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コラム

生駒市実証実験レポート|多世代ごちゃまぜの交流が起こる場所3地域の課題をトータルで解決する「MEGURU STATION」実証レポート

1_.jpgアミタ株式会社は、奈良県生駒市の「日常の『ごみ出し』を活用した地域コミュニティ向上モデル事業」を受託し、NECソリューションイノベータ株式会社(以下NECソリューションイノベータ)と共に、同市で2019年12月から2020年2月に実証実験を行いました。

前回は、実証実験の舞台である「こみすて(コミュニティステーションの略で生駒市版MEGURU STATION 以下、ステーション)」に住民が集い、参画する場づくりの仕掛けをお伝えしました。
今回は、住民が主体的に参画することで生まれたエピソードをご紹介します。本実証実験では、場づくりのアドバイザーとして、人々の主体性を引き出すデザインによりコミュニティ形成・活性化を図る株式会社グランドレベルに参画いただいています。

それぞれの得意・やりたい!という思いから始まる"ふるまい"

前回の記事では、実証実験の場を設計するうえで大切にしていた「誰もがそこに来て、滞在し、参加して良い場である」ことを示すための場づくりの工夫についてお伝えしました。今回は、参画を引き出す場を作ることで生まれたエピソードをいくつかご紹介します。

2_.jpg資源回収テントの手前に用意したのが、右図の通称"ふるまい屋台"です。「場に来るきっかけ」と「誰もがいて良い理由」の核が「ごみ出し」だとすると、「この場に滞在し交流するきっかけ」の核が"ふるまい屋台"です。

ここでは、まずスタッフがコーヒーや紅茶などの飲み物とお菓子のふるまいをしていました。この"ふるまい屋台"があることで、何をしているんだろう?と人々の中に関心が生まれ、声をかけたり、かけられたりすることが自然な空間であることが演出されます。

スタッフのふるまいから、場の使い方が伝わっていき、住民や地域の事業者によって甘酒やお菓子など、様々なふるまいが行われました。事業者の方は販売のトライアルや、試作品のマーケティング、この地域での認知度向上にも活用されていましたが、それ以上に「私もできることで参加してみたい!」と思っていただいたように感じます。

実証実験期間の後半には、「いつももらってばかりだと悪いし、お菓子やコーヒーがなくなったら困るでしょ」とお菓子やコーヒーの差し入れをくださる方も現れ、さらには来た人がくつろげるようにと、ベンチを"ふるまって"くださった方もいました。また、「もらったけど、うちではあまり食べないからみんな喜ぶかな」といただきものを差し入れしてくださる方や、家庭菜園で採れた野菜をお返しにおいていかれる方もいらっしゃいました。

"ふるまい"の連鎖が場を作り上げていく

こうした"ふるまい"は次々に連鎖していくのですが、最初の取り組みのひとつとして挙げられるのが、ステーション(こみすて)の日々の情報を発信するFacebookページの「こみすてノート」です。萩の台住宅地内に住む子育て世代のご夫婦が、ステーションのコンセプトに共感してくださり、情報発信を自ら買って出てくださいました。住民目線で描かれる「こみすてノート」の日々の投稿を見て、実証実験地域外から視察に来てくださる方もおり、結果的に市内外の多くの方々にこの実証実験を知っていただきました。さらに、このご夫婦が運営する「公園にいこーえん」というイベントとステーションの共同企画をしたり、ステーションの看板となった「こみすて」ロゴを作ってくださったりと、パワフルなママさん・パパさんたちは様々な場面でステーションに参画してくださいました。

2月初旬、駄菓子屋がステーションで出張イベントをすることが決まった時のことです。せっかくならと壁画を描くイベントを同時開催することが決まり、「では、私も」と、新鮮野菜の販売や、飲み物の「ふるまい」といった地元の事業者がイベントを重ねることになりました。「これだけ力を入れて開催するのであれば、絶対に成功させたい!」という思いから、企画者の一人がチラシを作成し、一家総出で実証対象地域に全戸配布をしてくれました。その努力のおかげで、イベントは大盛況でした。はじめから決まっていたことなど何一つない中で、住民の方々が能動的に動いてくださった結果でした。

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自治会館で行われた駄菓子屋「たわわ堂」

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ステーションでの野菜販売

5_.jpgステーションでの壁画作成

6_.jpgイベント案内の黒板

※これらの写真は生駒の魅力を発掘・編集して発信する市民PRチーム「いこまち宣伝部」のOGの方が撮影してくださいました。いこまち宣伝部による「good cycle ikoma」のステーションに関する記事はこちら

