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コラム

「社会的処方」とは?社会的孤立の解決策と方向性地域共生社会実現のヒント 〜コミュニティコーピング〜

画像1.jpg本コラムでは、地域共生社会実現のヒントをテーマに、全6回にわたり超高齢社会における「社会的孤立」という問題と、その解消を目指すコミュニティコーピングというプロジェクトについてご紹介していきます。

以降の連載では、社会的孤立の解決策と方向性について取り上げていきます。第4回では「社会的処方」の話を踏まえ、地域共生社会を実現するために、どのようなアプローチが有効なのかを考察します。

注目される「社会的処方」について

地域のつながりという観点で、今「社会的処方」という概念が注目を集めています。『社会的処方 孤立という病を地域のつながりで治す方法』(西智弘編著、2020年、学芸出版社)によると「社会的処方」とは「薬を処方することで、患者さんの問題を解決するのではなく『地域とのつながり』を処方することで、問題を解決するというもの」とあります。例えば、うつ病を抱えている患者さんを地域の趣味のサークル活動とつなぐなど、心身の不調を治療する際に薬で対処するのではなく、地域資源を通して生活環境を変えて困りごとを解決するのが「社会的処方」のアプローチです。すでにイギリスなどで取り組みが導入されて一定の効果があがっており、2020年6月のNHKの報道によれば、厚生労働省が、この取り組みを医療費の抑制にもつながるということで推進していくと発表されています。
私たちは、前回のコラムで紹介した「en(えん)プロジェクト」で、Mさんを始め私たちが支援した人たちが、プロジェクトでは支える側にまわり、色々な人とつながることで、日常を取り戻していくことを目の当たりにしており「社会的処方」という概念に非常に共感しています。その一方で、以下の2つのことを懸念しています。

  • 社会的処方の目的は何か?

健康の問題だからと医療・非医療の2軸で考えていくと、医療従事者が主、地域資源が従という形となりかねず、健康保険の制度の中で話が進んでいくのではないかと推察しています。社会保障費の削減は副次的な効果であって、本来の目的は、地域コミュニティの中で人が孤立することなく、より良く暮らせることだと考えています。

  • 社会的処方の主役は誰なのか?

地域の中で人は支え合って生きていて、支える側/支えられる側と二分して考えるべきではないと思っています。最初は利用者であった人が、徐々に参画者へと意識が変わっていくことは、前回のコラムでもご紹介したとおりです。制度の担い手と受け手といった二極化が起こると、立場が固定化されたり「私には関係ない」と思う人が増えたりするように、潜在的関心層や無関心層を巻き込むということが難しくなります。大事なことは、私たち一人一人がプレイヤー(当事者)という意識を醸成することで、医療の視点からだけではなく、もっと地域全体を俯瞰して捉えることであると考えています。

では、どのようにアプローチすれば、市民一人一人が「社会的処方」に携わり「社会的孤立」を解決するプレイヤーになれるのでしょうか。

社会的孤立へのアプローチ、環境が人をつくるのか、人が環境をつくるのか

前回のコラムでは、地域コミュニティにおいて見えてきた課題として「利用する人」から「参画する人」へと関わる人の意識をどう変えていくのか、行動変容の重要性を挙げました。ここには、もう一つ解決しなければならない問題として「環境が人をつくるのか」「人が環境をつくるのか」、どちらからのアプローチが有効なのかを考える必要があります。
つまり「環境を用意し、ある程度枠組みを作った後から関わってもらうべきか」「環境をつくる段階から関わってもらうべきか」という問題です。結論から言うと、私は後者が重要であると思います。
環境を先につくるには「現行の仕組みや制度に考え方を当てはめていく」というアプローチをとることになります。一般的に、このようなトップダウンに近いアプローチをとることで、活動を比較的早くスタートできるというメリットがあります。その一方で、制度の「担い手」と「受け手」といったように関わり方が二極化されてしまいがちにもなります。このように、二極に分かれた状況からはじめると、行動変容による潜在的関心層や無関心層を巻き込むということが難しくなってしまいます。
それよりも、下図にもあるように、まずは潜在的関心→関心→利用・参加→参画という形で、より多くの人を巻き込む形で担い手となる人財を段階的に育てることにフォーカスした方が良いと考えています。なぜなら、主体的に関われる人を増やし、その人たちが環境を整えていく方が一見遠回りに見えますが、結果的には担い手が多い分だけ全体に波及するスピードが速く、地域共生社会の実現が早いのではないかと考えるからです。

図1.png図:行動変容のステップ

なお「利用・参加」は「共感」している状態にすぎません。これらをどう「自分ごと」にしていくのか。そして「参画」という段階に引き上げていくのかが大切になってきます。

リンクワーカーとは?人をどう巻き込んでいくのか?

解決策のヒントとして『社会的処方 孤立という病を地域のつながりで治す方法』の中で、西氏は「社会的処方の要はリンクワーカー」と述べています。リンクワーカーとは、患者さんのケアについて、医師やケアマネージャーなどの専門職と地域資源との橋渡しをする役割のことです。例えば、リンクワーカーは患者さんとコミュニケーションを取り、必要に応じて、地域サークル活動などの地域資源を紹介します。このような形で「地域とのつながり」を患者さんに処方します。
今後は、日本でも地域の中で誰がその役割を担うのかを考えていく必要があると思います。私たちは、担い手となる人財に、リンクワーカーという考えや役割についても理解を深めてもらい、地域コミュニティで実践してもらうことが、周囲の人たちの行動変容を促すことにもつながっていくのではないかと考えています。そのためにも、人をどう巻き込んでいくのか?というアイデアが今後重要になってくると見ています。
そこで次回は「ゲーミフィケーション」という考え方と現在私たちが進めているプロジェクト、超高齢社会体験ゲーム「コミュニティコーピング」の開発経緯を踏まえてどうやって人を巻き込んでいくのかについて、考えていきたいと思います。

参考情報

西 智弘,『社会的処方 孤立という病を地域のつながりで治す方法』, 学芸出版社,2020

超高齢社会をゲームで体験「コミュニティコーピング」体験会を開催しています!

korekara.pngコレカラ・サポートでは、人と地域資源をつなげることで「社会的孤立」を解消する協力型ゲーム「コミュニティコーピング」の体験会を毎月オンラインで開催しています。ゲームを通じて体感的に、超高齢社会や「コミュニティコーピング」の概念に触れ、理解することができます。第1回全日本ゲーミフィケーションコンペティション準グランプリ受賞。
研修やワークショップなどでの導入を検討してみたい方、まずは体験会へのご参加をおすすめしています(個別のご相談も承ります)。
詳しくはこちら https://comcop.jp/index.html

執筆者プロフィール

mrchiba.png千葉 晃一(ちば こういち)氏
一般社団法人コレカラ・サポート 代表理事

金融機関の個人資産相談部門を経て2009年独立。2011年から相続や財産管理等、高齢期の複雑多岐な悩みを専門家がワンストップで対応する「コレカラ・サポート」を設立・運営。
NHK首都圏ネットワークの特集「プロジェクト2030」で介護者支援、遺族支援の活動が紹介される等、注目を集めている。
(一社)コレカラ・サポート https://koresapo.net

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