食用となる「おから」(よく居酒屋のお通しとして供されます)は1%に過ぎません。45%は飼料や肥料の原料となりますが、残り50%の35万トンは焼却処分となっています。

「おから」は、豆腐工場から出てきたときはとてもきれいです。白くてフワフワです。「おから」はたんぱく質や食物繊維も豊富で、記憶力を高めるレシチンやコリンなどの成分も含まれています。「おから」自体がとても良い機能性食品なのです。しかし、水分が75~80%あるので、足が早く、数時間も時間を置くと腐り始めるため、再利用が難しいのです。

できたての「おから」

190118_image005.jpg人間が食用にもするおからをイエバエの幼虫に食べさせれば、「きれいなおから虫」を作れます。イエバエの幼虫は腐食性ですから、幼虫にとってみれば「おから」は栄養満点のごちそうです。実際、BBBジャパンでは、イエバエを長年継続的に飼育していますが、ここ数年は畜糞ではなく、「おから」を餌にして飼育しています。黄金色に輝く美しい幼虫です。

「きれいなおから」を食べ、食品工場のような設備で育成された「きれいなイエバエの幼虫」なら、汚いというイメージを払拭できます。実際、まったく汚くありません。清潔で贅沢な環境で育った清楚で美しい箱入り虫の誕生です。飼料にしてもよし、人の食品にしてもよし、どこに出しても恥ずかしくない動物性たんぱく質です。「おから」の廃棄物処理という視点から、「おから」を原料とした高付加価値の飼料・食品の製造という考え方の転換です。

「おから虫」からみる、新しい食品開発の将来性

「おから虫」は、新しい動物性たんぱく質として、我々の生活で身近なものになる可能性があります。「おから虫」を乾燥させ、ごはんに振りかける、粉にしてチーズの代わりにパスタにかける、クッキーに練りこむなど様々な方法が考えられます。栄養価もありますので、病院食にも適しています。

「おから」だけでなく、他の食品残渣もイエバエの餌にする可能性があります(向き不向きはあるでしょうが)。カカオフレーバーのカカオ虫、抹茶味の抹茶虫など、バリエーションも増えていくことでしょう。これはまさに新しい食品の開発です。

さらに、イエバエの幼虫が持つ抗菌性にも注目です。イエバエの幼虫を養殖魚や養鶏の飼料にした場合、この抗菌性が効いて、魚や鶏が病気になりにくくなるという研究結果もあります。そのため、「おから虫」にも同様の効果が見込めるため医薬品への応用も期待できます。

畜糞を食べた幼虫ではなく、「おから虫」だからこそ広がる利用範囲や市場があるのです。

新産業の予感

「おから虫」は、微生物や菌類のような抗菌性や医薬的応用などの機能性と、鶏や豚のような食料性の両方を兼ね備える夢の素材になり得るため、新しい産業になる可能性があります。人間の力ではできないが、生物なら作り出せるものが多くあります。生物の力を活用して、人間に有益な物質を作り出すこと、これはまさにバイオ産業の王道と言えます。そして、将来的には昆虫ということを意識すらしない、新しい合理的な食文化を築いていくことにつながると思います。

関連情報

tss.pngアミタグループは、地域の持続性を高める統合支援サービス「BIOシステム」を提供しています。地域の未利用資源を活用したコンパクトな自立型の地域づくりを、ビジョン策定からインフラの設計・運営、産業・雇用創出支援まで、トータルで支援します。

執筆者プロフィール

180314_profile.jpg山口 弘一氏 
株式会社BBBジャパン 代表取締役
農業ストラテジスト

1938年東京生まれ。沖縄海洋博覧会やつくば科学万博などの大型博覧会をプロデュース。2004年NPOローハスクラブ設立、代表理事。2008年から株式会社BBBに参画。ハエ事業である「ズーコンポスト」の開発に関わり、農水省の農商工等連携事業の認定を受けて3年間事業を推進。2009年に株式会社BBBジャパンとしてズーコンポストを本格的に事業化。専門は農業全般や環境技術、バイオマス。

木下 敬介氏
株式会社フライハイ 代表取締役

東京大学工学系研究科博士課程修了。画像認識の研究、金融系のシステム開発に従事。2011年から東南アジアでの林業や農業のビジネスに従事。2014年からズーコンポストシステムに関わる。2018年株式会社フライハイ設立。

株式会社フライハイ:https://flyhigh64.tech

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