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コラム

生駒市実証実験レポート|多世代ごちゃまぜの交流が起こる場所地域の課題をトータルで解決する「MEGURU STATION」実証レポート

200615_mst_top.jpgアミタ株式会社は、奈良県生駒市の「日常の『ごみ出し』を活用した地域コミュニティ向上モデル事業」を受託し、NECソリューションイノベータ株式会社(以下NECソリューションイノベータ)と共に、同市で2019年12月から2020年2月に実証実験を行いました。

前回までは、実証実験の概要やICTシステムをご紹介してきました。今回は、実証実験の舞台「こみすて(コミュニティステーションの略で生駒市版MEGURU STATION 以下、ステーション)」で生まれた新たな日常を、現場の写真とともにご紹介します。

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外から見えることを活かし、場を設計

200615_mst_station_map.jpgステーションは、ごみ出しという日常の延長線上で顔の見える関係性を築き、地域課題の解決に取り組むことを目指しています。そのため、住民が気軽に立ち寄り、集い、参画しやすい場所でなくてはなりません。そこで、「1階づくりはまちづくり」を提唱し、場に集う人々の主体性を引き出すデザインにより、コミュニティ形成・活性化を図る株式会社グランドレベル監修のもと、場のデザインや住民を巻き込む仕掛けを構築しました。

図:ステーション全体図(クリックしたら画像は拡大します)

生駒市では、いきいき100歳体操や高齢者サロンなどの自治会活動が、自治会館を中心に約80箇所で展開されています。市からは、これらの活動との相乗効果を狙ってステーションを設計したいと依頼がありました。とはいえ、自治会館の建物内にステーションを作っても、自治会活動の新たな参加者を増やすことが難しいと考え、自治会館の隣にある中央緑道を利用しました。あえて開放的な屋外を活用することで、自治会館の縁側のような役割を生み出そうとしたのです。

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ステーション設営前の中央緑道

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ステーション設営後 登校中の中学生も気になる場に

200615_mst_3_.jpgたどり着いてすぐ目につくのは、この看板。実は、実証実験参加者である住民の方が「こみすて」のロゴのデザインをしてくれました。昔ながらの駅のホームにありそうな駅名標がモチーフで、「こみすて」がごみ出しと地域交流の交点になるようにという意味が込められています。

この看板が出ていたらステーションがOPENしているという目印です。また、ステーションで行われるイベント情報も入り口に掲示されており、住民の方はごみ出しついでに次のイベントをチェックされていました。

高齢男性と子どもをつなげる薪ストーブ・薪わり機

200615_mst_4_.jpg少し奥に進み、カラフルなガーランドの下をくぐると、左手には薪ストーブが、右手には薪割り機があります。
学校が終わって遊びに来た子どもたちや、ごみ出しに来た住民の方が、「火の様子はどうかな?」と薪ストーブを覗いては、絶やさぬように面倒を見ています。子どもたちは火が珍しいようで、大人が見守る中、薪をくべたり、火おこしを教わったりしています。

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暖かいものの周りには人が集まる

薪ストーブの周りには、コーヒーやお菓子と共におしゃべりを楽しむ人たちの姿が見えます。火を囲んだベンチでは、自治会の若手とベテランが井戸端会議をしています。こたつでは、久しぶりの再会を果たしたお母様方が、おしゃべりを楽しんでいます。

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異世代の囲炉裏端会議

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ごみ出しを終えてこたつでおしゃべり

コーヒーはステーションにある "ふるまい"屋台で淹れます。この屋台ではスタッフがコーヒーをふるまうだけでなく、住民の方がお菓子を持ち寄ったり、地域の事業者の方がパンや飲み物などの商品をふるまうなど、様々な人の"ふるまい"に活用されました。

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もてなし・もてなされる空間

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住民の方の手作りお菓子のふるまい

ドラム缶や道は子どもたちの格好の遊び場に

200615_mst_11_.JPG屋台と資源回収テントの間には、DIY名人の住民によるお手製のテーブルが置かれました。そこで宿題をする子供たちがいたり、ドラム缶や道にお絵かきする子どもたちがいたりと遊び場になっていました。

チョークでお絵かき

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DIY名人のテーブルづくり

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冬休みの宿題をもってきた子どもたち

資源分別は住民お手製のポップで分かりやすく

200615_mst_14_.jpg資源回収テントの前には「紙おむつ」と「生ごみ」の分別場所が。臭気対策などを兼ねて他のごみとは別の場所で管理されています。

この2つは、生駒市の普段の分別種類にはない項目(通常は燃えるごみ)のため、分かりやすいポップが掲示されています。生ごみ分別は特に間違えやすいので、説明書きがされています。紙おむつは、分別することでどのように資源化ができるのかを説明しています。これらも住民の方が作成してくれました。リサイクルについて知ることで、ごみや環境への関心が高まったという声も聞かれました。

その奥には、持ち込んだ資源ごみを20分別するための資源回収テントがあります。入り口にあるチェックインコーナーでスマホをかざしてチェックインし、分別かごの表記に従い住民自身がごみ出しをしていきます。

「このごみはどう捨てたら良いのかしら?」「お散歩がてらごみ捨てに来たの」とここでもスタッフや住民同士でコミュニケーションが生まれます。1週間もすれば、スタッフの代わりに説明してくれる住民の方がでてきて、心強い限りです。

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チェックインの様子

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ごみ出しの様子

次回、住民が集う場づくりの裏側をご紹介します

今回は"ごみ出し"と"地域交流"を掛け合わせた「こみすて」の日常をご紹介しました。この日常の風景は、様々な世代の住民が足を運び、滞在し、交流し、参画することでつくられたものです。ただ場所があれば良いわけではなく、いくつかの工夫と仕掛けが必要です。次回以降、どのようにしてこの場をつくっていったのか、このストーリーの裏側についてご紹介します。

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BIO.pngアミタグループは、地域の持続性を高める統合支援サービス「BIOシステム」を提供しています。地域の未利用資源を活用したコンパクトな自立型の地域づくりを、ビジョン策定からインフラの設計・運営、産業・雇用創出支援まで、トータルで支援します。

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