"子どもスタッフ"誕生秘話

大人たちだけではなく、2月中旬からは、"子どもスタッフ"が活躍し始めました。高齢者の方がごみ出しに来ると荷物を持つのを手伝ったり、ごみ出し時に必要なチェックインのためのスマホの操作や分別の仕方を教えたり、はたまた資源回収テントのごみがいっぱいになったら裏口のストックヤードに運んでくれたりと、大人スタッフ顔負けのお手伝いをしてくれます。最終的にすっかりステーションの顔となった子どもたちも、実は最初は恐る恐るステーションに来ていたのです。お手伝いをしてくれるようになるまでは、少し物語があります。

ステーションがオープンして間もない2019年の年の瀬、お父さんと一緒によく通ってくれていた小学生の男の子がいました。彼はこの頃から既に、ごみ出しに慣れない高齢者の方に、自分から声をかけてくれていました。当初、子どもが足を運ぶのは稀なことでした。「どうしたら子どもたちが来てくれるかな?」と、ある日スタッフがその男の子に相談してみました。数日後、彼は『リアルな「こみすてノート」を作りたい』と、皆が思いを共有できるようなツールの作成を提案したり、宿題を持って友だちを連れてステーションに遊びに来てくれるようになりました。初めは、友だち同士で静かに宿題をするだけだった子どもたちも、徐々に慣れてきて、毎日のように放課後の遊び場としてステーションを活用するようになり、違う学年の子どもたちも一緒に遊びだし、遊びの延長線上でスタッフのお手伝いもしてくれるようになりました。少しずつ仕事を覚え、できることが増えていくのを楽しんでいるように見えました。そして、お手伝いを通じてステーションの来訪者との間に自然なコミュニケーションが生まれていました。

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こみすてノート作成風景

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宿題をする様子

ある日、一人の女の子が「こみすてのスタッフになりたいんだけど、どうしたらいい?」とスタッフに話してくれました。そこで、まずはシフト表を作って、手伝ってもらったことに対してスタッフから「感謝ポイント」(注)を渡すようにしました。このようにして、子どもたちは遊びの延長線上でステーションの中で出番を見つけ、"子どもスタッフ"として活躍の場を作っていきました。彼らは多世代交流の要ともいうべき存在です。ステーションを通して、学年の違う年の離れた友達を作り、またその親同士にも会話のきっかけが生まれました。また、ステーションの主な利用者である高齢者との交流の機会も生み出していったのです。これまで顔は見たことがあっても会話をしたことのなかった高齢者と子どもたちが、「ああ、●●さんとこの娘さんか。よく見たら面影があるね」と話しているのを、スタッフは何度も耳にしました。

(注)感謝ポイント...資源ごみとリユース品を持ち込む際に、利用者ごとに発行されたQRコードを機械にかざすことで付与される。貯まったポイントを住民同士で送り合うことで、身近な人の親切な行動に対して「ありがとう」の気持ちを伝えることができる。

一方で、薪ストーブの火の起こし方、薪割りの仕方などは、高齢者や大人から子どもたちに教えることがきっかけで会話が生まれました。現場では、子どもたちだけで火を起こすことや薪を割ることは禁止していて、必ず大人に見てもらうことにしていました。そのため、子どもたちが火を起こしたり、薪を割ったりしたいときは、子どもたちが周りの大人に声をかけて、見守ってもらうという光景も見られました。

一人では完結できないことがあり、それぞれの得意なことを活かして互いに助け合い、つながる。その「関わりしろ」が多いほど、多世代による多様な交流は生まれやすくなります。便利になった今では、コーヒーをドリップして入れることも子どもたちには珍しく、スタッフや大人たちからコーヒーの入れ方を学んで、楽しそうにふるまっていました。

時に子どもスタッフはふるまい屋台にあるお菓子をもらっていました。ただし、好きなお菓子をもらったら、もらいっぱなしではなく、今度は自分の家からちゃんと別のお菓子を補充している姿が印象的でした。特にもらったら返すというルールがあったわけではありません。しかし、みんなのためのお菓子がなくなったら困る、もらったら返したいという想いがそうさせたのでしょう。あくまで利用者でもあり、参画者であるという子どもたちの姿勢が、私たち大人に与える影響は大きかったと思います。

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シフト表の作成

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荷物を持ってあげて、チェックインのお手伝い

11_.jpgごみの運搬

12_.JPG堆肥の攪拌(かくはん)作業

利用から参画へ 参画から生まれるステーションと地域への愛着

このように、コンセプトに共感し、最初から積極的に関わってくれた方々が、結果として次の参画者を呼び、徐々に幅広い年代の"常連さん"が形成され、その人たちの得意なことや好きなことに応じて、様々な利用や参画の形が生まれました。そして、自らが関与することで、ステーションへの愛着を持ってくれるようになり、「自分たちのステーション」になっていきました。

今回は短い実証実験期間で生まれた兆しではありましたが、この多世代による小さな参画が積み重なることが、共助と自治のまちづくりの基盤につながると考えています。次回は、ステーションによる環境面の効果についてご紹介します。

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