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コラム

生駒市実証実験レポート|可視化と継続利用に向けたICT活用地域の課題をトータルで解決する「MEGURU STATION」実証レポート

ICTシステム画面.jpgアミタ株式会社は、奈良県生駒市の「日常の『ごみ出し』を活用した地域コミュニティ向上モデル事業」を受託し、NECソリューションイノベータ株式会社(以下、NECソリューションイノベータ)と共に、同市で2019年12月から2020年2月に実証実験を行いました前回は資源循環の拠点「こみすて(コミュニティステーションの略で生駒市版MEGURU STATION 以下、ステーション)」の実験の背景、取り組みの概要をお伝えしました。今回は本実験の鍵となるICTシステムでの効果の可視化と継続利用に向けた施策についてお伝えします。

▲ICTシステム画面

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可視化と継続利用に向けたICT活用

ステーションは、資源循環の拠点であると同時に、多世代間の交流拠点でもあります。ステーションを通して様々な世代の住民が出会い、交流し、時にはサードプレイスとして活用することで、ゆるやかな関係性を構築し、日常の延長線上で地域課題の解決に取り組むことを目指しています。そこで今回は、住民が継続してステーションを利用し、人が集う場であり続けるための施策の一つとして活用したICTシステムについてお伝えします。また、「関係性づくり」は、重要ですが抽象的かつその成果が見えにくいものでもあります。そのため地域の活性化を示すデータを蓄積し、効果の測定も試みました。高齢者が増加する地方においてこれらの施策が十分に効果を発揮するかを検証するために、スマホ等のデバイスの利用状況も実験を通して確認しました。

LINEや専用サイトを活用し継続参加を促進

住民はスマートフォンあるいはカードで利用者登録をして、実証実験に参加します。この際、多くの方が使用しているスマホアプリLINEを活用して利用者登録を行うことで、初回登録のハードルを下げる工夫をしました。さらに、住民に親しみを持ってもらおうと作成したステーションの公式キャラクターから関連情報の案内を流したり、スマホの専用サイトから情報を確認したりできるようにして、参加意欲を向上させる取り組みを実施しました。なお、体験できる機能には制限がありますが、スマホが無い方用にカードでの登録も用意しました。

目的 ICTシステムを活用した施策内容
  • 参加意欲を向上させる
  • 行動結果のフィードバック
    資源持参回数、それに伴うCO2排出削減効果などの資源持参状況
  • イベント開催情報の提供
  • 人が集まる時間帯の多寡の開示
  • リユース品の持ち込みや持ち帰り情報の発信
  • 参加頻度に応じた適切な介入で参加者数を向上させる
  • 登録者の中で、ステーションに来る頻度が少ない人へのフォロー情報の発信

▼資源持参状況のフィードバック画面イメージ ▼感謝ポイント(※後述)の交換やリユース品の
 持込引取状況画面イメージ
▼資源持参状況のフィードバック画面イメージ.png ▼感謝ポイント(※後述)の交換やリユース品の持込引取状況画面イメージ.PNG

ごみとリユース品を持ち込んだ住民に「感謝ポイント」を発行

チェックインの様子.jpg住民は資源ごみとリユース品を持ち込む際に、利用者ごとに発行されたQRコードを機械にかざすことで「感謝ポイント」が付与されます。「感謝ポイント」とは、資源回収に協力してくれたことに対する住民の方への感謝の気持ちが込められたポイントです。貯まったポイントは、住民同士で相互に送り合うことで、身近な人の親切な行動に対して「ありがとう」の気持ちを伝えることができます。

(ステーションでのチェックインの様子)

感謝ポイントが付与される行動 感謝ポイントが使える行動
  • 資源ごみの持ち込み
  • リユース品の持ち込み
  • アンケート回答やアプリへの情報登録
    など
  • 自治会や子ども食堂への寄付
  • 地域のお店などのクーポンとの交換
  • リユース品の引き取り 
    など

感謝ポイントは、リユース品の引き取り時に使用したり、住民が所属する自治会や、地域で活動する団体への寄付ができたり、地元密着のお店や、売り上げが障がい者雇用に役立つカフェでの利用ができるなど、廃棄物を減らす取り組み促進のほか、住民間の交流を深めたり、地域とのつながりを感じられる仕組みとしました。

スマホとカードでの参加者数|スマホ等アプリでの参加者が約7割

参加者割合.PNG拠点ステーションの地域は世帯数710世帯、人口1,565人(2020年2月時点)の地域で、高齢化率は50%を超えるといわれる地域でしたが、実証実験への参加者249名中の7割近い方がスマホ等のアプリでの登録を選びました。年代別では80代以上と19歳以下の2つの年代以外は、50%を超える割合でアプリのほうが多い結果となりました。カードでの登録の場合、行動結果のフィードバックが確認しにくいことや、お知らせが受け取れない等、スマホでしかできない体験があり、実験前は、高齢者の方はスマホを持っておらず施策が十分に効果を発揮できないのでは?という懸念もありました。しかし実際には実験地域の70代の参加者の方々の半数以上はスマホをお持ちであることがわかり、ICTを活用した施策で住民にリーチできるという可能性が示されました。

年代別割合.png

(図はクリックすると拡大します。)

ステーションにおけるICT活用の可能性

本実証実験では、ICTを活用して、住民がどれだけ資源循環の取り組みに貢献しているのかを可視化したり、感謝の気持ちを住民同士で伝える仕組みを提供したりしました。こうした効果を可視化することで、住民の資源循環に対するアクションや助け合いの促進につながるだけでなく、まちづくりの現状把握が可能となり、まち全体の目標・計画策定に寄与できるものと考えます。これらの施策で得られた分析結果の一部は本連載の後半でお伝えいたします。

アミタは、NECソリューションイノベータとともにICTの仕組みとステーションとを掛け合わせたサービスを提供することで、住民自治の基盤づくりに貢献してきたいと考えています。

次回は、ステーションの場の設計と多世代による利用の状況についてお伝えします。

関連情報

BIO.pngアミタグループは、地域の持続性を高める統合支援サービス「BIOシステム」を提供しています。地域の未利用資源を活用したコンパクトな自立型の地域づくりを、ビジョン策定からインフラの設計・運営、産業・雇用創出支援まで、トータルで支援します。

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